ここでは首都圏の高校別大学合格者数をもとに、分析を試みていきたいと思います。一般にはまったく知られていない、あるいは誤解されている事実もたくさん紹介していきます。進路選択の参考にご利用ください。
目次
中学受験・中高一貫校ブームのなか、公立高校からでは難関大学に進学できないなどと言う声もあります。そこで、首都圏難関大学合格者数からその真偽の分析を試みました。
2009年首都圏最難関大学合格者数 公・私立高校別(東京都)
「大学合格者数」のランキングでは東大・京大合格者数を強調したものが
圧倒的に多く、また全国津々浦々の高校を全て対象とする傾向にあるため、「東大合格者数ランキングのベスト10を私立校が独占」などという文句が一人歩きしがちです。しかし、首都圏の大多数の方にとっては「首都圏の高校から首都圏の大学へ」という情報の方が遥かに重要なはずです。そこで、ここではまず東京都内の公立高校・私立高校を対象に、東京大学・一橋大学・東京工業大学・東京外国語大学の首都圏最難関4大学を作成してみます。「もはや都立高校では難関大学には進学できない」などとよく言われていますが、実際のところはどうなのでしょうか。
2009年東京都内都立高校・私立高校別・首都圏最難関大学合格者数
(東京大学・一橋大学・東京工業大学・東京外国語大学)
1 154名 私立 開成高校(東京都荒川区西日暮里)
2 87名 私立 麻布高校(東京都港区元麻布)
3 79名 私立 桜蔭高校(東京都文京区本郷)
4 62名 私立 駒場東邦高校(東京都世田谷区池尻)
5 60名 私立 海城高校(東京都新宿区大久保)
6 56名 都立 西高校(東京都杉並区)
7 53名 私立 桐朋高校(東京都国立市)
8 49名 都立 日比谷高校(東京都千代田区)
9 47名 都立 国立高校(東京都国立市)
10 41名 私立 女子学院高校(東京都千代田区一番町)
一見トップ5を中高一貫の私立校が独占しているような印象を受けますが、上位4校はいわゆる「男女御三家・駒東」として知られる首都圏全域から最も優秀な生徒が集まる全国屈指の進学校であり、ある意味このランクの大学に進学できない方が問題だと言えます。
そして、5~10位を見てみると都立高校と私立高校が3校ずつランクインしています。海城高校・桐朋高校はともに御三家に次ぐ人気と難易度を誇る私立男子校であり、女子学院高校は女子御三家の一角なのですが、意外にも都立トップ高校からの難関大合格者数はこれらの中学受験最難関校とほぼ同等だということがわかります。もちろん開成高校などと比べれば見劣りはするのですが、都内には私立高校が約240校ほどあるということも考えれば、「ヘタな私立校へ進学するよりは都立トップ校へ進学する方が難関大進学には有利であろう」ということはできると思います。公立か私立か迷っている方は参考になさってください。
2009年首都圏最難関大学合格者数 公・私立高校別(千葉県・埼玉県)
東京都のランキングでは私立校がトップ10を独占しているのかと思いきや、上で見たように都立トップ3校からも相当数の合格者が出ているということがわかりました。さらに、公立高校の力が強い千葉県・埼玉県では様相が一変します。まずは千葉県について見てみましょう。
2009年千葉県内県立高校・私立高校別・首都圏最難関大学合格者数
(東京大学・一橋大学・東京工業大学・東京外国語大学)
1 61名 県立 千葉高校(千葉県千葉市)
2 49名 私立 渋谷教育学園幕張高校(千葉県千葉市)
3 23名 県立 東葛飾高校(千葉県松戸市)
4 22名 県立 船橋高校(千葉県船橋市)
5 19名 私立 東邦大付属東邦高校(千葉県習志野市)
6 15名 私立 市川高校(千葉県市川市)
7 13名 県立 千葉東高校(千葉県千葉市)
8 9名 私立 昭和学院秀英高校(千葉県千葉市)
9 7名 県立 佐倉高校(千葉県佐倉市)
9 7名 私立 志学館高校(千葉県木更津市)
私立渋谷教育学園幕張高校は中学受験では御三家と並ぶ最難関校の1つとして有名なのですが、それを押さえて県立千葉高校が千葉県のランキング1位となりました。また、私立校と公立校がちょうど5対5と拮抗しています。東邦大付属東邦高校・市川高校とも中学受験ではかなりの難関校なのですが、大学合格実績の点では県立トップ高はこれらの高校と遜色ないようです。
次に埼玉県を見てみます。
2009年埼玉県内県立高校・私立高校別・首都圏最難関大学合格者数
