F-1の森で一人の書き手がため息をついていた。
(確かに書いたけどさぁ……)
つるりとした肌に細い手足。引っ掛かるところのないストンとした体型。
彼女――◆uPLvM1/uq6ことつるぎのフレデリカuPは、ある種の人々に熱狂的な支持を持つ天樹院フレデリカ(ロリっこ)の、
大胆なスリングショットの水着を纏っただけのあられもない姿になっていた。
これは恥ずかしい。
どうせ書き手ロワだからイかれた格好のやつらなんて他にも山ほどいるだろうが、恥ずかしいものは恥ずかしい。
もう一度溜息をつき、とにかくどうにかして服を調達すればいいと気持ちを切り替えたところで、後ろからガサリと音が聞こえてきた。
振り返ると、一人の青年がひどく驚いた顔をしてフレデリカuPを見つめていた。
こちらを見てそんな顔をするということは知った人だろうか。
虚勢をこめて精一杯の胸を張る。
だが幼児(ロリ)体型なので全くロリコン以外には全く魅力的でない。愛らしいだけである。
「君は……」
「ご存じとは話が早い。あたしは」
「――凄くちいさい!」
「やかましいわ!そこかよ!」
思わずといった感じでツッコミを入れるフレデリカuP。
「っていうかあたしを知ってるんじゃないの!?」
「小さいものは宇宙遺産に指定されなくちゃいけないよね。あ、飴ちゃん食べる?」
青年は話を聞かず、ごそごそとどこから出したのかわからない飴をそっと差し出してくる。
その手に乗せた飴を半眼ではたき落とす。
「――おい」
「小さい子がそんな恰好してちゃだめだよ。親御さんはどこかな~?」
「人の話を、聞けッ!」
思いっきり向こう脛に向かって蹴り上げた足は、青年が屈んでいたために大事な所にクリティカルヒット。
男性諸氏ならあの壮絶な痛さに覚えがあるだろう。
新安価ロワ本編でも5様のHPを3割も削る鬼畜技である。
その効果は推して知るべし。
「うぐぉおおおおお……」
「ご、ごめん。コマンドミスった」
「い、いや俺も少なからず動揺してたみたいだから……書き手ロワだし中身は大人だもんね」
「あたしは新安価ロワの◆uPLvM1/uq6こと、つるぎのフレデリカuP。天樹院フレデリカの姿でこんなイかれた格好をさせられてる」
「俺はマルチジャンルバトルロワイアルの◆OQO8oJA5SEこと、キューオ・ザ・マスターグリーン。小鳥遊宗太の姿をしてるみたいだ」
双方落ち着いた所で、すっとどちらともなく握手を交わす。
そこには確かにロワを超えた友情が芽吹こうとしていた。
どこからともなく響いてきたアナウンスにさえぎられるまでは。
『デデデデザタイムオブレトビューション バトーワンデッサイダデステニー』
「ナントゴクトケン!」
フレデリカuPの不意の一撃をしゃがみ込むように間一髪で避けたキューオ。
避けきれなかった数本の髪がパラパラと切れて落ちる。
完全な不意打ちであったにもかかわらず避けられたのは、
先ほどの金的のダメージが残っていたため多少内股気味で体勢を崩しやすかったためだろう。
人生何が幸いするかわからない。
「どうしてこんなことを!?さっきまで戦うそぶりなんてなかったじゃないか!」
それとも先程までのフレデリカuPのやりとりは不意打ちを狙う為だったのだろうか。
そうだとしても突然すぎる。もう少し待てば、よりキューオが油断したタイミングがあったはずだ。
「それは……」
「それは……?」
唾を飲み込む音がやけに大きく聞こえる。
「戦闘開始の乱入アナウンスが流れたから」
「そんな理由かよ!?」
「あんたはもし対面に対戦相手がいて更に1クレ入れてたら、開始合図とともに対戦やめるの?やめないでしょっ!?」
「あ、うん……」
余りの力説具合に、げっそりした感じで相槌を打つキューオ・ザ・マスターグリーン。
おそらくは金的が乱入とみなされ、アナウンスが流れたのだろうことは想像がつく。
キューオの定評のある丁寧なリレー力はこの場ではツッコミに発揮されているようだったが、どこか諦めたようだ。
「とにかく!ち、小さいものを相手に戦うことなんて出来ないよ……!」
