お盆嫌いだからタブ虐る アバン

僕は今日イッシュの地に降り立った調理免許取ったばかりの新社会人。
ネットで新規オープンする商店街に店出したい人募集してるっていうから応募してみたらまさかイッシュまでくるはめになるとはね、
まあ店から住居まで提供してくれるらしいからいいや。

目的地はここヒウンからはそれなりの距離なので観光がてら歩いて行くことにした。
舗装された綺麗な道路を横目に信号待ちしていると、なにかミィミィうるさいトラックが停車した。
屋根もないトラックにぎっしり詰められたピンクの物体。あれはポケモンかな?
ボーッとみていたら信号は既に青だ。急いで渡り、メールにあった住宅地のマンションに歩みを進めた。

住宅地にさしかかった最初の家の庭先で男性が緑色のてるてる坊主から草生えたような物体を抱き締め頬ずりしながら車から荷物を降ろしている。

「チュリネちゃんかっわいいにぇー、てめえははやくしろグズ」
スイッチのように声色を切り替えてる男性が車に向かい文句たれてるけど…
大量の荷物をかかえ降りたのはさっきのトラックに積まれてたのと同じピンク生物じゃないか。
チュリネ?と呼ばれた生物がこちらに気づいたのが笑顔で頭の葉を振る。男性もそれに気づいたのかこちらを向いたので、
なんか気まずくなり軽く会釈をしマンションへ向かった。


マンションは住宅街から少し離れた場所にあった。近辺には自然もあり、都会に挟まれてる場所だからこういうのがあると落ち着く。
「あのーすみませーん、今日から入らせていただくものなんすけど」
フロントに声をかけるが留守なのか返事はない。仕方ないのでその辺ぶらぶらしてると建物の影に不自然な段ボールを見つけた。
興味から近づいてみたが向こうから誰かが現れたので身を隠してしまう僕は小心者。
ちらっと覗くと男性の足元に小さな物体が二つまとわりついてる。小さくともあの配色は間違いなくあのピンクのポケモンだ。
二匹は男性から何かをもらっているようだがそこまでは見えなかった。

フロントへ戻ると受け付けに先程の男性がいた。
「はいはいー、うかがっておりますー、これがキーで」
ポケモン可マンションの管理人なのに隠れて飼ってるのかな?まあ余計な事はいわないどこう。

部屋に入り荷物を降ろし、少し横になったあと僕はあのチュリネを思い出した。
可愛かったなー、もう一人くらいいてもいいかな。
バッグ内にある二つのモンスターボールを見ながら思い、この子達をリフレッシュさせてやろうかとライモンのポケセンを目指した。
途中、未来の我が城予定地を横目にライモンへ。本格的な説明会は明日だからね。


「イッシュはフレンドリーショップがポケセン内にあるんだ」
独り言を声に出してしまったが、それに気を使ってくれたのかジョーイさんが相づちをうってくれる。
僕は苦笑いしながらジョーイさんにボールをあずけるが、その隣にいたナースキャップをちょこんと乗せたポケモンに釘付けになった。
「それ、ポケモンですよね」
「ええそうです、タブンネといいまして当センターのナースです」
タブンネは胸に両手をあてミッと笑顔で挨拶した。
その一連の動作で、僕の中に何が沸き上がる感じがしたがまあ気にしないでおこう。
「道中たくさん見ましてね。人気なんすか?」
「え、ええまあ、そうですね。優しく穏やかなポケモンですから」
一瞬表情を曇らせたように見えたのは気のせいだろうか。


なんか疲れたから今日はゆっくり休むか。
帰り道、何故か僕は今日みた タブンネ が頭から離れなかった。

続く
最終更新:2015年08月19日 21:44