親子拉致監禁虐待無惨

「ミーミー♪」
静かな昼下がり。街から離れた森を背にした草原で成体タブンネとチビ4匹が楽しそうにしていた。よく見れば草を編んだようなベッドにベビもいる。
計6匹の家族だが、成体は一匹しかいない理由は不明だ。
成体は走り回るチビ達を笑顔で見つめ、木のカゴから実を取りだし並べていた。


それらを見つめていた男は直ぐ様成体に駆け寄り眠り粉を含ませたハンカチで昏睡させる。
その際に乳をまさぐり、その張りからして♀のおそらく親だろうと確信した顔だ。

「ミッ…チミャアア!」
突然の事に呆然としていたチビ達がわめき始めた。男は無表情でしばらく様子を伺いはじめた。

倒れたママを必死に揺するチビ、歯を剥き威嚇するチビ、オタオタ泣くチビ二匹様々。
男はママを担ぎ車の後部席へ乗せる。チビ達もどうしていいかわからずただママを担いだ男についていくしかない。
最後尾のチビは泣き叫ぶベビを抱えていた。

チビ達は次々ママのいる後部席に乗り込み、皆ママに張り付くよう体毛を掴んで震えている。
動き出した鉄の監獄から見える草原は徐々に無機質なアスファルトに変わり、幸せは一瞬で崩れ去った。

後部席では相変わらず涙を流しながら必死にママを舐めたり撫でたりするチビ達だが、そんな様子も男は何も見ていないが如く車を走らせた。


ついた先は山奥の小屋。
男は車を停めチビを払いママを担ぎ小屋へ歩みを進めた。先程と同じくチビ達も必死に男を追う。
とにかくママから離れたくないのだろう。

バチィン!!
「チィゲッ!」
大きな金属音が山に響く。チビのうちの一匹が所謂トラバサミに下半身を挟まれてしまった。
本来なら足なのだが、チビには大きすぎたようだ。

「ミィーッヂヂーッ!」
激しい痛みを必死に耐え金属部に手をかけるがもちろん開くはずはない。
どうみても刃は腹部をちぎれるように貫通しているのだが、死なないのは今の状況や叫んで興奮しているからだろうか?

「ミィッ!チィッ!」
必死に罠をペチペチ叩くチビ、ベビを抱きオロオロするチビ、
男のズボンの裾を必死にしがみつくも歩みを進める足に前のめりに転ぶチビと今回も様々に慌てる。
そんな様子に振り替える事もなく男はママを担いだまま小屋へ向かう。

ベビを抱いたチビはトラバサミと男を交互に見て、涙を流しながら男についていった。
ベビの事を考えた末の結論だろうが、何度も振り替える様は必ずママを連れてくるといいたいのか。
「ミェーン!ミャーン!」
手を血で真っ赤に染めながらも健闘したチビだが、もはや動かなくなった家族に泣き叫び、自身も男達の後を追うしかなかった。
トラバサミに下半身を破壊されたチビは立ったまま絶命した。

罠を叩く事を諦めたチビは、男にすがり転んだままのチビの手を繋いで起こして、手を繋いだままよろよろと小屋へ向かった。

………………
小屋の中は廃墟寸前といった感じだがそんなのチビ達には関係ない。
目覚めぬ母、死んだ家族、そして部屋の中心にある錆だらけの網篭がさらに不安を煽る。

自分達は一体どうなるのか?「ミィィ」と問いかけても男は一言も言葉を発しない。


「チャーァ!ミャー!」
男は母を乱雑に投げ、それに駆け寄るチビ達のうち、トラバサミをはずそうとしたチビ、それの首根っこをつかみ、その錆だらけの網篭に押し込んだ。
必死に腕にしがみつき抵抗するも二、三回手を振るうと撥ね飛ばされてしまった。
施錠され、網を掴み涙を流しながら必死に揺するチビを無視し、男は二匹目を掴みかかった。

「ヂィーッミヂィー!」
これは男の足にしがみついたチビだ。腹を出し必死に威嚇し抵抗するも、男の手は臆する事無く胸元へ近づく。
「ミガブッ」
胸に触れる直前にチビが男の腕に噛みついたのだ。小さな蒼い瞳に涙を浮かべ、恐怖に震えながらもその歯を突き立てる。
それが効いたのか、男は身を強ばらせ手を引いてしまう。
その腕には噛んだ事で抜けたのか、小さな乳歯が刺さり、抜くと少量だが血が出た。
噛んだチビは口から血を流しながらも必死に倒れたママに這いながら近づく。

