俺は善良なチビンネが小さな体で家族や大切なものを守るため「涙」を流しながら立ち向かう姿に燃える。
そして頑張っても結局壊れてしまう様にな。
最近俺の経営する物件兼自宅裏にいつのまにか出来てた汚ねえダンボールハウスをぶっ壊してやろうとナイフ片手に行った時に目覚めたんだ。
箱の奥には大ケガした成タブがいて、俺が特大ケガにしてやろうとしたところ、影からチビ二匹が懸命に俺の足をポカポカしてきた。
涙を流しながらママ?を守る姿に心がポカポカした俺は手持ちの誘き寄せ用オボンを食べやすいように切り分けて与えてやった。
したら最初は?だったものの優しい笑顔で二匹に「ママと、みんなで食えよ?」って言ったら三匹で仲良く食べ始めたんだ。
ママは弱々しく起き上がり涙を流して俺に頭を下げ、チビ達も俺に手をふってくれた。
俺は遠目から家族の小さな幸せぶりを堪能しそのまま帰宅した。
翌朝ハウスはズタズタになり、毛と血と残骸が散らばっていた。まあ俺が箱の上側に実の皮ぶん投げてったからなんだけどな。
新鮮な果実の匂いにつられてきた鳥辺りににやられたんだろ。
あの時の美しい涙が俺の心を満たしてくれたといってもいい。
守るために必死で戦う姿、そして願い届かずぶっ壊れてしまうその美学。
俺は自身の欲求を抑えられなくなった。
というわけで現在巣を探してるところだ。ここは街から離れたひと気の無い田舎道。老朽化した使ってんだかよくわからない資材置き場の裏側に巣を見つけた。
物陰から確認するとパパママとチビ二匹にベビだ。器用に枝や葉で家を作ってある。あの手は善良家族だから楽しみだぜ。
俺は一気に接近しパパめがけクイックボールを投げた。突然の出来事に戸惑う一家を尻目にすぐにボールからパパを出した。
「技ははたく、甘える、仲良くする、癒しの波動か。なんだこれ?まあいいか。タブンネ、メスをはたけ」
呆気にとられているパパだが命令するとすぐママの頬を叩いた
ママ「ミッ(ミッ!パ…パパ?)」
パパ「ミッミ!?(はっ、ミィは何を…ママ!大丈夫かミィ!?)」
ベビ「チィャーン(パパがママ叩いたー)」
チビ1、2「!??」
一家はパニック状態だ。そう、これが俺の演出するシナリオ。
突然善良家族が崩壊する!操られる父に妻は?子供は?そして背後で笑う黒幕の陰謀に立ち向かう家族の絆の力は!?ってな♪
ボール入りしたポケモンは意思とは別に俺の命令には逆らえなくなる、それがルールだ。
パパはもう俺のポケモンだからママ達は今や倒すべき野生ポケ、つまり敵だ。でもママ達はそんなルール知らない
パパが戸惑ってるのは一瞬の出来事すぎて自身が捕らえられた事すらまともに把握してないんだろうが、むしろ都合がいい。
父と戦う家族のドラマを見せてもらうぞ。
音声で聞こえるポケリンガルをセットし俺は次の命令を下す。
「タブンネ、巣を破壊しろ。徹底的にだ」
パパ「そんなことしたくないミィのに体が勝手ミィ…」
パパは木で組まれたお家をボディプレスで破壊。そしてみんなで作った石を積んだキッチン、木の椅子、草のベッドを次々と徹底的に破壊していく。
なんだノリノリじゃねえかと顔を見ると目をきゅっと閉じ歯も食い縛って破壊活動しているのがいいね。
ママ「パパそれだけはやめてミィ!チビちゃん達が一生懸命ミィ達のためにつくってくれた…土のお皿」
ボスッといい音をたてて皿は砕けた。ベビは大泣きし、チビ共は唇を噛んで涙をこらえている。
「泣け!ほらはやく泣け!涙見せろ!立ち向かえ!ほら!ほらあ!」
テーブルらしい切り株にこしかけ俺が野次を飛ばすとママが俺に泣きついてきた。汚い手で触んなよ。
ママ「もうやめてくだミィ!ミィ達にとってようやくミィつけた安住の地なんですミィ!」
ただの不法滞在だろ。お前らが苦労してきたなら尚更痛みはデカいってことか、こいつはいいや。
俺は「悪かったよ。ごめんな」とゼンマイに触れないよう笑顔で優しくママの手を握ると、ぱあっと明るくなり細めた瞳から涙が溢れ落ちた。
「はい涙1Pゲットー!!」
掴んだ腕を思いきり引っ張ってやったら変な音がしてママの右腕はだらーっと。肩脱臼したな。
ママは必死に左手で庇おうとするが腕が短いから届かない。よし、
パパに「いたいのいたいのとんでミィ」してもらうか
「タブンネ!メスの肩をぶったたいて踏みつけろ!!」
パパ「ミわあ!ママあああ!」
ママ「ミギャア!」
叩いた後突き飛ばしてストンピングを始めた。家財を破壊する力はあるようだからそうとうだろうな~
チビ1「ママをいじめるなミィ~~!ミィヤァーン!アーン!」
やったぜ!チビは俺が司令塔だと理解せず、目の前で暴行するパパにかかってったぜ!
