ep11 閉鎖空間と信じる心

かがみ(えと、これがこうで・・・ここがこうっと)
とうとう夏の本番の始まりである7月になった。その上旬、恒例の期末試験が始まっており、
今試験の真っ只中。でも試験も最終日で今やってるのが本日最後の試験。科目は『世界史』
一応それなりに勉強してきたから何とか解けるわ。
キンコンカンコン
黒井「ほ~い。試験終了やで~。後ろの席の人、テスト用紙を集めてや~」
かがみ「ハァ・・・」
あやの「今回はどうだった?」
みさお「全然だめだった~アッハッハ」
かがみ「笑い事か?」

つかさ達はもう1つ試験科目があるらしいし・・・んじゃそれまでとりあえず部室にでも行こうかな。

部室
ガチャ
かがみ「オ~スッ」
古泉「おや、柊さんではないですか。試験はもう終わったのですか?」
かがみ「うん。何とかね。そうそう、つかさもここに入ってるわけだし下の名前で呼んでくれてもいいわよ。ややこしいし」
古泉「そうですか。ではそうさせてもらいます」
長門「・・・・・」
かがみ「有希。今度は何読んでるの?」
長門「・・・・・これ」
かがみ(ムシウタ・・・か・・・読んだ事ないな)
長門「ユニーク」
かがみ「そ、そう・・・」

今ここにいるのは私含め3人だけか・・・。
古泉「かがみさん。オセロでもやりませんか?」
かがみ「いいね。やろやろ」


30分後
古泉「参りました」
かがみ「ヤッター!」
古泉「あの・・・涼宮さんやキョンさんはどうしましたのでしょうか?」
かがみ「ハルヒはテスト終わってさっさと帰っていったわよ。キョン君は谷口君と一緒に職員室に行ったわ」
古泉「そうですか・・・」ピピッ!
古泉「・・・・・」
かがみ「全く。ハルヒはよくわからないわねー。人には絶対来いって言っといて自分は来ないんだから・・・」
古泉「かがみさん・・・話がありますがよろしいですか?」
かがみ「へっ!?う、うん。いいけど」
古泉「たった今ですが組織から連絡があり、本日閉鎖空間が起きるそうです」
かがみ「へ、閉鎖空間て・・・」
古泉「涼宮さんが起こす現象ですよ」
かがみ「・・・それで、なんで私に話すの?」
古泉「あなた方に僕の超能力を見せるときがきたのです。それを見て頂こうかと」
かがみ「・・・あなた方って、私やこなた、つかさにみゆきも・・・?」
古泉「そうです。あなた方4人はこのSOS団と関わるようにやってきましたのでこんなこと考えたのですが・・・」
かがみ「私はいいけど・・・3人が、特にみゆきが何ていうか・・・」
古泉「・・・確かに彼女が入ってからまだ3日しか経ってませんが・・・それに僕の力の事も話してませんしね」
かがみ「今から話さない?」
古泉「・・・そうするしかありませんね」
かがみ「みゆき倒れなきゃいいけど」

とか話しているうちに部室につかさ達がやってきた。
かがみ「お、いいところに」
こなた・つかさ・みゆき「?」

私はこなたとつかさに閉鎖空間についてを、そして古泉君は自分の能力について話した。
古泉「というわけなのです。突然このような話をして驚かれたでしょう」
みゆき「・・・いえ・・・」
古泉「・・・少しトイレへ行ってきます。失礼します」
ガチャ

かがみ「みゆき・・・?」
みゆき「・・・」
かがみ「まさか・・・今ので引いたりとかは・・・しないよね?」
みゆき「そ、そんなことはありません!」
かがみ・こなた・つかさ「!」
いきなりあのみゆきが大声出すからびっくりした。お、怒ったのかな・・・?普段優しい人は怒ると怖いんだね。
かがみ「あ、ご、ごめん・・・」
みゆき「!・・・こちらもいきなり大声を出してすみません・・・頭の中が整理できなくて・・・」
こなた「み、みゆきさん・・・どうしたのさ?」
つかさ「いきなり大声出して・・・」
みゆき「え・・・えと・・・」
かがみ「ねえみゆき。そろそろこなたらにも話してもいいんじゃないかな?」
みゆき「・・・そうですね。泉さん。つかささん。話があります」
こなた「なになに?」
みゆき「実は・・・」


