サンドバッグへの目覚め

友達のタブンネは頭もよくて毛並みもいい。
私が遊びに行くと「ミッミッ」と人懐こく微笑んで出迎えてくれるし、小さな手を器用に動かし、友達の手伝いもして本当にいい子。
もちろんバトルも結構な勝率らしく、タブンネにしては本当に優秀。

そんな友達のタブンネが羨ましくて私もパートナーに選らんだ
・・・が、なんで同じタブンネなのにこんなにも違うものなのか。


私のタブンネは木の実が落ちていれば私の制止も構わず拾って食べる。
家に帰れば「私の」ソファーで一休み。
バトルなんて勝ったためしがない。
唯一いいところなんて他のタブンネよりちょっと顔が可愛いだけ。


私のしつけが悪かったのかとエリートトレーナーさんに頼んだりもした。
でも決まって言われる言葉は「いい子じゃない、問題無いわよ」

もう確信した。ああ…私のことをなめてる訳ね。 相変わらず私のソファーでくつろぐタブンネ。
もう見ているだけでむかむかする。

近寄っても耳をぴくりと動かすだけで私に見向きもしない。
また人間が自分の席だとほざくのだろうと耳を畳む始末だ。

今からどっちが格上なのかわからせてあげるからね。


まずは畳んだ耳を掴む。
ぎゅっと強く握りこめば「ミギュッ?!」と突然の出来事に対する驚きと痛みにカエルが潰れたような声を上げる。

離せとばかりに睨みつけてくるが勿論離さない。
むしろ握る力を強めていけばどんどんこの糞タブンネの顔はゆがんでいく。

「ミッミィ…」
徐々に哀れを乞うような表情になるが私の苛立ちを煽るだけで抑制の効果なんて無い。
一瞬反撃されたら…なんて考えがよぎったけど一度捕獲されたポケモンは人間に危害を加えられない。

耳から手を離すとササッと耳を隠すような仕草で耳を撫で始める。
ここで反省したならやめる気が起きた…かもしれないけどやっぱりコイツは睨んできている。

両手で耳を撫でていたのでガラ空きのボディーに蹴りを入れる。
何度も 何度も。
口からちょっと血が出てきちゃっているけどそんなこと関係無い。コイツは私を散々ナメてきたんだし。
触角を引っ張る 必死にうずくまり、短い腕で守る頭を蹴る。
なんて爽快なんだろう。
怯んだ瞳で見つめているけど私には理解できなかった。だって蹴るのがこんなに快感だなんて誰か知ってた?



結局このタブンネは私を見るだけで震えてしまい、殴ってもいい反応をしなくなってきたので逃がす羽目になってしまった。

また新しいサンドバックを捕まえてこないとね。
最終更新:2014年06月18日 22:44