「いいえ戦うの。戦わなければならない。あなたも書き手ならわかるでしょう。書き手ロワに出るという意味を」
「……!」
今までの雰囲気をかき消すようなフレデリカuPの強い調子に、キューオの表情が変わる。
「本来は接点のないロワ同士の夢の祭典。各々自ロワを魅せるために、死力を尽くして争い合う」
「……」
「出場できたということ自体が、自ロワを、自作品を愛してくれているという証。」
「……」
止まることのない弁舌に、キューオが少しだけうつむく。
フレデリカuPがスゥと息を吸い込んで
「そう、私たちは戦うことを……強いられているんだ!」
「最後まできちんとシリアスしろよ!」
どこからかフレデリカuPに現れた集中線に対してもツッコみたいのを我慢するキューオ。
最後で台無しになった気もするが、キューオとて言われずともわかっている。
書き手として、書き手ロワに出るということがどういうことか。
その点からすると殺し合いに乗り、マーダーとして会場を暴れ回るのもいいだろう。
それならばここは戦うべきだ。
だがきっとこの書き手ロワの会場内には同郷の○ロワ書き手がいるはずだ。
やっと数年来の停滞から、復活した○ロワ書き手がきっと。
新安価バトルロワイアルは完結している。
しかしマルチジャンルバトルロワイアルは終盤ながら完結していない。
そう、もしも帰るなら全員そろって、最終回を迎えたい。
この書き手ロワという場でそんな理想論を目指すのは、膨大なフラグと、努力と、覚悟が必要だ。
ロワで一つの作品から犠牲者ゼロで生還者を出すには、全員を味方にするくらいの奇跡が求められる。
それでも彼らが欠けてしまっては完結が遠のくのだ。
せっかくまた、もう一度○を描き始めたというのに。
――ならば。
「それでも俺は……小さいものも、○ロワも諦められない――!」
キューオは下げていた目線をしっかりとフレデリカuPに合わせ、そう言い放った。
彼の名は「換える者」キューオ・ザ・マスターグリーン。
分岐制という特殊なルールを採用していたため煩雑になっていたwikiとしたらばを、主要であるB-1ルートのみを――最も重要なルートを――抜き出し、まとめ上げた。
書き手にして新管理人。
新しいwikiはさりげなく分りにくかったメニュー回りも改善されている。本当にありがとうございます。
「――【管理人権限】換装」
今までとは違う雰囲気を感じ取り、構えを取るつるぎのフレデリカuP。
キューオ・ザ・マスターグリーンの分岐したルートのみを扱う管理人としての権限。様々なルートから「最も重要なものを抜き出す」。
殺すのではなく、戦うのでもなく、ただ敵対する者の無力化を行うという目的。
あたり一面に光が走り、キューオの能力は自動的に、彼の目的であるフレデリカuPの無力化に最適なものを抜き出した。
余りの眩しさにつむっていた目をそろそろと開けてみる。
眩しさにやられていた目が元の機能をゆっくりと取り戻していくも、キューオに変わった様子は見られない。
しいて言えば唖然とした顔でこちらを見ていること位だろうか。
それにしても妙に動きやすい気がする。具体的には体がやたらスースーと……。
嫌な予感がして恐る恐る見下ろしたつるぎのフレデリカuPの体は、
一糸纏わぬ正真正銘の全裸だった。
「キャアアアアアアアア!!!」
「ぇえええええぇえええ!?」
【一日目・深夜/F-1】
【つるぎのフレデリカuP(◆uPLvM1/uq6)@新安価ロワ】
【状態】全 裸
【外見】天樹院フレデリカ@PSYREN -サイレン-
【装備】
【持物】基本支給品、不明支給品1~3
【思考】
1:キャアアアアアアアア!!!
【「換える者」キューオ・ザ・マスターグリーン (◆OQO8oJA5SE)@○ロワ】
【状態】健康
【外見】小鳥遊宗太@WORKING!!
【装備】不明
【持物】基本支給品、不明支給品1~3
【思考】
基本:主催を撃破し、誰一人欠けることなく○ロワに戻る。
1:ぇえええええぇえええ!?
※管理者権限は非常に強い想いと覚悟を必要とするため、乱発出来ません。
最終更新:2013年08月10日 16:36