つかさ「そうだったんだ~ゆきちゃんに好きな人がね」
こなた「いや~なんか先越されちゃった気分だな~でもみゆきさんならその体で襲えば男子なんてイチコロ・・・」
かがみ「こなた。真面目に話しなさいよ。みゆきは本気なんだから」
こなた「冗談だよ。まあみゆきさんがどれくらい古泉君を好きなのかよくわかったよー」
つかさ「そだね。こんなに真剣だし。それにゆきちゃん優しいからきっと好きになってくれるよ」
みゆき「・・・あ、ありがとうございます」
こなた「んで、みゆきさんは何に悩んでるのかな?」
みゆき「今の話を聞いたんですけど、古泉さんは私の表情を時折伺っておりました。その時の私は恐らく彼から見たら、引いているように見えたのでしょう・・・」
かがみ「・・・」
みゆき「先程も浮かない顔をして出て行かれました。私、何か申し訳ないことをしてしまって後悔してるんです・・・どうすれば・・・」
もうみゆき泣きそうだなぁ・・・。なにかかける言葉は・・・と考えてるうちに、こなたが口を開いた。
こなた「みゆきさん。まだそうと決まったわけじゃないんだし、次に誤解を解くように言えばいいんじゃないのかな?」
つかさ「そ、そうだよ。もうすぐ古泉君も戻ってくるしその時に言えば・・・」
ガチャ
古泉「ふぅ。皆さん。実は先程キョンさんと偶然出会いまして、遅くなりました」
キョン(何かさっき浮かない顔してたから声をかけたのだが・・・)「んで話は大方聞いたのだが・・・閉鎖空間へ行くのか?」
かがみ「私は行くわ!世界がどんな状況になってるか知りたいし」
キョン「泉につかさ。高良はどうするんだ?」
こなた「私は行くよー。ゲームの世界みたいで面白そうだし」
つかさ「私も行くよ・・・ちょっと怖いけど」
キョン「まあ古泉が守ってくれるだろ。・・・高良はどうするんだ?」
みゆき「わ、私は・・・・・行きます」
古泉「・・・そうですか」
一瞬だけど古泉君が笑ったような・・・いつも笑ってるから単に見間違えてるだけかもしれないけど・・・。

キョン「閉鎖空間が起きる場所はどこなんだ?」
古泉「それが・・・ここ、北高のグラウンドです」
かがみ「ここっ!?」
古泉「ええ。もうまもなくだと思いますが・・・」
こなた「わくわく」
つかさ「ひぇぇぇ・・・・」
みゆき「・・・・・」
古泉「!・・・行きますよ。準備はいいですか?」
キョン「ここまできて引けるわけないだろ」
かがみ「いこう!」
古泉「では、僕の手に捕まってください」
みんなそれぞれ自分の手を差し出し、掴んだ。

そのとき、突然周囲がガラッと変わった。私は少しの間目を瞑ってしまった。

そっと目を開ける。辺りは・・・さっきと同じ学校だ。でもって灰色の景色・・・。あれ、ここが閉鎖空間なの?
私のイメージはもっと夜みたいな暗闇で、ゲームで言うなら魔界みたいな・・・そんなイメージだったんだけど。
こなた「・・・なんかイメージしていたのと全然違う」
どうやらこなたもそう思ってるらしい。
つかさ「ここが・・・閉鎖空間なの・・・?」
古泉「そうですよ」
キョン「・・・いつきても気味が悪い」
みゆき「・・・・・」
古泉「・・・あそこですか」
古泉君の視線の先は・・・屋上!?ってなによあれ!
思いっきり屋上で建物壊して暴れまくってるけど・・・。
キョン「くっ・・・」
こなた「ななななにあのラスボスみたいなでっかい巨人は!」
つかさ「あわあわあわ・・・」
みゆき「あ・・・」
古泉「あれは『神人』。あれこそが涼宮さんが具現化させたものです!」
かがみ「あ・・・あれが・・・」
つかさ「おおお姉ちゃ~ん。怖いよ~」
つかさが私に抱きついてきた。そりゃこうなるわよね。
流石のこなたもびびって・・・ねえ!こいつ目輝かせてる!
みゆきは・・・固まってるように見えるけど大丈夫かな・・・?
古泉「では僕はあれを食い止めに行ってきます」
みゆき「あっ!」
古泉君はそういい残し赤い球みたいなのに変形し、神人の元へ行った。
キョン「・・・ハルヒ・・・」
かがみ「・・・・・」
キョン君がハルヒの名前を呟いた・・・。この意味は・・・・。

数分経ったろうか。私達はただただ見ていた。


だけどその時だった。

神人がこちらに気づいたのだろうか。突如私達めがけ、殴りにかかってきた。
古泉(しまった!)
キョン「お、おい!マジかよ!」
こなた「こ、こっちにくるー」
みゆき「あ・・・こ、怖いです・・・」
つかさ「きゃああああ!!!」
かがみ「う・・・嘘・・・」







こ、殺される・・・。このままじゃ私達・・・。









みんな無事でいてほしい・・・








私はそう願った・・・・・・







かがみ(ん・・・こ、ここは・・・)
天国・・・か・・・そっか、私達やられちゃったもんね。


ちゃん


かがみ(うーん。ここで第2の人生歩むのもいいかもね)


えちゃん



かがみ(どうでもいいけど眠たくなってきた・・・ふぁ~あ)


ねえちゃん


かがみ(?何か聞き慣れた声が・・・)


お姉ちゃん!



