「めちゃくちゃだな、畜生っ!」

 迫り来る銃弾を紙一重でかわし、少年はヤケクソ気味な声を上げた。
 双剣を振るう赤毛の男は、パラレルワールド・バトルロワイヤルの書き手だ。
 トリップは◆4EDMfWv86Q。名前はエンド・メーカー。
 様々なジャンルのSSをこなし、続きが気になる切り方へと導くことを得意とする書き手である。
 そのエンド・メーカーが、今は苦戦を強いられていた。
 ビルの影へと身を隠し、集中砲火をやり過ごしながら、標的を睨みつけていた。

「降伏しろ。これ以上、無駄に体力を使うこともないだろう」

 機関銃を構えた男は、世界的スターとして名が知られている、アーノルド・シュワルツ・ネッガーだ。
 否、その装備を考えれば、ジョン・メイトリックスと呼ぶべきか。
 その男こそ、キチガイコマンドー!。
 ニコニコ動画バトルロワイアルγにて、◆FbzPVNOXDoのトリップを掲げる、投下数ナンバーワンの書き手である。

「生憎、死ぬほど疲れたって、死ぬよりは遥かにマシだからな……!」
「諦める気はないんだな?」
「当然だ! パラレルロワには、まだ続きを待ってるみんながいるんだからな!」

 敵はあまりにも強大だ。
 装備は現実の銃器で固められているはずなのに、その破壊力は妙に高い。
 そのくせ何故かは知らないが、一向に弾切れを起こす気配もない。
 それでも、諦めるわけにはいかない。
 エンド・メーカーには、紡いだ終わりを、次の始まりに繋げる義務があるのだ。
 何としても奴を倒し、生き残らなければならないのだ。

「よし、分かった。ではこちらも派手に行かせてもらうぞ」

 瞬間、キチガイコマンドー!が武器を変えた。
 機関銃を背後に回し、肩にかけていたロケットランチャーを構えたのだ。
 ごうっと音を立てながら、ロケット弾頭が発射される。

「やばいっ!」

 冗談じゃない。あんなものを向けられては、壁など有って無いようなものだ。
 エンド・メーカーは、慌てながら、すぐさまその場から飛び退く。
 爆発の衝撃波に煽られながら、何とか足に力を入れ着地。

「うわわわわっ!」

 しかしそこには、既に機関銃が向けられていた。
 ばららららっと放たれる弾が、エンド・メーカーの足元を狙う。
 不意打ちに浴びせられた弾丸の雨を、あたふたとして何とかかわす。

「くっ……そおおおお!」

 それでも、やられっぱなしではいられない。
 どうにか銃弾の隙を縫い、アスファルトを踏み込んで突進。
 干将・莫耶の双刃を振り上げ、キチガイコマンドー!へと斬りかかる。

「フン!」
「がはっ!」

 それでも、メイトリックスの肉体は強かった。
 開いた胴体を目掛けて、キチガイコマンドー!の右膝が、カウンターのニーキックを放ったのだ。
 吸い込まれるようにして命中。
 エンド・メーカーの身体が、くるくると回転しながら宙を舞う。
 そしてどさっと音を立て、重力に引きずられるままアスファルトへ落ちた。
 倒れ伏す少年の背中へと、キチガイコマンドー!は銃身を向ける。

「……まだ立つか」

 それでも、エンド・メーカーは諦めなかった。
 痛みで震える身体に力を込めて、ゆっくりとその身を置き上がらせた。

「アンタだって、分かってるだろ……」

 額から流れる血を、親指で拭った。
 陰陽の夫婦剣を構え直し、少年がキチガイコマンドー!を睨んだ。

「俺は、パロロワの書き手なんだ! 読者のみんなが待ってるからには、絶対に諦めるわけにはいかない!」

 どれだけ倒されようが何だ。
 どれだけ傷つけられようがどうした。
 この程度の痛みでは、まだまだ止まるわけにはいかない。
 追いかけていたロワが停滞を迎え、続きが読めなくなることに比べれば、こんなものは屁でもない。
 だから何度でも立ち上がるんだ。
 そんな痛みを、読者のみんなに、絶対に味わわせないためにもだ。
 未だ消えぬ闘志の炎を、黄金の瞳にぎらぎらと燃やし、エンド・メーカーは宣言する。

「――がっははははは!」

 その時、不意に声が響いた。
 雷のように轟く笑いが、両者の戦いに割って入った。
 エンド・メーカーが、キチガイコマンドー!が、声の聞こえる方を向く。
 小さなビルの屋上に、何者かが腕を組んで立っている。

