輝く花束

僕ね、その笑顔が見たかったの。


<輝く花束>


「3…2…1…」
ラジオを囲んでカウントダウン。
「あけましておめでとうー!」
そして歓喜の声が上がる。
「今年も宜しくな」
「宜しくお願いします」
「宜しくッスー」
「宜しくなのぉ」
皆で頭を下げて挨拶をする。
「おーっし、重箱開けるぞ、重箱」
「大王様、さっき年越蕎麦食べたでしょう?」
ブロスが呆れ口調で言う。
「それは去年の話だ」
大王はニヤリと笑った。
「まったく…」
そう言いつつ笑いながらブロスは重箱を取り出した。
「…ん?」
ワドルディはフッと窓を見た。
「…雪?」
何かがチラチラと窓の外で舞っている。
「…え?」
ポピーも窓を見た。
「あっ…!」
そして彼は駆け出した。
「あっ!ちょっとポピー!?」
ワドルディも後を追う。
「おい、お前ら!餅は!?」
「僕、小豆!」
「あ、オイラはキナコで!」
二人は階段を駆け上がった。
「まったく…子供は元気やね」
ブロスは苦笑しながら磯部焼きを皿に乗せた。



バンッ!
「…ハァ…ハァ…」
ポピーは屋上にたどり着いた。
「ポピー!」
ワドルディもワンテンポ遅れてそこに着く。
「あっ…」
そして息を飲んだ。
満開のヒカリモモバナがそこに咲き乱れていた。
「綺麗ッス…。でもどうして?」
「多分…花火のせいなの」
「花火?」
「あの光を吸って…このお花は咲いたの」
ポピーはそれを手折り簡素な花束を作った。
「今年も…宜しくお願いするの」
「…こちらこそ」
ワドルディは花束を受け取り、微笑んだ。
光り輝く花びらが彼等を包むように舞続けた。


A HAPPY NEW YEAR!

<本当に終わり。でも今年は始まったばかり>

持てない花束』の続きです。
いつぞやの大晦日~正月にかけて投稿。
ちなみに前編に出てきた『ラップDE天気予報』は、その昔某ラジオで本当にやってました。
最終更新:2010年02月19日 15:28
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