(東京大学・一橋大学・東京工業大学・東京外国語大学)
1 57名 県立 浦和高校(埼玉県さいたま市浦和)
2 25名 県立 大宮高校(埼玉県さいたま市大宮)
2 25名 私立 栄東高校(埼玉県さいたま市)
4 22名 県立 川越高校(埼玉県川越市)
5 17名 県立 春日部高校(埼玉県春日部市)
5 17名 県立 浦和第一女子高校(埼玉県さいたま市浦和)
7 15名 私立 開智高校(埼玉県さいたま市岩槻)
7 15名 私立 西武学園文理高校(埼玉県狭山市)
9 10名 県立 熊谷高校(埼玉県熊谷市)
10 7名 県立 川越女子高校(埼玉県川越市)
10 7名 私立 城北埼玉高校(埼玉県川越市)
ご覧のとおり、埼玉県では公立校と私立校の力関係が完全に逆転します。東大合格者数首都圏トップ10の県立浦和高校を筆頭に、県立高校が実に7校もランクインしています。対して私立高校は近年中学受験で話題になっている栄東高校、開智高校など4校が食い込んでいますが、ちょうど東京とは逆に県立校優位の雰囲気があります。
このように、千葉県・埼玉県の場合は「地元の私立より県立トップ校」という判断も十分考えられますのでよく考えておきたいところです。
首都圏最難関大学合格者数 公・私立高校別(神奈川県)
ここでは神奈川県について見てみます。神奈川県は東京都以上に私立志向が強いともいわれていますが、公立校からの難関大進学は不可能なのでしょうか。
2009年神奈川県内県立高校・私立高校別・首都圏最難関大学合格者数
(東京大学・一橋大学・東京工業大学・東京外国語大学)
1 72名 私立 栄光学園高校(神奈川県鎌倉市)
2 67名 私立 聖光学院高校(神奈川県横浜市)
3 62名 私立 浅野高校(神奈川県横浜市)
4 40名 県立 横浜翠嵐高校(神奈川県横浜市)
5 28名 私立 桐蔭学園高校(神奈川県横浜市)
6 23名 県立 柏陽高校(神奈川県横浜市)
7 22名 県立 湘南高校(神奈川県藤沢市)
8 16名 私立 桐蔭学園中等教育学校(神奈川県横浜市)
9 15名 私立 サレジオ学院高校(神奈川県横浜市)
9 15名 私立 逗子開成高校(神奈川県逗子市)
いかがでしょう。トップ3校は全国有数の進学校ですが、そのすぐ後に県立トップ校が3校続いています。また、ここにランクインしている私立校は桐蔭学園を除きすべて男子校です。女子の場合は「中学受験で私立」と単純に考えず、慎重に進学先を選ぶ必要があるかもしれません。
以上、難関大学への合格者数を各都県別に見てきましたが、一部の私立最上位校を除けば、公立トップ校と私立上位校の間にはそれほどの差がないように思います。少なくとも「公立高校から最難関大学へは進学できない」ということはないようです。
首都圏難関大学合格者数 公・私立高校別(東京都)
ここまで「首都圏最難関大学」ということで東京大学・一橋大学・東京工業大学・東京外国語大学を見てきましたが、果たして受験生の皆さんはみんなそれらの大学を目指しているのでしょうか?もちろんそんなわけはなく、そうであるならばこれまで見てきたランキングは一般の受験生にはほとんど意味のないものということになります。そこで、ここではより一般の受験生のレベルに近い千葉大学・横浜国立大学・筑波大学・首都大学東京・埼玉大学の首都圏国公立上位5大学への合格者数を調べてみました。
2009年東京都内都立高校・私立高校別・首都圏難関国公立大学合格者数
(千葉大学・横浜国立大学・筑波大学・首都大学東京・埼玉大学)
1 51名 都立 国立高校(東京都国立市)
2 44名 都立 八王子東高校(東京都八王子市)
3 41名 都立 日比谷高校(東京都千代田区)
3 41名 都立 戸山高校(東京都新宿区)
5 38名 都立 立川高校(東京都立川市)
5 38名 都立 両国高校(東京都)
7 37名 私立 巣鴨高校(東京都豊島区)
8 35名 私立 海城高校(東京都新宿区大久保)
8 35名 私立 国学院久我山高校(東京都)
10 29名 私立 桐朋高校(東京都国立市)
こうしてみると、これらの大学への進学に関しては、都立高校は十分に機能しているといえます。また、私立に関しても御三家クラスを目指す必要は全くなく、中学受験では比較的難易度の低い国学院久我山などからも相当数の合格者が出ていることがわかります。私立だから、あるいは偏差値が高いからと学校を選ぶのではなく、よく調べて志望校を選ぶことが重要です。
最終更新:2015年10月29日 18:02