ダン!メキ゚ッ
「ミ!ミィヤアアアア!」
無防備な短い両足が男の硬い靴により踏み潰された。
それだけでは済まない。チビを仰向けにし、どこから持ち出したのか木の棒を振り上げその小さな口に叩きつけた。
「ミッ」「チッ」「ゲボッ」
何度も何度も。

口内は折れた歯と血にまみれ、チビは自身の血で呼吸困難だろう。
さらにその口や鼻を手で塞がれ、完全に呼吸が出来なくなった。
男の腕は血管が浮き出るほど力がこめられ、噛み傷からは血があふれだす。

間もなくしてこの抵抗したチビは窒息死した。何度も痙攣したところからしてかなりの苦しみを味わっただろう。

網からも叫びがあがった。
ベビを抱くチビもひたすら身を丸くして、泣き叫ぶベビを抱き締めている。

そして次に狙われたのは、このベビを抱いたチビ。
まずベビをひったくられ、汚い段ボールに入れられる。それを失禁しながら震えるしかできないチビに対し男は先ほどの木の棒を突きつけた。
血がしたたり落ちる木の棒で額を小突かれると今度は後ろからもりもり緩い便が溢れ出す。

振り上げられた木の棒に驚いたのかそのチビはそのまま糞尿の中で失神してしまった。

二度も家族の死を目の当たりにした篭のチビは失神が死んだようにしか見えず、再び泣き叫ぶ。
まるでママを起こそうとしてるかの如く。

……………
しばらくは静寂があった。篭チビは疲れやストレスからか少し寝てしまったようだが、異音に目を覚ました。
ボチャと投げ捨てられたのはトラバサミチビの死体だ。下半身がなく上半身からは臓器が垂れ下がっている。

「ッ――――!――――!!」
声が出ない。要因は様々だろうが、声が出なくなってしまったのだ。
追い討ちをかけるように今度はなにかを叩く音がする。
ママが男に何度も顔を平手で叩かれているのだ。衝撃に目を覚ますママは眼前の光景を目の当たりにした。

下半身の無い子
糞尿にまみれ動かない子
顔を真っ赤に染めてる子
汚い篭に入れられている子
そしてベビの姿は視界に無い

ママは「さっきまで草原で」という感じに辺りを見回すがここは暗く湿った廃屋。

ここでようやく異常に気づいたようだ。
「ミィッ!ミィッ!!ミィッ!?」
チビ達の元へ駆け出そうとするも胸が柱に鎖で縛られている。ママはようやく自分を見下ろす男に気づいたようだ。
「ミッミッ!」
ここはどこ?ベビちゃんやチビちゃんはどうしたの?といった感じだろうか。
だが男の手に抱かれてるものを見て声を失ったったのはそのはず、ベビだ。

「ミッ?ミッ!」
ベビちゃんになにするの?と言いたいようだが、男の片手には汚いが哺乳瓶があった。
ママは幼少時に巣を奪われる前に住んでいた公園で、人間がベビポケに哺乳瓶で授乳させていたのを見たことがあった。それがあってか、

「ミッミ♪」
授乳させてくれるの?となんと笑顔を見せた。なんだかんだでああいうのを羨ましいと感じていたのだろうか。
だが眼前のチビ達を見て一瞬の夢や期待は絶望に引き戻されたようだ。
ママは純真なのだろうが、そんなの男には関係ない。

その様子を確認すると男はベビを箱に戻し、汚い箱から汚い瓶をとりだし中身を汚い哺乳瓶に注ぐが、ママは再び絶句した。
もちろんミルクは液状で白いくらいは知ってる。だがそれはカビだらけでヨーグルトやバターでもないまさにヘドロ。
固形なのか液状なのか解らないそれは哺乳瓶の上にベチャッと覆い被さり、入れ口の部分からゆっくりと円形に底に垂れていく。
まさかまさかと目をぱちぱちさせるママに見せつけるよう男は汚い水を哺乳瓶に注ぎ振る。どうやら完成したようだ。

ベビを抱え汚い乳首を口に押し込む。ベビは反射的に吸い始めるが、すぐにケッケと吐き出した。そしてチーチー騒ぐ。
当然だろう、冷たい以前にミルクですらないのだから。

「ミィーッ!ミィーッッ!!」
ママはベビの異変に必死にもがくも鎖はそれを許さない。嘲笑うよう男は無理矢理口に突っ込み哺乳瓶に力を込めた。
口、鼻から溢れるヘドロ。チビは小さな手をギュッと握りしめ、それを必死に飲み込んでるように見える。
溢れたヘドロで胸も腹も顔も真っ黒だ。

