第八幕【ケイオスウェイブ】
―イプセンの古城,壁画の間にて
デッシュ
「これが4つの鏡,か・・・」
(デッシュ,大地の鏡,猛火の鏡,水面の鏡,突風の鏡をよく見て)
デッシュ
「この4枚の鏡をそれぞれの祠に捧げるとテラへの道が開くっつーわけか.よっ,と」
(デッシュ,4枚の鏡を取る.すると,背後から何者かが襲ってくる)
「4枚の鏡を奪う者よ・・・我が剣雨に耐えてみせよ!」
デッシュ
「なんだなんだあ?さてはおめー,火のカオス,マリリスか!」
マリリス
「いかにも・・・」
デッシュ
「上等だぜ!その剣雨とやらぁ,見せてくれよ!」
(天井から,デッシュめがけて幾本の剣が降ってくる)
「危ない!」
デッシュ
「お前は?!」
「オイラはコスモキャニオンのナナキ.戦士セトの息子だ!」
(ナナキ,「ルナティックハイ」で剣雨をかわしにかわし,デッシュのところまで辿り着く)
マリリス
「二人揃おうが我が剣雨の前では塵と同じ・・・食らえ!」
(「まどろみの術」を装備したデッシュ,マリリスに向かって)
デッシュ
「そう簡単にいくかよ・・・この妖刀の力で・・・眠っちまえ!」
(デッシュの催眠攻撃にかかったマリリス,結局剣の雨を使えず永遠の眠りに就く)
デッシュ
「ふぅ,危なかった.おめーのおかげだよ,ナナキ」
ナナキ
「ありがとう!さあ,早くこの城から脱出しよう!」
―飛空挺ヒルダガルテ3号の甲板にて
エリン
「おかしいです!風が・・・道を開けてくれない・・・」
ベアトリクス
「どうして・・・.この気配は・・・.まさか!」
風神
「ティアマット襲此船!」
ベアトリクス
「ヒルダ様は下がって!ティアマットの相手は私達4人でします!」
ギルガメッシュ
「おう,そうこなくっちゃなあ?」
ロック
「俺達で力を合わせれば最強のカオスも手の出しようが無いぜ!」
ティアマット
「その瞳に焼き付けて死ぬがよい・・・風のカオス,ティアマットの姿・・・!!」
(ティアマットの「はないき」で吹き飛ばされそうになるギルガメッシュとロックだったが)
ギルガメッシュ
「この秘槍『ウィンドブレーカー』で・・・断つ!」
(槍を掲げ天高く舞い上がり「ジャンプ」するギルガメッシュ,その間にロック,風神,
ベアトリクスの3人が猛攻をしかけ,何とかティアマットを倒す)
ベアトリクス
「ふむ・・・」
ロック
「どうした?」
ベアトリクス
「先程の風神が召喚した召喚獣ですが・・・」
風神
「G.Fパンデモニウム?」
ベアトリクス
「ガーランドが篭城した城と同じ名前ですね」
ヒルダ
「それは確かに・・・.でも・・・」
ベアトリクス
「でも・・・なんです?」
ヒルダ
「関連性はないのでは?風神は8番目の幻想の戦士なのですから」
(FFIVの「疑惑のテーマ」が流れ,カインが試練の山でリッチの成れの果てである魔物と
戦っているシーンに幕が上がる)
カイン
「俺は!父を超える竜騎士になるのだ」
(唐突に)
「それは何故,だ・・・?」
カイン
「父を超える.それ以外の何でもないさ」
「我が僕にならぬか・・・?さすれば容易にそなたの父を超えられる・・・」
カイン
「俺は自分自身の力だけで強くなってみせる・・・!」
「仲間の元ヘは帰らぬのか・・・」
カイン
「・・・・・・」
(幕が閉じる.イプセンの古城にて合流した仲間達は,「4つの祠」へ行く準備をする
シーンの幕が上がる)
ベアトリクス
「4つの祠に二人ずつ,でいいですね?」
風神
「待!貴女如何?」
ベアトリクス
「私は一人で行きます.試練の山近くの,地脈の祠へ」
デッシュ
「あんた・・・本当はカインの事が気がかりなんだろ?」
ベアトリクス
「ち・・・違います!土のガーディアンは私一人で十分」
ロック
