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2007年9月 - (2007/09/18 (火) 17:19:57) のソース

<p><strong>週刊循環経済新聞(2007年9月17日)<br>
木材情報287 既存業者の廃材調達力が上がらない</strong></p>
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<strong><br></strong> 北関東のA社社長は3~4年前から「小規模な破砕施設が近くにたくさんできている。5トン未満なのに(処理能力の)10倍もの木くずを集めている」と語っていた。<br>

 少なからずの既存の有力業者が木くずの確保で苦戦している。その1つの要因が木くずの分散流通と言われる。関東の場合、埼玉、茨城などで小規模施設が林立している。そこに東京湾岸などで新たな大型施設も数多く設置し、分散流通が加速するようになった。<br>

 新規の大小の破砕業者は、すべてがチップ専業者ではない。しかし、木くずは解体、新築、修繕・模様替えのほとんどの工事で発生するため、分別排出が徹底されていなければ、様々な施設に持ち込まれやすい。特に新築系以外の廃棄物は、大手ゼネコンやハウスメーカーが実質的な元請でも、現場の施工業者が排出・処理を管理しているケースも少なくない。<br>

 建廃の排出量は全体として、新築が減り、解体と修繕・模様替えが増える傾向にある。木くずもその例外ではなく、大手建設業だけを顧客にしていると廃材調達力は上がらない。</p>
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※不思議なことに、統計上は新築と除去建築物数は比例していて、最近両方とも減ってきています。住宅が長寿命化すると、木くずが集まりにくい事態がさらに深刻になるかもしれません。<br>
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<p><strong>週刊循環経済新聞(2007年9月3日)<br>
木材情報286 “売り手市場時代”の課題</strong></p>
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 大型バイオマス発電施設の相次ぐ稼働率などを背景に、木質燃料チップは「買い手市場」から「売り手市場」へと移行が決定的になった、と言われて久しい。原材料である木くずの質に関係なく燃料チップ化される傾向にマテリアルリサイクルが押され、パーティクルボードメーカーなどは材不足に悩まされている。製紙工場の場合は、木質燃料チップと製紙原料、両方のユーザーであるので、微妙なバランスの上に乗る形となっている。<br>

 パーティクルボードメーカーのなかには、広域的に集荷担当者が木質チップ業各社を訪ね、材の振り向けを依頼する動きも見られる。原料の木質チップの入荷が思わしくないと、精算の一時停止もあり得るので、まさに綱渡り状態の自転車操業を余儀なくされる状況だ。また、関東方面から供給されていた原料チップも、大型バイオマス発電施設の稼働により、先細り傾向に。今後は、原料の木材チップの買値をボードメーカーがどこまで引き上げられるかによって、入荷量が左右されそうだ。<br>

 木質チップ業者にとっては、待望の「売り手市場時代」の到来であるはずが、需給バランスの均衡点を遙かに越える現状では、逆に需要の大きさが常に不安材料となる。<br>

 古材チップ業者の月間入荷量だけを見ると、極端な数字の落ち込みはないものの、業界では「明らかに入荷物の質が悪くなっている」との声が共通して聞かれる。木くずの奪い合いが激化するなか、供給すべき絶対量を確保するため、従来なら積極的に取り扱っていなかったような質の悪い木くずも受け入れているためだ。<br>

 一方、製紙原料用の製品チップを生産する業者の間では「従来にも増して苦労して原料木くずを確保しているのに、製品の売却条件は旧態依然のまま」との不満も。製紙原料用チップは、納品時の検査で一定量が「歩引き」される。需要家は、水分やダスト分を全体から差し引いた量に対して買値をつける。つまり、チップ業者にとっては、手間隙かけて生産した製品が売る段で常に「目減り」することになる。<br>

 今後、「売り手市場」が「本物」となるには、これらの課題の見直しも必要になってくる。</p>
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※以前にも書いたように、木材チップには一般的な市場がなく、価格と質のバランスについて明確な基準や指標がないので「本物の市場」をどう成立させるか難しいところです。業者間のコミュニケーションや一定の情報公開が大切でしょう。</p>