幕間
パパは連日の行為に満足気に寝息をたてていた。
温厚だが勇敢だったパパが豹変したのはやはりあの虐待からだ。
本来♂は狩り等の体を動かす事でストレスを発散するが、もちろん現状ではかなわない。
自身が強いと信じて疑わず、環境からピンチになったことすらないパパからすれば初めての敗北。
人間になすすべなく、妻の前で全身を壊されていった屈辱は肉体だけでなく精神も蝕んだ。
お荷物状態で食事も二重の意味でまともにとれず、さらに娘から介護される情けなさと悔しさ。
痛みによる睡眠すらまともにとれない日々に膨れ上がった三大欲のうちの最後の一つは性欲。
もちろん子作りなどする場合ではないが、彼に降りかかった災厄はそれすらも破壊し、娘に処理させるに至った。
現状からすれば、タブンネのアピールポイントである尾を失い、触角も無く腹も爛れたママは醜いタブンネ以下でしかない。
そんな中下腹に刺激をもたらすは汚れをしらず綺麗で若々しい娘ンネの姿。
極限状況では娘を♀として見てしまう。
タブンネは家族の愛や信頼が強い生物だが、今の状態ではまともな思考など無く、ただ野生や本能それだけでしかない。
新たな伴侶を得たことにより、かつて愛した妻は今は「醜悪な魔物」でしかない。
食事もママは子供には内緒で栄養がありそうな肉片や菓子類をまわしてくれる。それ以外は残飯雑草だが。
パパは肉や菓子のみを食べ、残飯飯はすべて吐きかける等ママに嫌がらせをするようになった。
もう一つのストレス解消として。
「ブスンネはグズミィ!ミィみたいくたくさんおいしいものとってこいミィ!ブフーゥッ!」
叫びたくとも言葉にならず、互いに触角がないから伝えることもできないのはママにとって幸か不幸か。
一週間が過ぎた頃にはパパは自分の欲を解消するためだけに生きる存在に変わり果てていたのだった。
二重にストレスを解消したパパの前に現れた息子の前では良きパパを演じる。
ブスンネも自分には逆らわない。
娘…いや♀ンネとは毎日行為をする日々。
「体が良くなったらあの糞人間に復讐してやるミィ」
もう治ることはないであろうボロボロの腕を天にかざし、笑った。
その口からは涎がだらしなく垂れていった。
幕間 終わり 家族の章へ続く
最終更新:2016年12月01日 23:14