パパ「チビちゃん違うんだミィ!パパはパパは…」
チビ1「ミィーンミンミン!」
でぇたー!泣きじゃくりだだっ子ぱんち!これゃ10Pだな、まあ俺にしてたら×2なんだかなあ。
パパは何も出来ずその腹にぱんちを受け続けるが、それよりも傍らで悶絶しているママが気になって仕方ないようだ。
「そういやチビ2は… おおっおお!ほおおーっ!」
思わず興奮してしまった。チビ2は破壊に巻き込まれてしまったおもちゃ(壊)の残骸を手で救うように集めていた。もちろん涙つき。
「あれは新しいな…無力痛感系って感じか。でも気弱だし8P」
ベビは…いたいた。ママに擦りよってるね、いいね。
ベビ「チィ…ママいちゃいいちゃいの」
ママ「大丈夫よベビちゃん…ね?」
「ありきたりだな。3P」
そろそろ起爆させるか。俺はママにしがみつくベビの首根っこをつかんで無理矢理引き剥がし宙に吊った。
ベビ「ヂィヂィー!」
いちゃいいちゃいネェ、このヂーがマジで腹立つゾ。
ママは気づいてるが他が気づいてない。よし、ちと速いが黒幕の登場だ。
「こっちみろオラア!」
皆を注目させるとベビを雑巾のように絞ってやった。
ポキポキ折れる音に合わせ口からは謎の臓物、尻からは糞と小便が噴出した。さすがに叫びは無かったね。
パパ・ママ「「ベビちゃああああああああああ!!!」」
今日一番の悲鳴が響き渡った。
「ふう」
俺は文字通り雑巾になったベビをママのポテポテ腹にぶん投げてあげた。
なんとママは苦痛に顔を歪ませながらも起きて左腕で雑巾を抱いて顔を伏せてすんすん肩を上下にしてる。
「顔見せろ」
靴の爪先で顎をしゃくるともう綺麗な涙止めどなく流すママがあった。
ママ「ミィ…ミっ…エグッ…クッ…ちゃ…チビちゃ…チビちゃぁぁ…」
いい子だ、善良はこれだからいい。クズは子を売るか歯を剥いてくるからな。
しかし感動的だ。ここで観客は泣くな。30P
チビ二匹も無機物ではなく命を持ったベビが壊された事によって放心状態となっているようだ。さすがに殺すのが早すぎたか?
チビ2「ミ…ミ…ミ…」ジョロジョロ
野郎小便漏らしやがった!ダメだ、そうじゃなく涙だっての。0P
仕方ない最後の手段だ。
「タブンネ、ベビの糞と臓物をママの顔に塗りたくれ」
パパ「嫌だミィ!ぞんなミゥはママィー!」
パパは抗えるはずもなく糞をパックのようにママにぬりたくり、最後に臓物を頭に可愛くデコレートした。そんな指示してねえよ。
「次にベビをはたき落とせ」
俺の命令と同時にパパはベビを叩き落とし、ビシャという音と共に雑巾は地に還る。
ママ「……………………………………………………………………して……チビちゃ……かえしてミィガア!」
怖い顔()のママが俺に向かって突進してきた。黒幕が俺だと解ってるみたいで安心したぞ。
足かけで転ばせて顔をを思いきり踏みつけてやった。靴に糞と臓物がついたがまあいいか。
ママ「ミィブウウ!ブウウウウ!!」
片手と両足をバタバタさせ、幼児退行を起こしたように喚き散らす。かなわないのは解るがそれでも、ってか…
「成体はやっぱ見苦しいな。やっぱこれはチビだなあ」
脇腹に思いきり蹴りをいれるとうずくまり小刻みに震えるだけとなった。
「さて、あのチビ2も焚き付けてみっかな?ここで戦わなきゃ将来生きてけねえからな」
放心してるチビ2の触覚を掴み胸にあてて、俺によってママとパパとチビ1の惨たらしい死に様を想像してから突き飛ばした。
雑巾を見たから理解しやすいはずだ。
パパにはチビ1をネチネチいやらしくいじめろ!と指示。パパは辛い顔でチビ1をネチネチはたきだした。
たのむチビ2も正義の炎を燃やしてくれ、男だろ!男だっけ?まあいいや
チビ2「ミッ…ミギッ……ミッ…ミッ…ミワアアアアアア!」
なんと座り込むと大声で泣き出してしまった。違うそうじゃねえ、座らないで瞳に正義を宿して俺にかかってこいよ!おおん!
