非常食

どうしようか。
何も持たずに森に入ったら迷ってしまった。もう3日経ったろう。
俺はここでくたばるのか、そう思った途端力が入らなくなり仰向けに倒れてしまった。
それからしばらくして、「みぃみぃ」という鳴き声と共に目の前にタブンネが現れた。手にオボンの実を持っている。腹が減っている俺はすぐにタブンネの触覚に触る。
俺がどういう状況かわかったタブンネはオボンの実を俺に渡す。礼にやれる物が無いのでタブンネの頭を撫でてやると気持ち良さそうにしていた。

とりあえず俺は再び帰り道を探すことにした。するとタブンネがついてくる。本当に「やさしいポケモン」なんだな。
腰に手をかけた時、未使用のモンスターボールがあった。これでタブンネを捕獲。嬉しそうなタブンネを見て少しいじめたくなってきた。

あれから2日、まだ出れない。
腹の減った俺の目の前にはさいせいりょくのタブンネ。俺は食欲を抑えきれず、タブンネの両耳を引き千切った。
「みぃぃぃぃぃ!」と悲鳴をあげるタブンネ。逃げられる前にさっさとボールへ戻す。
頑張って火をおこして耳を焼く。こんがり焼けたところでタブンネをボールから出す。
出てきたタブンネは涙目で再生した耳を押さえていた。どうも嫌われたようだ。仕方ないのでタブンネを説得する。
「さっきはすまなかったな、タブンネ。でも仕方ないんだ。食料が無いのだから。だから、1日一回耳をくれ。飢えをしのぐにはこれぐらいしか無いんだ。」
タブンネは渋々承諾する。いい子だと頭を撫でてやり、焼けた耳を渡す。
タブンネはさっきまで自分の一部だった物を食べるのをためらっていたがこれしか食べ物が無いから仕方ないと食べ始めた。

それから毎日、タブンネの耳を千切ってボールに戻して耳を焼く。タブンネはこの気がおかしくなりそうな作業を必死で耐えていた。

やっと帰ってこれた。タブンネは自分の事のように喜んでいる。
家についた俺は命の恩獣とも言えるタブンネにオボンの実を沢山あげる。タブンネは美味しそうに食べている。
最後の食事おいしかった?と聞くとタブンネは首を傾げた。「最後の」とはどういう意味か気になるようだ。
俺はあるポケモンをボールから出す。腹を空かせたボーマンダ。俺はボーマンダに「できるだけゆっくり味わって食えよ」と言う。
ボーマンダはタブンネに襲いかかる。タブンネは逃げだす。しかしボーマンダは飛んで回り込む。タブンネは俺に助けを求めた。俺ならきっと助けてくれると思ったのだろう。
俺はタブンネの近くへ寄る。タブンネは安堵の表情を浮かべている。その顔を見た俺は頭を撫でるフリをしてタブンネをボーマンダに向けて突き飛ばす。
凄まじい絶望の顔でタブンネはボーマンダにかじられる。そこで俺はタブンネのボールを叩き壊す。さいせいりょくによる回復も出来なくなり、タブンネは更に絶望していた。
最期に「みいぃ…」と鳴いた時の表情をみたとき、勃った。
最終更新:2014年06月20日 00:29