修学旅行

ぼくたちが修学旅行で行ったのはイッシュ地方だった。
イッシュにはタブンネという可愛くて優しいポケモンがいると聞き、とても楽しみだった。
1日目の昼間は、バチュルやキバゴ、シママなどに会えて嬉しかった。
タブンネちゃんはどこにいるんだろう。早く会いたい。
夕方宿に到着すると、宿の玄関の両側にチロチロと燃える光があった。
近づいて見ると、2匹のタブンネが両手に蝋燭を持って出迎えてくれていた。
両手だけではない。頭の上にも太い蝋燭を乗せているし、口にもくわえている。
ぼくたちが整列すると、両手を高く上げて舞を舞うようにくるりと1回転した。
驚いたことに尻にも蝋燭が刺さっていた。
「こんなに歓迎してくれるなんて。タブンネって本当に優しいポケモンなんだな」
ぼくたちは感動したが、タブンネが悲しそうな目をしているのはいったいなぜだろう?

滞在中はタブンネが全力でぼくたちの世話をしてくれるようだった。
大食堂に行けば、配膳係がタブンネなのはもちろん、
お膳を載せる台も四つん這いになったタブンネだった。
「万が一台が身動きして汁物をこぼしたりしたら、尻をつねってやってください」
女将のゴチルゼルが言った。
それで食事中あちこちから「ミッ!」「ミッ!」と悲鳴が上がった。
風呂でも湯女役のタブンネがみんなの背中を流してくれる。
部屋に戻ると蒲団が敷いてあった。
疲れていたので倒れ込むと、枕が「ミィ!」と声を出した。
枕カバーを取ってみると、中味は手足をガムテープで固定された子タブンネだった。
「こんな小さなタブンネもこうして働いているんだ。ぼくたちもがんばらなきゃ」
急に元気が出て来たぼくたちは、それから1時間子タブンネ枕で枕投げ合戦を楽しんだ。
ぼくたちはタブンネが大好きだ。
最終更新:2014年06月20日 00:35