激臭

季節は冬、ある男が家にタブンネ四匹を連れて来ていた。
男「お前ら、すまないが少しの間こいつらの相手をしてくれ。」
と、ポケモン達に一番体格のいいタブンネを除く三匹を預けた。
  • 地下室-
男「ここならいくら騒いでもバレないだろう。」
タブンネ「ミィ…?」
自分だけ別の部屋に連れて来られたのが不安なのだろう。少し怯えた声を出すタブンネに、とびっきりの笑顔でオボンの実を手渡す。タブンネは喜んで受け取る。
タブンネが必死に木の実を貪っている間、男はこっそりサバイバルナイフを取り出し、タブンネの背後に回り込んでいた。
男「タブンネ。」
タブンネ「ミ?」
タブンネが呼びかけに反応して後ろを振り向いた瞬間
ザクッ
タブンネ「ミギャブエエエエエエエ!!!」
ザクッザクッザクッザクッザクッ
男はキチガイのように笑い声をあげながらナイフを振り下ろす。
男「ふう…」
男がナイフを振り下ろす手を止めた時には、ついさっきまで笑顔で木の実にかじりついていたとは思えない形相で息絶えているタブンネの残骸が男の前もってに横たわっていた。
  • 他のタブンネ-
自分達の仲間が殺されたとは露知らず、三匹のタブンネは男のポケモンと遊んでいた。
タブンネ「ミィ♪ミミィミィ♪」クルクル
キルリア「~♪♪~♪♪♪」
このタブンネはキルリアにダンスを教わっていた。ヘッタクソなタブンネに対し、優しく、親切に振る舞うキルリアに、タブンネはすっかりなついたようだ。
タブンネ「ミィ--…ミミィ--!」
マクノシタ「ムゥ--フンッ」
こちらでは、二番目に体格のいいタブンネが、マクノシタと相撲の練習をしている。さっき、ハリテヤマに勝負を挑んで、容赦無く投げ飛ばされたため、こうしてマクノシタとトーニングしているのだ。(しかし、マクノシタもかなり手加減している。)
トロピウス「ペラペラペラペラ」
ツボツボ「ペラペラペラペラペラペラ」
タブンネ「ミィ。ミィミィ」
こちらの一番体の小さいタブンネは、冬越しのために、木の実の栽培方法と保存方法をトロピウスとツボツボに教えてもらっている。
  • そういう風に一週間後-
男「はい、ここが君たちの部屋だよ。」
男はタブンネ達に部屋を与えた。ストーブで部屋中が暖められ、加湿器で乾燥しないようになっている。
ご飯は毎日上等な木の実を幾つか与えていた。
タブンネ達「ミィ!ミミィミミミミィ♪」
タブンネ達はこの部屋が気にいったようだ。
男「さーて、君達にもう一つプレゼントだよ♪」
男「ジャジャ-ン!タブンネ君~♪」ムワ-ン
タブンネ達「ミ!?ミミ---イ!!」
この黒ずんだかろうじてタブンネの原型を保っているモノは、男が一週間かけてダストダス&ベトベトンの団体と共同で作ったのだ。それを部屋に放り投げて男はドアを閉めて鍵をかけた。
それから三匹の地獄の日々が始まった。飯は美味いのだが死臭のせいで食う気がおきず、最初は粘っていたが、そのうち食うようになった。
ある日、一番小さいタブンネが死んだ。その日から男は餌を与えなくなった。
数日後、二匹のタブンネは睨みあっていた。食料を与えられず、腹がすき過ぎて、共食いに発展したのだ。
結果は体格のいいタブンネの勝ち、その日から男は餌を与えるようになった。
  • 春-
男「バイバイタブンネ!森へお帰り。」
タブンネは解放された。そしてすぐ群れに向かった。やっとみんなに会える…!そんな思いで群れへ向かった。
いつも通りそこには仲間がいた。
タブンネ「ミィ!ミィミィミミミ!」
一人で喜ぶタブンネ。仲間に抱きつこうとしたその時ー
コツン
タブンネ「ミ!?」
群タブンネ「ミィミィ!」
どうやら冬にいなくなった輩の事などもう忘れたらしい。群のタブンネはそいつを汚い臭いのする変な生き物としか認識していないらしい。体当たりや捨て身タックルで追い払おうとする。
タブンネ「ミィ…」
タブンネは諦めてどこかへ歩いていった。
?「お、タブンネじゃないか。」
タブンネ「ミ!ミィィ」パアア
タブンネは驚き、喜んだ。何故ならその人物は、自分を飼っていた男だったからだ。
男「よお、元気か?」
タブンネ「…」フルフル
男「そうか。」
タブンネ「……ミ!ミィミィ!」
タブンネは男にまた自分を飼ってくれと頼んだ。この男の家は臭いが、飯は上等だから。
男「そうかそうか。…出てこいハリテヤマ!」ポンッ
ハリテヤマ「フンヌッ」
タブンネ「ミィ!?ミイイイイイ!」
タブンネは気付いた。見た目は変わったが、このハリテヤマは相撲の相手をしてくれたマクノシタだと。そして再会に喜び、男が自分を飼ってくれると決定する。
男「ハリテヤマ!はっけいだ!」
ハリテヤマ「フンッ!!」ズドン
タブンネ「」ピシュンッズドン
タブンネは混乱していた。なぜ親友のマクノシタが自分を攻撃するのか、男はなぜ自分を攻撃するのか。その答えを見つけられないまま、タブンネは息絶えた。
終わり
最終更新:2015年02月18日 20:49