さらに糞まで漏らし、下痢便はホイップを茶色に染め上げていた。
「なっさけねえガキだ。もういい黙れ」
靴の爪先を泣きじゃくる口内に突っ込んでグリグリしてやった。さっきのベビ糞も口に入っただろ、うまいだろ?イヤミィ?
ママ「やミでええ!」
ママが反対側の足にしがみつきポカポカ叩き必死に噛みつくもズボン生地が厚くて届かないがね。
それでも諦めないのはこれ以上愛する子を奪われないが為に、か。
チビ2「…も、もか゛が…ンンー…ンンーッッ!!」
靴越しに伝わるわずかな圧力、ついにチビ2が覚醒したようだ!
涙溢れさせた瞳に炎を燃やし俺を見据えた!歯が欠け血を流そうとも靴を離さない。
戦う意思が宿った小さな腕は無駄に宙をかく!
試しに足を振っても離さない。これだ、これがみたかったんだ!!やったぜ!
このチビ2は弱虫でずっとみんなに守られて来たのだろう。今度は「僕が勇気を出す番なんだ!みんなを守る!」って感じかな。
パパにそうなんだろ?って同意を求めてびっくり。チビ2に触発されたのかチビ1がパパの手に噛みついており、出血する程だ。
パパは子に傷つけられたのがショックらしく傷を押さえプルプルしている。
「おもしろくなってきたぜぇ!大乱闘だ!
俺のタブンネ!チビ1をぶっ倒せ!こっちもかかってきやがれ!!」
テンションMAXになった俺はママを肘落としかました後、チビ2がついたまま廃屋の壁面に蹴りを叩きつけた。
土壁が砕け粉塵をあげ、トタンの割れた破片が刺さり、残った鋭利な部分がチビ2を切り裂く。
粉塵が晴れてもチビ2は離していなかった。
そのまま木に、地に、水溜まりに、どんなに叩きつけてもその瞳は陰りをしらない。こぼれる涙が宙で光輝いている。
あっちもすごい。パパが石でチビ1を殴ってるし、チビも負けずに木の枝でパパをペチペチしている。
足にちょっと痛みを感じたので振り替えるとママが角材で俺を叩いていた。
「おもしれえじゃねえか…」
俺はチビ2がついたままママを蹴り飛ばし、角材を反対足で割った。その2本の尖った先をママの両耳にぶっ刺してやった。
「てめえも…いいかげんにしやがれ!」
壁際に積まれたコンパネに向かって蹴り出したが角度が悪かったのかチビ2は剥き出しの面で首を切断されてしまった。
「はあはあ…チビ2、お前100Pだよ」
力尽き落下したチビ2の頭を踏み潰し、パパ側に目を向けると返り血を浴び真っ赤になったパパが涎をたらしながら失禁していた。
チビ1の頭はばっくり割れていて血が流れていて体は痙攣しているが間もなく死ぬか。
「みんな死んだよママ?」
耳にでかいピアスをつけたママも虫の息だ。
ママ「…どう…して……こ……ん…な…こ…と………………」
よし、死んだな。俺は死骸を一ヶ所に集めた。猛禽の皆さんが食べやすいように。
パパ「ミっ………ミヒ…次の命令してミフ」
完全に狂ったか。まあ後で捨てればいいか、食われるか経験値になって終わりだろうし。
ボールに戻し俺は切り株テーブルに腰を降ろし一息ついた。
終わった、この気持ち良い疲労、これが達成感か。靴に視線を落とすと歯形がしっかり残っていた。
この靴は大切にしよう、運命に抗い大切なものを守るため命を捨てて戦った小さな戦士の記憶。だからな
腰を上げ俺は家路に着く。
俺は今日を絶対忘れない。涙の美しさと命のドラマを見せてくれた一家に俺は深く感謝し沈む夕陽に向かって歩みを進めた
三話終 最終話に続く
最終更新:2015年08月24日 20:15