「本当にそれでいいのか・・・?なあみんな?」
ギルガメッシュ
「まあ,心配だな」
ナナキ
「私も同意する」
ヒルダ
「私も・・・」
ロック
「なぁら決まった!皆でカインを連れて来るんだ.祠へ行くのはそれからだ」
(一度幕が閉じ,パンデモニウム「天文台」にて黒いマントを着た男がガイアの星を
見ながら独白するシーンで幕が上がる)
黒いマントを着た男
「集まりつつあるな・・・.星々の融合を妨げる者達が」
セーラ
「ガーランド・・・あなたは一体何が目的なの?!」
ガーランド
「テラホーミング作戦を実行し,異世界を繋げ,『境界の力』を手に入れることだ」
セーラ
「そして・・・?」
ガーランド
「セーラ,お前と共に永遠に生きるのだ」
セーラ
「無理よ,そんなこと・・・」
ガーランド
「参れ,カイン!セーラを奥の部屋へ連れて行くのだ」
カイン
「ハッ!」
第九幕【始まりのリュート】
[第一景]
(パンデモニウムの天文台より奥の部屋,「洗脳室」にて,セーラとカイン)
カイン
「さぁ,この椅子に座るんだ」
セーラ
「いやよ!離して!」
カイン
「大丈夫だ,ここに座ればガーランドの企みを防ぐ事が出来る」
セーラ
「防ぐ事が出来る…?どういう意味?あなたまさか…」
カイン
「そうだ,そのまさかだ」
セーラ
「皆を裏切って…今度はガーランドも裏切るの?」
カイン
「そんな言い方はよしてくれ.皆を裏切ったフリをして,ガーランドを裏切るつもりだ.
その代償は高くつくがな…」
セーラ
「どうやって企みを防ぐの?」
カイン
「お前を,幻想跳躍させる.それでお前は元のコーネリアへ戻れるし,俺や俺達の仲間
は元の世界へ戻れる.ガーランドなんかと戦わずに済むんだ!」
セーラ
「幻想跳躍…」
(セーラ,洗脳室にある椅子に座る)
[第二景]
(ヒルダガルデ3号にて,ベアトリクス達がカインを捜し続けている)
ヒルダ
「おかしいですね,彼は確か試練の山に行ったはず…」
ベアトリクス
「デザートエンプレスにも行ってみましたが,姿は見当たりませんでした」
デッシュ
「そういやあカインのやつ,何か楽器を持っていたんじゃなかったか?」
ナナキ
「ノアのリュートだね!」
ベアトリクス
「ですが当人が見つからなければ楽器も見つからないはず…」
ロック
「そうとは限らないぜ.
現にギルガメッシュのやつがもの珍しそうに見ていたものがあったな」
ギルガメッシュ
「これ,何て武器だ?」
(ギルガメッシュ,皆に自分の持っているものを見せる)
ナナキ
「それって…」
風神
「ノア之リュート…」
ヒルダ
「フーリエ機関の一種…ですね」
(皆,ヒルダの方へ顔を向ける)
ベアトリクス
「フーリエ機関?なんですか,それは…」
ヒルダ
「音によって数多の幻想へと移動できる,とある研究者が開発した楽器です」
ロック
「数多の幻想を移動できる…?正に俺達がこのガイアにやって来たみたいに?」
ヒルダ
「そうです.演奏することできっと今の持ち主であるカインの声が聞こえるでしょう」
(ヒルダがノアのリュートを弾くと,第一景のやりとりの音声だけが聞こえる)
ベアトリクス
「これは…カインの声と…セーラ様の声?!」
ロック
「カインのやつ…なんてこった,もうパンデモニウムにいるってことか…」
デッシュ
「あいつ,どうやってそんなところに行ったんだ?」
ナナキ
「それにセーラと一緒にいるってことは…」
風神
「カイン目的果!」
ロック
「でも俺達は4つの祠で同時に4枚の鏡を置かないといけないんだろ?」
ベアトリクス
「その通りですが…」
デッシュ
「やるっきゃねーよ!」
ベアトリクス
「水の祠へ!」
エリン
「はいっ!」
[第三景]
(水の祠にて風神とヒルダを降ろす)
風神
