1.復唱!
「さぁ,みんな.今日の授業を始めるわよ」
モブリズで私が世話をしていた子どもたちも,今ではすっかり立派な男の子・女の子に成長していて,もうすぐ年齢が二桁になろうとしていた.そんな彼らに,私は勉強を教えていたのだった.私は眼鏡をかけ,続ける.
「今日は,大切な言葉を教えます.あなたたちが,誰かから親切なことをされたとき.みんなは,なんて言う?」
子どもたちの一人が答えた.
「はーい,ティナ・マギステル!『ありがとう』って言います」
私は眼鏡を直し,言った.
「そう,『ありがとう』ね.私・・・マギステルもそう言うわね.今日は,この『ありがとう』のどこでも語を教えるわ.みんな,いい?マギステルの言った言葉を繰り返すのよ.『グラーティアース』」
子どもたちは,私の言った通り,繰り返す.
「グラーティアース」
「グラーティアース」
「グラーティアース」・・・.
2.感謝から始まる愛する心
「それにしても驚いたわ」
カタリーナは話し始めた.
「ティナ・・・あなたが先生までやるなんて,思ってもみなかったわ.最初・・・私たちが出会った時なんて,ずっとオロオロしてたあなたが.ねぇ,ディーン?」
ハンモックに横になりながら,私の作った教材を見ていたディーンは言った.
「ああ.えっと・・・,『マギステル』って・・・確か世界共通語で『先生』って意味なんだよな?」
「そうよ,ディーン.そして,今日あの子たちに教えたのは,『グラーティアース』・・・『ありがとう』という意味よ.生きてゆく上で,欠かせない言葉だと思うわ・・・.願わくば,あの子たちが,たくさんの『グラーティアース』と言える世界へ巣立って欲しい・・・」
カタリーナとディーンは私の前に立つと,それぞれ,
「グラーティアース,いつも優しくしてくれて」
「お,俺もグラーティアース,いつも親切にしてくれて」
と言ってくれた.私はそんな彼らを見て,自然に笑顔になった.
みんなも・・・.世界中の人たちが「愛する心」を持って接すれば・・・,きっと,今の私みたいに幸せいっぱいになれるはず.だから,ね?今こそ,誰かを愛せるようになりましょう.未来を紡ぐために!
最終更新:2013年10月18日 18:22