中学生ロワ書き手、◆j1I31zelYAが飛ばされていたのは、大きな湖の傍だった。
透明な水面が冴え冴えと月光を弾き、樹海を吹き抜ける風は涼しい。
知らない場所であるにも関わらず――もっと言えば置かれた状況が異常であるにも関わらず――その場所には、不思議な懐かしさを覚えた。
それも当然だ。
このシチュエーションはまさに◆j1I31zelYAが書いた越前リョーマ登場話の一幕そのものなのだ。
実際、◆j1I31zelYAにあてがわれたのも越前リョーマの容姿である。

「はぁ……。そうなるとこの『書き手ロワ』、中学生ロワの読み手が開いたってこと?
 いや、そうじゃなくてもパロロワに幅広く詳しい誰かの仕業なのかな。
 感電氏とか、或いは……『書き手ロワ』書き手とか」

思わず溜息を吐く。
そう、これは『書き手ロワ』らしいのだ。
書き手ロワ。かきてろわ。カキテロワ。
馴染みのある言い方に変えると“殺し合い”。

いきなり拉致されて、そんな命令をされて、腹が立つという気持ちは確かにある。
しかし、ピンと来ない、というのが正直なところ。

確かに◆j1I31zelYA自身、中学生同士が殺し合う物語を書いてきた。
バロウを登場話でマーダーにし、植木を逃した日野を殺させたこともあれば、ヒデヨシを裏切らせあかねを殺させもした。
そういう意味では、『人を殺すこと』は想定できることだった。
しかし、それはあくまでも書き手として描いた物語の中でのことであり、人を殺したいと思ったことは一度もない。
これからもないと思うし、好き好んで『殺人』をしたがるような人間にはなりたくない。
ましてや、この場には◆j1I31zelYAがよく見知った人間もいるかもしれない。
書き手ロワなのだ。
自分がこうして参戦させられている以上、他の中学生ロワ書き手も巻き込まれている可能性は高い。

「うわ、嫌だ……」

もし、彼らと殺し合うことになったとしたら。
もし、彼らの誰かに殺されそうになったら。
もし、彼らの誰かが死んでしまったら。

嫌だ。
嫌過ぎる。
想像さえしたくない。

というか仮に、殺し合いが終わって、元の世界に帰れたとして。
その時に、誰か自ロワの書き手が死んでいたら、それを自分は本スレに報告しないといけないのだろうか。
自分たちが連れ去られていたせいで停滞した本スレで、書き手さんたちどうしたんだろうと心配する読み手たちに向かって、
『◆7VvSZc3DiQ氏と◆jN9It4nQEM氏、◆wKs3a28q6Q氏は死にました』なんて告げたら。
彼らファンは、どんな顔をするだろう。
彼らの作品がもう永遠に読めないとしった読み手たちは、どんな想いをするだろうか。

「……そんなの、ちっともぽかぽかしない」

中学生ロワの読み手だけじゃない。
他のロワの読み手だってそうだ。
自分のロワの書き手が死んで、殺されて、作品が読めなくなったら。
ロワが未完に終わってしまったら。

彼らに、しあわせギフトが届くことは、なくなってしまう。

「なら、やっぱり俺がやるのは、一つだけっスよね」

主催者に、『勝つ』。
殺すでも殺されるでもなく、とにかく勝つ。
ともすればそれはずるい考えだ。綺麗事でもある。
この手を汚すことなく、それでいてハッピーエンドを望むだなんて虫がいいにも程があるだろう。

それでも。
それでもこの姿をしている以上は、これくらいかっこつけたっていいじゃないか。
カッコ悪いテニプリ勢なんてカッコ悪いスクライド勢ぐらいあり得ない。

なら一つ、中学生ロワの柱として、主催者へのお約束の宣戦布告で、自分の登場話を締めくくらせてもらうとしよう。





――◆j1I31zelYAの……言い難いっスね。
  フーダニットの名に賭けて予告してやるから、ありがたく聞け。
  アンタは、負ける。 負けるのはアンタ 勝つのは対主催書き手(俺たち)だ。


【一日目深夜 C-4湖の傍】
【ホワイダニット(◆j1I31zelYA)@中学生ロワ】
【状態】健康
【外見】越前リョーマ@中学生ロワ
【装備】なし
【持物】基本支給品、不明支給品1~3
【思考】
基本:中学生ロワの柱として主催者に勝つ
1:主催者の正体は?

※紹介文から、ホワイダニットと名乗りましたが、中学生を“Whydunit(ホワイダニット)”に変える能力(チカラ)を身に着けているのか。
 使えたとしてどんな能力かは不明です

040:生きた証を残すため ◆時系列順に読む 042:希望は時に絶望に変わる
040:生きた証を残すため ◆投下順に読む 042:希望は時に絶望に変わる
ホワイダニット

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最終更新:2013年04月26日 18:24