かがみ「つかさ!?」











かがみ「!」
こなた「お~やっと目覚めたよ」
つかさ「よかったよ~お姉ちゃん~もう帰ってこないかと思ったよ~」
かがみ「え・・・?」
なんで私達・・・生きてるの?それともここが真の天国?
キョン「無事だったんだよ。俺らは」
キョン君が私の疑問に答えてくれたかのように言った。
かがみ「えと・・・なんで私達・・・助かったの?」
キョン「・・・よくわからんが、殴られる直前に妙な光の壁みたいなものが・・・俺達を守ってくれたんだ・・・俗に言うバリアーってやつか?」
かがみ「バ、バリアー・・・?」



今更だけど私は辺りを見渡した。夕暮れの学校・・・。グラウンドに私達はいる。
戻ってこられた。そういえば・・・みゆきに古泉君が見当たらない。

かがみ「み、みゆきに古泉君は!?どこに・・・」
キョン「あそこさ」
キョン君はみゆきたちの方へ指をさした。
古泉君は横に倒れている。それをみゆきが・・・看てくれていた。


古泉「い、いつもはこんな筈じゃないんですけどね・・・」
みゆき「びょ、病院へいかれたほうが・・・」
古泉「いえ・・・大丈夫ですよ。一晩眠れば・・・」
みゆき「そんな・・・」
古泉「しかし、結果オーライとはいえ、貴女方を危険な目にあわせてしまいました。申し訳ございません」
みゆき「いえ・・・それは私達がついていくといいましたから」
古泉「ですが、提案したのは僕です。あんなことになるとは・・・誤算でした・・・本当に申し訳ございません・・・」
みゆき「・・・私達は覚悟を決めていたのです。ですので古泉君の所為ではないのですよ・・・もちろん誰の所為でもありません」
古泉「!・・・・・」





私達も現状を把握できたから古泉君の元へ・・・って古泉君!泣いてる・・・?
みゆき「あぅあぅ・・・私何かまた酷い事でも言いましたでしょうか?」
古泉「・・・い、いえ・・・実は過去の事を思い出しまして・・・」
キョン「か、過去・・・?」
古泉「ええ、実は・・・ここへ転校する前・・・つまり前の学校ですか・・・僕にも付き合ってた人がいたのです・・・」
かがみ「えっ!?」
キョン「!」
みゆき「!」
古泉「・・・そして付き合い始めてから3ヶ月ですか。僕はこの能力の事を話しました。そしたら彼女、この事に興味深々でもっと詳しく話を聞かせてくれと言いました。
   ですから僕は、今日のように閉鎖空間へ連れて行きました・・・ですがそれが間違いでした・・・これも今日と同じく、彼女を危険な目に合わせてしまいました。
   幸い彼女は軽症で済みました。・・・ですがこの出来事以来彼女は僕と会わなくなったのです。会わない・・・といいますか僕を避けてるんでしょうかね。アハハ・・・
   ですが、理由を聞きたいので僕は聞いてみました。それが・・・」









               『得体の知れない奇妙な人とは関わりあいたくありません。さようなら』












古泉「僕は愕然としました。悔しいですよ・・・最後の言葉が『得体の知れない奇妙な人とは関わりあいたくありません。さようなら』だなんて・・・悔しい・・・人間の信じる心なんてこんなものか・・・
   得体の知れない奴は奇妙か!・・・『好き』といったあの言葉も全部、全部・・・嘘だったのか!・・・・・・俺の・・・俺の今までの想いは・・・・・・くそっ!くそっ!くそっ!くそっ!・・・・・・うぅぅっ・・・」





今までに見せたことのない古泉君が私達の前にいた。地面を何度も何度も殴りつけている・・・。
こんな事が、こんな過去が古泉君にあったなんて・・・。キョン君も始めて聞いたらしく、驚きを隠せないみたい・・・。
こなた・つかさ「・・・・・・」
そんな彼にみゆきが手を差し伸べた。
古泉「・・・・・・?」
みゆき「・・・辛かったんですね。とてもとても・・・あなたの気持ちは良くわかります。ですが・・・・・・これだけは信じてください」
古泉「・・・」

みゆき「ここにいる人たち、SOS団の皆さんは・・・あなたの『大切な友達』・・・ですよ・・・決して裏切ったりもしません。絶対にです」
古泉「・・・・・・ああああああぁぁぁぁぁ・・・・・・」
みゆき「私を・・・私達を・・・信じてください・・・・・・」








