イッシュでは古来、タブンネは人々に救いをもたらすポケモンとして崇められていた。
しかし、海を渡って好戦的で肉を好む外来種が多く渡来し、戦いを好まず温厚なタブンネは恰好の餌食となり数が激減した。
そこでタブンネが種の存続のために身につけたのは類まれなる繁殖力であった。
捕食されてもそれを上回る勢いで繁殖し、生息域をイッシュ全土に広げていった。
だが次はこの繁殖力により問題が起こった。
数が増えすぎたことにより、原生の食料だけでは不足してしまったのだ。
とても仲間達全てを養えなくなったタブンネは人間の作る作物にも手を出さざるを得なくなった。
当時の人々にとって農業は生活の根幹である、貴重な作物が喰い荒されることに黙っていられるはずはなかった。
無論食害はタブンネによるものだけでなく、むしろ他の外来種によるものが多いほどだったが、
目立ちやすく逃げ足も遅いタブンネが捕まることがほとんどであった。
タブンネは活きるためにほんの少しの食べ物が必要なだけだったのだが、人間の作物を食い荒らしてしまったことで、
他のポケモン達の害悪も転嫁され、いつしか害獣として忌み嫌われるようになっていた。
タブンネは穏やかにひっそりと暮らしたいだけであった。
だが憎しみの対象となったタブンネは、人間からも狩られるようになってしまい、再び絶滅の危機に瀕することとなった。
ポケモンとは違い、明確な悪意を持った人間達が行うタブンネへの仕打ちは凄まじいものだった(詳しくはタブンネスレまとめwiki参照)。
周りは全て敵、虐殺を恐れたタブンネに残された道は、もはや表から姿を消し隠れ生きるしかなかった。
タブンネの技として特徴的な、「癒しの波動」「仲間づくり」「お先にどうぞ」などは嫌われぬために何とか生き残ろうと、
非力なタブンネなりに編み出した知恵なのだろう。
そして自分達の生活を脅かされぬため、己より強き物、弱き物を見極めて戦う洞察力を身につけた。
こうして、長い時が過ぎ、人々の記憶からタブンネにまつわる悲しい歴史が忘れ去られ
今日では再び人間のパートナーとして愛されるようになった。
それでも、未だに多くの人間がタブンネを狩り、虐待し続けていること、野性のタブンネが人を恐れ各地に隠れ住んでいるのは
長い歴史によって遺伝子に刻まれた本能なのだろう…。
最終更新:2014年06月20日 00:29