2007.3.19
ヒアリング記録:野瀬光弘
1.会社の沿革(ホームページなどより抜粋)
1974年 安田産業設立、一般廃棄物処理業開業
1976年 産業廃棄物処理部門開設
1990年 コンポストプラント施設 有限会社バイオ三惠設立
1992年 産業廃棄物中間処理施設 株式会社大剛設立
1999年 安田産業株式会社統轄管理本部 ISO14001認証取得
2002年 京都有機質資源株式会社設立
2005年 安田産業グループ全体でISO14001認証取得
2.廃棄物の受け入れ
顧客に合わせて分別などのマニュアル作りを実施。ISOを取得していない業者は直接スタッフが出かけていってアドバイスをする。廃酸、廃アルカリ、廃油は廃棄物データシートと分析表が添付されていないと受け付けない方針を採用。いったん受け入れを決めた場合は処分場へ直行する。
3.情報公開
(1)ISO14001
京都府下の廃棄物処理業者では非常に早い1999年に取得。大規模な業者との取り引きが元々多く、取得した方が有利と社長が判断した。認証を取得したからといって仕事が増えたわけではないという認識ではある。社内では部署ごとに環境管理に関するミーティングを月に1回のペースで開催し、管理者へ報告している。
(2)環境報告書
現時点では発行するだけの余裕がない。
(3)優良性評価制度
許可の切り替え時には適合事業者の認定を受ける方針。2007年3月20日の時点では産廃情報ネットに名前は見当たらなかった。
4.環境コミュニケーション
(1)見学者の受け入れ
長岡京市では5年生の社会科の時間に工場見学などを実施しており、毎年5年生が来訪する(人数は年ごとに異なる)。他には大学生(精華大など4~5校から1~2人ずつ)、地方自治体、ごみ減量推進会議、町内会、環境団体などで、排出業者(約500社)や処理業者などを加えると平日はほぼ毎日応対している計算になる。
(2)清掃活動
各工場では毎朝実施し、伏見区の統括管理本部は年に4回のペースで警察署近くの公園の周囲を写真で掃除している。
(3)社会貢献
福祉施設で収集されたアルミ缶の買い取り、ペットボトルを原料としたカスタネット(エコマーク付き)を福祉施設や小学校へ寄付。
5.処理残渣
再利用:90~95%
最終処分場:5~10%…選別、破砕できない廃棄物が振り向けられる。最終処分場は奈良県中和営繕(桜井市)、
京都環境保全公社、栄光環境(神戸市)など5か所だが、長い目で見れば最終処分品をいかに減らすかが大きな課題。
焼却処分は環境保全公社より約2割安いダイカンへ依頼。廃プラスチックはRPFに加工、ペットボトルは協栄産業(栃木県小山市)から日清紡へ運ばれ、繊維に加工されている。中国ルートは長い目でみると続かなくなる可能性があるので、すべて国内でのリサイクルに振り向けている。
6.その他の事項
(1)福利厚生
他の業種と比べると明らかに悪く、例えば休業補償は社会保険のみ。運送業界に合わせて仕事をしている部分があり、いっしょに改善する方向が望ましい。
(2)行政
産業廃棄物の窓口が保健所になったが、担当者が事情をよく知らないために、本庁とのやり取りにストレスを感じる。制度がコロコロ変わるので対応がたいへん。
7.感想
安田産業のホームページをみると、企業理念として「たいせつを、まもる。」というフレーズを商標登録するなど、イメージ面でも環境を押し出している。環境方針の文面や循環型社会図における廃棄物や資源のフローにも理念の具体化した姿を見て取ることができる。環境面のみならず、社会貢献として清掃活動や見学者の受け入れを行うなど取り組みは大いに評価しうる。しかし、見学者があまり多くやってくると日常業務に差し支えるとの判断から大っぴらには宣伝しておらず、社会貢献も公表する類の情報ではないとの判断からホームページには掲載されていない。また、産廃情報ネットに掲載された開示項目の大部分は自社のホームページのコンテンツに含まれておらず、どちらかというと一般向けに作成したといえる。今後は企業グループでゼロエミッションを目指そうと、事業拡大をどんどん推し進めている。今回聞いた範囲内では、必ずしも福利・厚生の面では恵まれているとはいえず、業界のリーディングカンパニーとしても改善が望まれる。
最終更新:2007年03月20日 17:17