変形する程握りしめた哺乳瓶はすでにカラで、ようやくチビは床に解放された。
口から溢れるヘドロ、鼻からはプクプク気泡まで見えるがベビはママを見つけたのか、ママへふらふらとしたハイハイで歩みを進める。

「ミッ!ミーン!」
涙を流しながら必死にベビを呼ぶが、ベビは尻をつき出すよう上半身だけ床に伏せてしまったのはまだ覚えたてなのだろう。
尻からは乳児特有の軟便があふれ出るが、今のママはそれを舐めてやることも叶わない。

そんな様子もおかまいなく男は汚い紙のようなものでベビの尻を擦り出した。
「ケポッケッ」
紙ヤスリだ。痛みに声をあげようにもヘドロがそれを遮ってしまい、呼吸すら危うい。
男は何度も何度も尻をこすりあげ、下痢便に爛れた肛門もおかまいなし。紙は便の色の他に赤も混じり出した。


「―――――――!」
再び家族の危機に篭チビも必死に篭を揺する。だが錆びた網は容赦なくチビの手を傷つけていくだけだった。

ママも声がつぶれる程叫んだが男は手を止めることは無かった。

…………
ようやく止んだがベビは微動だにしない。
ママは「ミ゛ィミ゛」としゃがれた声でベビを呼ぶ。それに気づいたよう男はベビの尻をむけママにつきだした。

「ミ゛ミ゛ッ!?」
事態は想像を絶した。擦られた臀部の毛は抜け落ち皮膚もはがれ骨が見える。
さらに破壊された肛門は大きな穴と化し、血が止めどなく溢れ出す。
男は見せつけたあとベビを部屋の隅に放り投げた。
右も左もわからないまだ幼すぎたベビはその小さな体で極限まで苦しみ、もがき、激痛に見舞われ死んだのだ。

「ミクッ゛…ウック…ミィミ゛ミ゛ャアー!!?」
抱いてあげることもできないママは泣くしかできなかった。どうしてこんなことするの!!?と言っても人間に言葉は通じない。
人間にも触角があればミィのつらくて悲しい気持ちが伝わるのに なんて思う余裕も無いだろう。


だがこれで終わるはずがない。男は筒と小さな金属を持ちママに歩み寄った。
カチと小さな音を立てたそれからは火が出た。ライター自体は知らないが本能で解る、これは危険だ。
ママは必死に身を捩らせるが無駄に終わり、大きな火がママの足の裏を焼いていく。

「ミギアアア!ミョオオ!オオーンムミア!」
ライターの後ろにあるスプレー缶を吹くと小さな火は大きな火に変わり、足を焼く。

プスプスと煙をたて、落ち着くとピンクの肉球は真っ黒な炭に変化していた。
激痛に顔を歪ませるママと、それを必死になんとかしようとする篭チビ。
それに応えたのでは絶対ないだろうが、男はママの鎖をほどき、篭を開けた。
駆け出したチビを抱き止めるべく、ママも鎖をはらい駆け出すが
「ミビャアアアアアアアアアン!!」
思いきり倒れ柱に頭を強打した。当然だろう、足の裏が崩壊してるのだから。
さらにここの床板はささくれだち、痛んだ足裏を容赦なく刺す。無駄な自重も相まって痛みは倍加されているはずだ。

倒れたママに必死に抱きつくチビ。ママも唯一生きてるであろう我が子を抱き止め涙を流す。
くどいようだがこれで終わるはずもない、むしろママはこれからが始まりなのだ。

ドアを開け男は二匹を解放した。それに気づいたからかママはチビの手をしっかり握り痛みを堪え外へ歩みを進めた。
追われる様子もない、ママはひたすら歩みを進めた。
木の枝等の自然物が容赦なく足をえぐる。それでも手から伝わる子の暖かさがママを奮い立たせひたすら走る。
なんとしてもこの子は助ける、手の血もすぐ舐めて治してあげるから。
涙を拭い、決意を秘めた瞳はひたすら地を駆ける。
途中血塗れの下半身が視界に入っても振り替える事なくしっかり手を繋ぎ駆ける。
ひたすら 駆ける。

さほど距離は無かったのか、山道は開けた場所にさしかかった。
何もない砂利と石だけの広い空間。もう少しと言わんばかりに歩みを進めたが…

…………ブウウウウウウウン!
背後からせまりくる鉄の塊、男が運転する車が親子を追いかけてきた。
すぐに追い付けるはずだが男は必要以上にエンジン音をたて、ゆっくりと近寄る。
恐怖を煽っているのだろうか。

