不器用タブンネのお掃除

特性が不器用のタブンネに掃除道具を押し付けて俺が仕事から帰ってくるまでに家の中を掃除しておけと言う。
タブンネは俺が自分を頼りにしているとでも思ったのかまかせてくれとでも言うような顔で「みいっ!」と元気よく鳴いた。
威勢だけはいい。
だがこの不器用なタブンネに掃除道具がまともに使えるはずもなかった。
まず初日。
言えに帰るとタブンネは廊下で雑巾がけ用のバケツをひっくり返し廊下も自分自身もびしょ濡れだった。
俺が帰ってきたことに気づいたタブンネが申し訳なさそうな顔で近づいてくる。
そのまま目の前まで来るとタブンネは頭をぽりぽり書いて照れくさそうな笑みを浮かべた。
俺は目一杯害のない優しそうな笑顔で返して、それから、狙いを定め、思い切りタブンネの腹をつま先で突き上げる。
「ミギャアァッ!」
タブンネは体をくの字に折り曲げふっ飛んだ。
ずざざっと廊下を滑り、呻き声をあげながら「どうして?」とでも言いたそうな顔で見てくる。
俺はさらにタブンネの腹やケツを蹴り飛ばし、首根っこを掴んで顔面を殴りつけ、時に壁や床にたたきつける。
「ぎゃっ!みぎゃっ!ひぎっ!ごがっ、ぎいいっ!ぎゃあああ!」
タブンネはなぶる度にいちいち無様な悲鳴をあげた。
そしてタブンネがボロボロになって動けなくなった頃に耳元でささやく。
明日も今日みたいにちゃんと掃除ができてなかったらまたなぶる、と。
タブンネはぶるぶる震えながら何度も頭を縦に振った、よほど恐ろしいらしい。

だがやはり不器用なタブンネに掃除ができるわけもなく、次の日もその次の日もそのまた次の日も、タブンネはまともに掃除ができずなぶられた。
やがて掃除道具がどうしても使えないタブンネは動かし慣れている自分の尻尾を使って掃除をするようになった。
尻尾を揺らしてカーペットのゴミや埃を払い、フローリングの床には尻尾をごしごし押し付けて汚れをふき取る。
そのため少しは綺麗になるようにはなったが、所詮は使いにくい尻尾で無理矢理やったものだ。
カーペットの上にはゴミや埃はいくらでも残っているし、フローリングの床は汚れのある所しか拭いていないようであるのがよく目立つ。
ある日帰ってきた時にタブンネが廊下にちょこんと座り尻尾のある背中の方に首を伸ばして廊下を拭いている所に遭遇したので「それじゃやりにくいだろ」と言って尻尾を引きちぎってやった。
尻尾のあった所からは血が吹き出しタブンネはこの世のものではないような悲鳴をあげてのたうち回る。
その傍らに千切った尻尾を叩きつけ血で廊下が汚れたから掃除しておけと言う。
それからタブンネは千切られた尻尾をホウキや雑巾のように使い始めた。
不器用なタブンネにはそれをかろうじてホウキや雑巾の代用にすることはできても洗うことまではできないようで、2・3日もするとすっかり汚れてしまった。
元々自慢の毛並がよく真っ白な尻尾が使い古した雑巾のようにボロボロになってしまったのが悲しいらしく、タブンネは時々その尻尾を抱いて静かに泣いていた。

さてこうなってくると一応タブンネは掃除ができるようになってしまい、俺が帰ってくるまでに掃除を終えてしまうことも出てくるので、次はどうしようかと考えた結果、家に帰ってくる時間を早めるこにした。
掃除ができるとは言っても、特性不器用の影響でその能率は非常に悪くまともにやろうとすればかなり時間がかかってしまう。
そこをついて適当な日にいつもより早く帰ってくる。
するとタブンネは案の定まだ掃除を終えておらず、早く帰ってきた俺に驚くと同時にまだ掃除が終わってないことを思い出し青ざめた。
そして俺は掃除が終わっていないことを指摘しまたタブンネに暴行を加える。
次の日も早く帰る、次の日も、しかし時にはあえて普段通り帰り緩急をつける。
タブンネはいつ俺が帰ってくるかがわからないので日に日に精神をすり減らしていった。
やがてそれはある事件を引き起こす。
虐待の痛みや恐怖、いつ俺が帰ってくるかわからない過度の緊張によるストレスに耐え切れなくなったタブンネがある日自分で自分の腹に包丁を突き刺し自殺を図ったのだ。
傷口から血を溢れさせピクピク痙攣しているタブンネを見た時には心底哀れだと思った。
そこまで追い詰められていたのか、などではなく自殺をすれば解放されると思っていることに。
俺は腹の包丁を抜き、モンスターボールからサーナイトを出していやしのはどうを撃つように命じる。
サーナイトが技を使い始めるととたんにタブンネの傷が治り始め、数分もすると元気を取り戻したタブンネが飛び起ききょろきょろしだした。
その顔には死なずに済んだ安堵ではなく、死ねたと思ったのに死ねなかったという絶望のようなものだあった。
俺は不安気にこちらを見上げるタブンネに意地悪っぽい笑みを向け、それから血で床を汚したと言って殴り始める。

その後もタブンネは何度も自殺を試みた。
自殺して死のうとして、俺が見張りにつけておいたサーナイトに治された。
サーナイトに治されて、帰ってきた俺に虐待された。
何度も自殺の苦しみだけを味わい治されて、その後さらに虐待された。
耐え切れなくなったタブンネはじきに発狂するだろう。
その日が楽しみだ。
最終更新:2014年06月20日 21:45