俺の夢はハピナスとともに暮らすことだ。
しかし俺は不運にもまだラッキーすら見たことがない。
かわりにハピナスと似ているといわれるタブンネを飼っていた。かわりとはいえなかなか可愛く、俺たちは仲よくやっていた。
そんな俺に、親友がラッキーをプレゼントしてくれた。俺は大喜びでラッキーをなつかせてハピナスに進化してもらおうと、日々可愛がった。
それがタブンネのひがみとねたみを招いたらしい。
ある日俺がポフィンをやろうとラッキーを呼ぶと、腕の後ろと腰の横に画用紙を切り抜いて作ったヒラヒラをつけ、腹にガムテープでタマゴを貼ったタブンネが出て来た。
「何やってるんだ、タブンネ。ラッキーを見なかったか?」
タブンネは顔を赤くして首を左右に振った。
俺は家中を、そして近所一帯をラッキーを探して歩いた。
ようやく見つけたラッキーはボロボロで草むらに座り込んでいた。体中に歯形やアザがある。その歯形は間違いなくタブンネのものだった。
どうやらタブンネはラッキーをいじめて追い出し、自分がハピナスに化けて俺の寵愛を得ようとしたらしい。
激怒した俺はラッキーの手当をして寝かしつけてから、タブンネを呼んだ。
「ミッミ?」タブンネは嬉しそうに走って来る。
「おまえ、そんなにハピナスになりたければもっとうまく化けろ。こういうふうにな」
俺は
タブンネの触角をつかむとナイフで切り落とした。「ミギャッ!」
「ハピナスに触角はないもんな」残った触角も同じように切り落とす。「ミミミミミィ!」
「俺の大事なラッキーによくもひどいことをしたな」
逃げようとするタブンネに馬乗りになり、腕の後ろの皮膚をフリル状に切り開く。
タブンネがもがけばナイフの柄で頭を思い切り殴る。腰の横もフリルふうに切り出す。
タマゴは裂けたバスケットボールだ。接着剤で腹に貼りつける。
タブンネは涙でいっぱいの目で恨みがましく俺を見た。
「そうだ、ハピナスはそんな媚びた大きな目をしていないな」
俺は針でタブンネの目をハピナスと同じくらいのサイズに縫い縮めた。
「いいぞ。世界一醜いハピナスの出来上がりだ」
「ミッ…ミィ?」タブンネはハピネスになれたつもりで媚びた声を出した。
「じゃあ元気でやれよ。ハピナス好きの人間は多いから、きっと誰かが飼ってくれるさ」
俺は門の所でタブンネの尻を蹴り飛ばした。
今俺はハピナスと幸せに暮らしている。
最終更新:2014年06月20日 21:47