光の氾濫によって その超文明が滅亡してより 数百年後

混沌とした地上に 天界の者たちは 新たなる救済者を遣わした

地上人は その救済者を見るなり こう言ったという

「おおあの方こそが 我らをお救いすると言われる天冥士様だ!」

しかし 天冥士とは本来地上に在する14の国の中のなかでも

古代語で「隠国」を意味する 「カシュカ」王朝に住む人のことを差した


天界とは 全く関係のない天冥士呼ばわりされたその救済者は

地上人の前に姿を現すとこう言ったのだ

「我は天冥士にあらず・・・ 寧ろそれに相対する立場の土陽士なり・・・

そなたらは一度経験しているはずだ 無の力による浄化を そなたらは また

同じくクリスタルの力に甘んじて愚行を繰り返すか?それとも 限りある生を

この星と共に慎ましく生きるか?」と

多くの地上人は後者を選択した だが 14の国の長は 自分らより後にやって来た

その救済者を蔑み 存在意義さえも詰った

そのことに激怒した救済者は 憤怒し 土陽士の力を地上に見せつけたのである

… … …

彼はまず 手に持った杖を大地に落とし突けると それまであった14の国の大陸に

地響きが渡り 轟音と共に 地殻が変動した 大陸は動き 大地が引き裂かれた 

これが後の世に伝わる 究極魔法 クエイク である

次に彼は 引き裂かれた大地に入って来た海水に何かを唱え始めた そうすると

海水の水位が瞬く間に上昇し始め やがてそれは大津波となって

地上の全てのものを 海のなかへ掻っ攫っていった

これが後の世に伝わる 究極魔法 フラッド である

… … …

引き裂かれていく大地 すべてを飲み込む海水

愚かな為政者によって 招かれた大参事を 嘆く者もいれば 喝采する者もいた

世界はどうなってしまうのだろうか または 俺達がこれから新しい世界を作るんだ と

救済者は 慎ましく母星と共生しようとする地上人を誰よりも愛し 共に歴史を刻んだ

その地上人の限りある命を一つに

自分が引き起こした大参事を魔導として一つに

そして

共に歴史を刻んだ想い出を 記憶の場所―夢の世界―に入れ管理する能力を一つに

三人の弟子にそれぞれを分け与え この世を去った そう 言うまでもなく

彼の者の名は

大魔導師 ノア






最終更新:2013年03月20日 17:09