広場の中心あたりに差し掛かったくらいだろうか、車はママ達の周りをグルグル周りだしその円も徐々に小さくなる。
次の瞬間、バンッ!という音と共にママの体が宙を舞った。

車がママを撥ね飛ばした。

それでも胸にしっかりチビを抱き締め落下による怪我もさせないよう身を丸くし、よろよろと立ち上がる。

子への想いがママに力を与えたのだとすれば残酷だ。

バンッ!ズリリッ!ガスッ!
車は前後しながら何度もママにぶつかった。

足が潰れる、耳が轢き潰され千切れ落ちる、眼球は飛び出し、口からは血と臓物が飛び出す。
メキメキメキメキ
タイヤはゆっくりとママの下半身から上半身に乗り上げていく。
体内のあらゆる臓器や骨を平坦にされてもママは子を守る為に上半身を起こしチビを潰さないよう耐えた。
だがそれも空しくついに力尽きてしまい、最期の力で子を投げ出した。

無傷とはいえ衝撃を受け続けたチビの意識も朦朧としている。ママへ必死に手を伸ばすもすでに赤いカーペットとなっていた。
涙に滲む視界に黒光するタイヤがこちらに近づいて、弾ける音を最期にこのチビの意識は消えた。

……………
…………
………
……
「ミッー…」
小屋で目を覚ましたのはあの失神チビだ。眼前にはたくさんの血痕、家族の死体、そして隅にある小さな死体。
チビは変わり果てたベビを抱き、静かに泣いた。
傍らに顔や下半身の無い家族があるのももちろん、何より身を覆う悪臭も大きく関係しているのだろう。
家族が殺されていく中、自分は気絶し糞尿を漏らしただけ。それが情けないと感じていると想像するのは邪推だろうか。

ガタン!ドアが開く音に嫌でも視線がそちらへいく。あの男だが、平たい大きな何かと小さな何かがを抱えている。
訪ねる前に答えはでた。

「……」
チビは泣くことすらなかった。

徐々に近付く男の影、チビは無抵抗に目を閉じたがそうはいかない。
どんな理由であれそれぞれ最期まで生きる事を諦めなかった家族とは違い、死を受け入れたチビに与えられたのは…

――――――――――――――

チビは草原に一匹佇んでいる。草のベッド、木のかごと並ぶ木の実。
そこは数時間前まで笑顔に満ちていたあの草原。
家族の幻影は風化し、チビは失われた両触角を撫でる。止血や治療はされているようだが再生はしないだろう。
尾も気にするが体型的に届く事はない。


男はあの後チビの触角を切り、車に乗せ、元いた草原で解放したがその際に尾にスプレーをかけて去った。

チビはわからないが、スプレーは強力なポケモンよけスプレーだ。
スプレーは尾が濡れる程しっかり吹き付けられ、効果が消えても染み付いた匂いは消えないだろう。

タブンネが触角を失うのはコミュニケーション手段を失うということ。相手の感情が読めない不安に常にかられる。
おまけにスプレー効果で他のポケモンどころか同族をも寄せ付けない。
チビはまだ食事も満足に得られる程に狩りができるわけではない。

男がチビに与えたのは、最も凶悪な虐めだ。
家族の死を悔やみながら弱い自分を責め、満足に食事もとれず、さらにスプレー効果で捕食もされず同族からも見捨てられる。
この時勢にタブンネを拾う人間等ありえないし、ここから人里まではかなり距離がある。
奇跡的に街に着いてもこんな身なりでは駆除されるのは確定的。
そもそも人間に対する恐怖心は幼いチビを支配し、人間に頼るなど思うことはないであろう。

穏やかで優しく、ベビを大切にしたチビはどのように死に抗うのだろうか。
家族の眠る山小屋など、車内で震えていたチビには方向すらわからない
孤独や自責に苛まれながらいずれ餓死するのか、恐怖に耐え人間に自分を殺すよう願うのか、それは誰にもわからない。

チビは視線を落としちらばった実を手に取る。
これはみんなで食べて笑顔になるはずだった実。
一口かじると枯れたはずの涙がとめどなく溢れ実を濡らした。
この変わらない甘さだけが唯一チビを慰めてくれるものだったのだろうが、いずれ全て消え行く物だ。


未来は無い


お わ り
最終更新:2016年01月11日 17:59