「チィー!チィー!」
ゴミ回収所の側に置かれた段ボール箱。中に2匹の子タブンネがいます。
飼い主に捨てられたのです。
1匹は助けを求めてチィチィ鳴いていますが、もう1匹は痩せ細ってぐったりしています。
果たして
誰か拾ってくれる人はいるのでしょうか。
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「わぁ、タブンネだ。かわいいなあ!」
ランドセルを背負った女の子が、しゃがみこんで箱を覗き込みました。
「チィチィ…」
お願いだから拾ってと訴える子タブンネと、衰弱しているもう1匹を女の子は見つめます。
「よしっ、あたしが飼ってあげる!」
女の子は段ボール箱を抱えると、自分の家まで小走りで帰りました。
「ママ、タブンネが捨てられてたの!小さいのにかわいそうだよ、飼ってもいいでしょ?」
「あらあら、パパが何て言うかしらね」
「パパにはお願いするよ!ちゃんと面倒見るから、ね、いいでしょ!」
「ふふっ、困った子ね。じゃあミルクでも飲ませてあげなさい」
ママからお古の哺乳瓶を出してもらった女の子は、子タブンネにミルクを飲ませます。
「チィチィ♪」
うれしそうな顔でちゅうちゅうとミルクを飲み干す子タブンネ。
女の子はもう1匹の衰弱していた方にもミルクを与えました。
「チィ…チィ……♪」
生気が戻って来たらしく、こちらも弱々しいながら笑顔を見せました。
「うふふっ、よかったね!元気になったら一緒に遊ぼうね!」
捨てる神あれば拾う神あり。子タブンネは女の子と幸せに暮らしたのでした。
(ハッピーエンド・完)
最終更新:2013年11月07日 23:59