「あれは、タウラスの黄金聖衣……!?」

 エンド・メーカーは、その男の身なりに覚えがあった。
 確か、聖闘士星矢という漫画に登場する、黄金聖闘士の鎧だったはずだ。
 しかし、それを纏う男には覚えがない。
 白髪と隻眼が目立つ男は、彼の知る牡牛座の聖闘士・アルデバランとは似ても似つかない。
 そもそもアルデバランが登場するロワなど、今までに聞いたことがない。

「なかなか骨があるじゃねえか、小僧! お前の戦いっぷり、楽しませてもらったぜ!」
「ほ、骨? それより、アンタは一体……!?」

 げらげらと笑う大男に、エンド・メーカーが問い掛ける。

「俺か? 俺は血塗られた英雄譚!
 ヒーローズ・バトルロワイアルを仕切る、◆aWSXUOcrjUの酉の書き手だ!」
「ヒーローズ、バトルロワイアル?」

 聞いたことがあるようなないような。
 最近のトキワ荘ブームの中で、建った、俺ロワの1つの名前だっただろうか。

「ともかくだ! 俺はお前が気に入った。腰抜けを庇ってやる義理はねぇが、骨のある奴なら話は別だ」

 言いながら、血塗られた英雄譚と名乗る書き手は、ビルの屋上から飛び降りる。
 高さ5階から落下した鎧は、ずしんと地鳴りを響かせて、道路の上に着地した。
 ばき、ばき、と音が鳴る。
 黄金聖衣の両手の指を、血塗られた英雄譚が鳴らしているのだ。

「ここはひとつ、手伝ってやろうじゃねえか」
「い、いいのか?」
「死にかけで強がってんじゃねえよ!」

 ばしん、と平手で背を叩かれた。
 大きな掌から伝わる衝撃に、一瞬、エンド・メーカーはよろめいた。

「敵が増えようと関係ない。まとめて吹き飛ばしてやるだけだ」
「ほう、いいねぇ。俺も細けぇことは気にしねぇタチなんだ」

 相対するキチガイコマンドー!が、ロケットランチャーを構える。
 血塗られた英雄譚もまた、獰猛な野獣めいた笑みを浮かべる。
 元のロワをよく知らない以上、この男の実力が、どれほどのものかは分からない。
 それでも、助太刀してくれるというのなら、ここはお言葉に甘えるべきだ。

「さぁ――行くぜ、小僧!」
「おうっ!」

 ならば、共に行かせてもらおう。
 血塗られた英雄譚の声に、勇ましくエンド・メーカーが応えた。

【一日目・深夜 C-4 市街地】

【エンド・メーカー(◆4EDMfWv86Q)@パラレルワールド・バトルロワイヤル】
【状態】干将・莫耶投影中、疲労(中)、額に切り傷、腹部にダメージ(中)
【外見】衛宮士郎@Fate/Stay night
【装備】干将・莫耶
【持物】基本支給品、不明支給品1~3
【思考】
基本:生きてパラレルロワに帰る(思考は対主催寄り)
1:キチガイコマンドー!を倒す

【キチガイコマンドー!(◆FbzPVNOXDo)@ニコニコ動画バトルロワイアルγ 】
【状態】健康
【外見】ジョン・メイトリックス@コマンドー
【装備】バルメM78(∞/∞)、M202ロケットランチャー(3/4)
【持物】基本支給品、不明支給品0~1(確認済み)
【思考】
基本:派手に皆殺し
1:エンド・メーカーと血塗られた英雄譚を殺す
[備考]
※「コマンドー」のご都合補正により、銃器の弾薬が無限になっています。
 また、装備する全ての武器の威力が、若干向上しています

【血塗られた英雄譚(◆aWSXUOcrjU)@ヒーローズ・バトルロワイアル】
【状態】健康
【外見】ハービンジャー@聖闘士星矢Ω
【装備】タウラス聖衣
【持物】基本支給品、不明支給品0~2(確認済み)
【思考】
基本:ムカつくので主催者を叩き潰す
1:骨のある奴は助けてやらんでもない
2:なのでエンド・メーカーに同行する
3:キチガイコマンドー!をぶちのめす

047:書き手として…… ◆時系列順に読む 049:金がなければゲームクリアもできんぞ
047:書き手として…… ◆時系列順に読む 049:金がなければゲームクリアもできんぞ
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最終更新:2013年04月23日 03:50