タブンネとプラズマ団

俺はプラズマ団の下っ端だ。
日々上の命令で伝説のポケモン。確かレシラムだったか。
そいつの情報を集めている。
しかし、今日もめぼしい情報はなし。
そりゃ当然か。簡単に手に入ったら何の為の伝説かっていう話だ。
しかし、出世に躍起な俺の上司は情報がないまま戻れば怒鳴り散らす。
内心を隠し平謝りをしてはまた眉唾物の情報探しに右往左往。
給料の良さに入団してみりゃこんな毎日。
こんなことなら薄給でも真っ当に働くことを選んどくんだった。
などと後の祭りなことを考えながら今は草むらに腰を落している。サボり中だ。
昼下がりの気持ち良い陽気に微睡んでいると、ガサガサ、ガサガサ、と近くの草むらが揺れた。
何だよ。
俺の僅かな楽しみを奪いやがって。
と微睡みを邪魔された怒りでドサイドン入りのボールに手をかけたが、ちょっと待て。
確か揺れる草むらには珍しいポケモンが出る。もしかしたら…
俺は僅かな望みに懸け、眠い目を擦りながら草むらを覗いてみる。
しかし、そこにいたのは木の実を頬張るタブンネだった。
そう都合よくいかないとは言え、よりにもよって一番の外れである。
俺がガックリとうなだれているとタブンネがこちらに気付いた。
特に警戒した様子もなく、不思議そうにこちらを見つめている。
するとタブンネは自分の集めた木の実を拾い、「ミィ」と笑顔で俺に差し出してきた。
何だ?お近づきの印ってか?馬鹿か?馬鹿なのか?
こんな野生ポケモンにあるまじき事をしてるから格好の経験値になるんだよ。
普通の人間なら可愛いと木の実を受け取るところだろうが、生憎俺は狙ったかのような姿をしているコイツが大嫌いだった。
加えて日々上司の説教によるストレスもあり、苛ついていた。
気付けば俺は木の実を差し出しているタブンネの腹を思い切り蹴り飛ばしていた。


もんどり打って倒れるタブンネ。
食事を終えたばかりだったので、胃を逆流してきた木の実やらを嘔吐している。
タブンネはむせかえりながら顔を上げ、涙目で俺を見つめてきた。
「どうしてぶつの…?」
とでも言いたげな表情。俺はすかさずその顔に爪先を打ち込んでやる。
「ミギュ」という声と共に鼻血が吹き出す。
あー、うぜぇ。
その媚びた態度がムカつくんだよな。
俺はこのタブンネで最近のストレスを解消することを決めた。
手始めに鼻先を抑えながらぷるぷると震えているタブンネの背中を踏みつけ、一気に力を込める。
「ミッ…ミィ、アァァ…」
呼吸器官を締め付けられ、肺からの空気と共に小さな悲鳴を上げるタブンネ。
俺は踏みつける足をそのままに丸い尻尾に手をかけると、一気に引っ張った。
「ミッ!!ミィ!!ミィィ!!」
タブンネは尻尾の付け根を襲う強烈な痛みに手足をばたつかせている。
しかし、元々短い手足では何の意味もなく、まるで陸上で溺れているようだ。
血で服が汚れると後々面倒なので、千切りはせずに尻尾から手を離す。
一瞬タブンネは安堵したような表情を見せるが、次の瞬間再び絶叫した。
俺がタブンネの尻尾の毛皮を抜いたからだ。
「ミ!!ミ!!ミヒィ!!」
ブチブチ、ブチブチと尻尾の毛皮を鷲掴みにして抜く度、タブンネの口から悲鳴が迸る。
やがて毛皮がなくり、ホイップクリームのような尻尾は所々血が滲む丸い突起物に成り下がった。

続けてタブンネの足にあるハート型の肉球をライターで炙った。
「ミャアァァアァアア!!」
先程よりも大きな絶叫が響き渡る。
ハート型にピンク色と、可愛いでしょ?と言わんばかりの媚びた肉球が焼き切れ、醜く焦げていく様はたまらなくゾクゾクする。
両足の肉球をこんがり焼き、真っ黒にしてやった。
「ミィ……ミ、ィ」
叫びすぎて呼吸困難だったのか、唾液を撒き散らしながら必死に酸素を吸い込んでいる。
その様が下品だったので、俺はタブンネの首を掴み上を向かせ、ペットボトルに入った水を一気に口へ流し込んだ。
「ミボッ!!ミボボッ!!」
喉の許容範囲を超えた量の水に咳き込んでいるようだが、次々に流れてくる水が
それさえも許さない。
飲み込みきれない水が鼻から逆流している。
「ミ……ボ…」
いよいよ半分白眼をむき、意識が飛び始めたところでペットボトルを持ち上げ、首から手を離す。
仰向けに倒れたタブンネは鼻と口から水を垂れ流し、身体をピクピクと痙攣させていた。
俺はタブンネが落ち着くまであえて何もしなかった。

しばらくして、幾分か呼吸もマシになったタブンネは俺が何もしないのを確認すると、一目散に逃げ出した。
しかし、全身の痛みから足取りはフラフラ。
俺が追いつくのは造作もないことだった。
「ミッ、ミィィィィイ!!」
怯えきり、泣き叫ぶタブンネの表情がたまらない。
そのまま追いつき後頭部を掴むと、近くの木に顔面を打ち付けた。
「ミギャ!」
再び打ち付ける。更に打ち付ける。4回、5回、何度も何度も打ち付け続けた。
途中から悲鳴と打撃音に水音が混じり、程なくして打撃音と水音だけとなった。
気絶したタブンネの顔面は真っ赤に染まり、至る所に木片が突き刺さっていた。
可愛いお顔が台無しだ。
もう誰にも構ってもらえないな。
ま、いいストレス解消になったわ。
俺は気絶したタブンネを放り出し、アジトへの帰路についた
最終更新:2014年06月18日 22:37