…一年前の今日の日の事をボクはよく覚えてるミィ。
ボクは自分の命以外の全てを失った。…仲間も未来も全てをだミィ。
ドラゴンポケモンのサンドバックとして、生きているのか死んでいるのかわからない日々…。
奴等への怒りの感情もいつのまにか燻ってしまった…はずだったミィ。
「逃がしてやるふりゃ」
ボクは虚ろな目で奴を見ることしか出来なかった。
…どうやら感情を表情に表す事を忘れてしまったようだミィ
「…反応がないなんてつまらないふりゃね。まぁ、別にいいふりゃ」
大晦日だから、もう要らないから、飽きたから捨てるようにグドラに言われた。
この場所が人間に漏れるといけないから、何処か遠くに捨ててこいとマンダに頼む…とだけ伝えると、奴は奥に引っ込んで行った。
自由の身になったにも関わらず、ボクに喜びは無かった。
…そこにあったのは、ブスブスと燻っていたはずの炎だけだった。
誰もいない空間で、ボクはぼそりと呟いた。
「復讐だミィ…!」
「…何故俺なんだ? 他にも適任がいるだろう」
「私、飛べませんし」
「紅白歌合戦見てるチル。黙ってろ、喋るなチル」
「外は吹雪ガブ。俺は絶対に行きたくないガブ」
「あぁ、忙しいリュー。すごく忙しくてマンダが何言ってるか聞こえないリュー」
「…どうしても今日中じゃなきゃ駄目か?」
「ゴミは早く捨てて、新鮮な気持ちで新年を迎えたいッスね」
「口答えする権利なんて無いふりゃ。ボクは素直なボーちゃんは好きふりゃ」
「グスッ…。お前らなんか大嫌いだ…!」
「そんな訳だ。今からお前を捨てにいく」
ボクは目隠しをされて、紐でぐるぐる巻きにされる
「ボンレスハムみたいサザ!」
「…これでお前に会うのも最後クリ。せいぜい這いつくばって生きるがいいクリ」
暫くすると身体が浮かび上がり、冷たい風を感じた。
吹き荒れる吹雪。
今、ボクの復讐劇が始まった。
最終更新:2015年02月20日 01:01