Zündapp KS750……殺戮の戦場を電撃の速度で駆けた軍用二輪。
現存する数多のモンスターマシンに比べればむしろ小型とさえ言える設計
だが、その禍々しいフォルムと重苦しい排気音は魔性のものとしか思えな
い。
これが駆けるのは公道でも競技場でもなく、競争などという遊びを目的に
創られた玩具とは明らかに一線を画している。
言うなれば、戦車や戦闘機と同じモノだ。戦争のために生み出され、その
存在証明として血肉を貪る鋼の魔獣——
彼は暴嵐のシュライバー。
誰よりも速く、誰であろうと捉えられない。
大気が爆発するような轟音を弾けさせ、ビルが、アスファルトが砕け散
る。まるで見えない巨人が暴れ回っているかのようだ。
しかし、その正体は重力すら振り切る超加速の切り返し。見る間に瓦礫の
山と化していく街の中で、宇宙速度にも達するだろう“人間”が走り回って
いるだけにすぎない。
射程 | 攻撃手段が突進のため、バイクが届く距離 ただし、音速の百倍程度の速度がでているため、1秒当たり34キロメートル以上進む。 |
威力 | 1/2 × ツェンダップの重量(420kg)× 音速の百倍(34029 m/s)² × 0.95 = 231015581780J 炎化している螢を削る事が出来る |
強度 | "創造"状態でも銃弾一発で貫通し、破壊できる |
特性 | 加速 |
タイプ | 人器融合型 |
起源 | Zündapp KS750 |
裂帛の気合いと共に、頭上からは櫻井が斬りかかる。なまじ脅威のスピード
で突進していたシュライバーに、これを躱す術はない。急停止など不可能だ
ろうし、後退することはさらに無理だ。
(中略)
俺達二人の斬撃は、どちらもシュライバーに掠りもしてない。奴はあの瞬
間、あの状態で、一切の減速をせずに真後ろへ飛び退った。
いや、真後ろに加速したのだ。慣性の法則、物理常識を無視した逆走。時の
体感速度を遅らせて、一度は奴を上回った俺の刃すら追えない速さでベクト
ルを反転させた。
今や音速の百倍を超えるだろう速度で走るバイクとの正面衝突。そこに発生
する運動エネルギーの爆発は、隕石の直撃を受けたのと変わらない。
その正体を見極めるより早く、あまりの臭気に司狼は鼻と口を覆っていた。
血の匂い。
何百何千ではきかない。
万単位の人間を地獄の苦悶の下に引き裂いて磨り潰し、阿鼻叫喚で飽食し
た人喰い機獣がそこにある。
地雷に掛かってなお躱すという、冗談どころか悪夢のような操車技術とそ
の速度——すでに魔性の業であり、この程度の小細工で狂える白騎士は止ま
らない。
+ | 本来のツェンダップの性能 |