「ベアトリクス待!」
ベアトリクス
「なんですか?」
風神
「あなたはカインのことをどう思っているの?」
ベアトリクス
「同じ戦友として,共に戦う仲間として…」
風神
「本当にそれだけ?それだけだったら,どうしてさっき,動揺したのさ?」
ベアトリクス
「それは…」
ヒルダ
「まぁまぁお2人共.とにかく水の祠は私達にまかせて,あなたは地脈の祠へ!」
風神
「ヒルダ!」
(ベアトリクス,ヒルダガルデ3号の乗り込み,他の仲間を降ろしに行く準備をする)
ヒルダ
「風神,そんなに力むことは…」
風神
「力んでなんかいやしないよ!私はただ,正直な想いを告げられずにいるあの
常勝将軍さんを見てると歯痒くなるだけなんだ.でも…心の中のことってどうして
こんなにも口に出せないんだろう…」
(ヒルダ,黙して風神を見守る)
「さぁ,行きましょう,水の祠の奥へ!」
[第四景]
(火の祠にてナナキとデッシュを降ろす)
ナナキ
「デッシュの兄ちゃん,ここはオイラが先に奥に行くからね」
デッシュ
「おうおう!その勝負乗ったぜ!おめーに勝って,サリーナに自慢してやるんだ」
ナナキ
「サリーナってもしかして…デッシュの恋人?」
デッシュ
「まぁ,そうだな」
ナナキ
「ヒューヒュー!」
デッシュ
「冷やかすなって!ほら,先に行っちまうぞ?」
第十幕【独りじゃない】
[第一景]
(風の祠の入り口にて飛空挺から降ろされたロックとギルガメッシュ)
ロック
「そういえばお前,なんでカインが持っていたはずのノアのリュートを持っていたんだ?」
ギルガメッシュ
「俺は流離いの剣豪にして離れた空間を自由に闊歩できる存在・・・.
皆でカインを捜していた時,偶然拾ったものだ」
ロック
「それは便利な能力,だな・・・」
ギルガメッシュ
「それよりも,風!強風に吹き飛ばされないよう,俺の後ろにいろ」
ロック
「ああ!」
[第二景]
(ベアトリクス,単身で地脈の祠に着き飛空挺から降りる)
ベアトリクス
「此処の祭壇に最後の鏡を置けば・・・」
(鏡を置くと,場面はパンデモニウム,第三景へ)
[第三景]
ガーランド
「戦士達がとうとうやってくるか・・・.
ところでカイン,先程からセーラが見当たらないのだが?」
カイン
「彼女はコーネリア城に帰りましたよ」
ガーランド
「何だと?さては貴様,この私を裏切ったのか?」
カイン
「裏切りなどとんでもない・・・.あなたの望みはなんです?」
ガーランド
「セーラと永遠に生きることだ」
カイン
「永遠に生きる・・・ですか.失礼ですがそれは無理な事でございましょう」
ガーランド
「だからこそ,魂なき器を用意し,眠りにつこうとしているのだ」
(カイン,後ろを振り返り)
カイン
「消え行く定めの中にあるからこそ,
人は精一杯記憶を紡いでいくんだ!そうだろ,みんな?」
(ヒルダ,デッシュ,ギルガメッシュ,ロック,ナナキ,風神,ベアトリクスが光を
帯びて頷いている.やがてカインも光を帯び始め,ベアトリクスと立場を交換する.
そして,7人の戦士達はベアトリクスを残し,もといた世界へ帰る)
ベアトリクス
「ガーランド,あなたはどうしてこのようなことを?」
ガーランド
「セーラを手に入れるため・・・」
ベアトリクス
「ああ,どうして人は片方の心を求めずにはいられないのでしょう!
誰でも人生の伴侶が欲しいと思うのは当然の理なのでしょうか?それとも独りでいたい?
いいえ,誰しも必ず心を埋めてくれる人を求めている!そうしたらきっと・・・
独りじゃないのです!さあ,ガーランド,手を伸ばして彼女のところへ!」
ガーランド
「セーラ・・・私は,君のところへ行きたい!」
(幕が閉じる)
[終劇]
最終更新:2011年07月30日 13:43