古泉「うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!ああぁぁぁ・・・・」










数十分が経ったかな・・・なんとか古泉君も少し落ち着き、いつもの古泉君に戻った。そうそう、話のオチとしては過去に閉鎖空間で戦った相手はカマドウマだってさ。
こなた「カマドウマって何?」
みゆき「カマドウマはですね・・・キリギリスやコオロギに似るが、成虫でも翅をもたず専ら長い後脚で跳躍し、その跳躍力は非常に強く、飼育器の壁などに自ら激突死してしまうほどであり、背中の形や長い横顔などが跳ねる馬の姿を連想させ、古い日本家屋では竈の周辺などによく見られたことからこの名前が付いたのですよ」
(参考文献『みWikipedia』)
キョン「そろそろ帰るか・・・もう日が沈む」
古泉「そうですね。では僕はあちらなので・・・失礼します」
かがみ「じゃあね~」
こなた「バイニ~」
みゆき「・・・さようなら。古泉さん」
古泉「さよならです。高良さん」
キョン「・・・なかなかいい感じだな。あの2人」
かがみ「そうね・・・」






部室
長門「・・・・・・あれは・・・一体。私にもわからない力を感じた・・・。あの力は、『涼宮ハルヒ』と同等、それ以上の力を感じた」
一体・・・何者・・・・・・?







数日後

あやの「それでね、みさちゃんが・・・」
みさお「ん?誰だろあそこにいるの?」
かがみ「あれ?古泉君・・・?」
私達の教室の前に古泉君がいた。
みさお「知り合い?」
かがみ「う、うん。ちょっと行ってくるわ」

古泉君「おや、かがみさん」
かがみ「どうしたの?キョン君に用があるの?」
古泉「まぁそうなのですが・・・あなたにも用があるのです」
かがみ「わ、私にも?」
古泉「ええ」
会話をしているとキョン君がやってきた。
キョン「何やってんだ?」
古泉「・・・話があります。すみませんが部室まで来て貰えませんか?」


部室
キョン「・・・で、何なんだ?」
かがみ「・・・」
古泉「・・・あれから・・・ふと考えたのですが・・・」
キョン「ど、どうしたんだ。古泉」
古泉「いろいろ考えたのですよ・・・僕なりに・・・この感情は一体何なのでしょうか・・・と」
かがみ「・・・」
古泉「高良みゆきさん・・・でしたか・・・1週間前にここへ入ってきた」
かがみ「そうだけど・・・」
古泉「ここ1週間彼女にはいろいろ会話したり優しくしてもらったりしていただきました。その所為か・・・最近頭の中が彼女のことでいっぱいで・・・」
キョン「お前・・・!それって・・・」
古泉「『好き』なのでしょうか・・・この感情が・・・」
かがみ(マ、マジで・・・)
古泉「久し振りですよ・・・この感情は・・・」
かがみ(よ、よかったじゃん!みゆき)
キョン「そうか・・・。だが、なぜ俺達に話した?」
古泉「1週間前の事をお忘れですか?あなた達が話しかけてくれたんですよ」
キョン「ああ・・・成程」
古泉「僕は・・・どうすればいいでしょうか?」
かがみ「そ、そんなの決まってるわ!まずはメルアド交換してより一層好感を与える!次には2人で遊びに行ったりとか。」
古泉「ふむふむ」
かがみ「2人が気まずかったら他の誰かを誘う!親しい誰かをね」
キョン(こいつら両思いなんだからそのまま告白したらいいんじゃ・・・)
かがみ「甘い!これだから恋愛に疎いフラグクラッシャーは困る!」
キョン(心読まれた!つかなんだよフラグクラッシャーて!)
古泉「わかりました。参考になります。ありがとうございます。かがみさん」
かがみ「うん。頑張ってよ」
古泉「ええ。では失礼します」


どこの誰だか知らないけれど、今更古泉君を取り戻そうとしても無駄だからね。何故なら、彼には立派な、相応しい彼女がいるから。

私も・・・負けてられなi・・・。

ガチャ

ハルヒ「2人ともこんなとこにいたの!?何してたのよ?」
キョン「古泉と話をしてただけだ」
ハルヒ「古泉君って・・・いないじゃない!」
キョン「ついさっき出てった」
ハルヒ「ふぅ~ん。まあいいわ。それよりいろいろ考えたんだけど~」
かがみ「何を?」
ハルヒ「今後のSOS団の予定。ほらもうじき夏休みじゃない。活動日和よ~」
キョン「・・・ハァ」
ハルヒ「何よ!キョン!」
キョン「なんでもない」
ハルヒ「んで。これを見てほしいんだけど」
かがみ・キョン「?・・・・・・ってなんじゃこりゃ!?」

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最終更新:2007年08月09日 11:22
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