私はAの触角にアイロンを押し当てる。
ミギャアアア!!
どこからそんな声が。まあ触角は敏感だし、アイロンの高熱もより感じられるのだろう。しばらくしてから離してやると、アイロンを当てた部分の触角は黒焦げの何かに変わっていた。
さて、自慢の触覚が片方焦げてしまったけれど、これで終わりだと思ってないよね?
アイロンの
スイッチを切り、次の手段を考えればまともに身動きのできない残りのベビンネとママンネが何かを訴える。
ミッミッ!ミッミッ!
媚びたようなその顔。本来ならこうは思わないだろうが、今の私にはこの4匹の顔が不細工な間抜け面にしか見えない。
むしろ、このような顔をされて不快に思わない人間が居るのだろうか。
もう私はまともな思考回路ではにいのだろう。おそらくこのクソブタ共を始末するまで。私はBを思い切り踏みつけた。
ミギッ!ミギギギ!
「許すわけないでしょ。絶対に許さない。アンタたちなんて居ない方がいいのよ!」
怒りに任せて何度も何度もBの身体を踏みつける。最後に踏みつけた時、足の裏にべっとりとしたものが付着した。Bの血だ。汚い。
私はその足でママンネの顔を思い切り蹴りつける。
ミブッ!?
何かが砕けた。ママンネの前歯の一本が今の蹴りで根本から折れたのだ。
その前歯は私の髪の毛の代償にしておこう。けど、無論終わらせるつもりはない。
さて、自慢の触覚が片方焦げてしまったけれど、これで終わりだと思ってないよね?
アイロンのスイッチを切り、次の手段を考えればまともに身動きのできない残りのベビンネとママンネが何かを訴える。
ミッミッ!ミッミッ!
媚びたようなその顔。本来ならこうは思わないだろうが、今の私にはこの4匹の顔が不細工な間抜け面にしか見えない。
むしろ、このような顔をされて不快に思わない人間が居るのだろうか。
もう私はまともな思考回路ではにいのだろう。おそらくこのクソブタ共を始末するまで。私はBを思い切り踏みつけた。
ミギッ!ミギギギ!
「許すわけないでしょ。絶対に許さない。アンタたちなんて居ない方がいいのよ!」
怒りに任せて何度も何度もBの身体を踏みつける。最後に踏みつけた時、足の裏にべっとりとしたものが付着した。Bの血だ。汚い。
私はその足でママンネの顔を思い切り蹴りつける。
ミブッ!?
何かが砕けた。ママンネの前歯の一本が今の蹴りで根本から折れたのだ。
その前歯は私の髪の毛の代償にしておこう。けど、無論終わらせるつもりはない。
CとDは今の光景を見て何も言わなくなった。ただ怯えながら抱き合うようにしてこの光景を目に焼き付ける。
さて、Aだ。コイツはまだ生きている。なかなかにしぶとい。どれくらいやれば死ぬのか確かめたくなった。
私はAの手を貫いている包丁を抜き取り、それを何度も何度とAに向けて突き刺す。主に胸や腹など、何回、何十回と繰り返した。私の身体はいつの間にか返り血だらけになっている。部屋着も気に入っていたのに…このクソブタを始末するために汚してしまった。
ミッ……!
驚いた。これだけ刺してもまだ生きている。もはやゴキブリ並の生命力だ。こんな奴が何匹も増えて我が家に住み着くのを考えるとおぞましい。
私は包丁をAの首元に持っていく。生きているとはいえ、治療をしない限り放っておけば死ぬ。死にかけのようなものだ。反応も薄くなっている。需要のないゴミにはそろそろ眠ってもらおう。
私はAの首元を包丁でかっ切る。
ミィギャャャャ!!
最後の一声なのだろうか。大きな鳴き声を上げならついに包丁はすっぱりとAの首元を切り裂いた。
ゴロゴロ…
Aの無惨な頭が転がる。死んだ?違う、家畜になったのだ。今日の夕食にでもしてあげよう。
さて、Aの次は誰にするか…私は視線をBに向けた。
踏みつけられたBは未だに苦しそうな顔をしている。そんなBの触覚を強引に掴み包丁で切り裂こうとする。
ミギャァァ!!
少しずつゆっくり私は触覚を切り刻む。それに合わせて悲痛な鳴き声が響く。耳障りでしかない。
私は敢えて途中で刻むのをやめた。そして、こちらに顔を向けさせてサファイアの瞳に思い切り包丁を突き刺した。
ミギィィィィーー!!
Bの右目に包丁が突き刺さったまま、私はそのまま放置した。そして、その間は次のベビンネに制裁を加える。
Cの耳を掴み腹部を殴り付けて黙らせてから、私はそれを持って浴室へと向かう。だが、ママンネがそれを阻止しようとする。
「私を止めるつもりかしら?笑うわ」
鼻で笑った。歯を失っただけではこのバカは理解できないらしい。ポケモンの中でも戦闘力は全くもって低いタブンネ。人間にならば勝てると思っている。だから、私に対して我儘を通していたのだろうか?
どちらにせよ…舐められたものだ。体格差だって私のちょうど3分の2くらいしかない。身の程知らずのママンネは私に向かって突進してくる。少し横に避けるだけでママンネはそのままゴミ箱に突っ込んで自滅する。
「そんなにこの子を返してほしいの?」
無様な姿を見せつけるママンネに私は問いかける。戦う姿勢を見せつけるママンネは私に再度突進する。
そのママンネに向けて私はCを上へ放り投げた。それによりどうにかしてCをキャッチしようとするママンネの顔に私は強烈な蹴りをお見舞いする。
また何かが飛んだ。もう一本の前歯だろう。一方のCは誰にもキャッチしてもらえず地面に落下し、痛かったのか鳴き声をあげる。
「自分の子どもなら死ぬ気で受け止めなさいよ!」
私は容赦なくママンネの顔を蹴りつける。狂暴女のあだ名に勝る程の鋭い蹴りは確実にママンネにダメージを与えている。私自身気が付いてはいないが、この蹴りはおそらく弱いポケモンのメガトンキックよりも威力は充分にあるはずだ。ママンネには充分な技として通用する。
気が付けばママンネの顔は血だらけだった。顔は腫れ上がっており、不細工という言葉がよく似合う。
可愛いヒアリングポケモン?冗談じゃない。そんな肩書きは今すぐ返上しなさい。
散々蹴りを浴びせてはママンネは動かなくなった。まだ生きてはいるが体力が無いのだろう。俗に言う瀕死に近い状態というところか。
Dが心配そうにママンネを揺すり起こそうとしているが手が使えないのでは話にならない。Bもまだ生きてはいるが、こちらはママンネ以上の重体だ。さて、
お楽しみはまだ残っている。Cを再び捕まえては浴室へ連れていく。床に落としては逃げられないように足で踏みつける。
ミギィ!
苦しいのだろう。だが、こんなのはまだましな方だ。私はシャワーを手に取り、その顔に向けて水を放つ。最初は冷たい水でCは真剣に目を瞑りながら堪えている。そのままにしながらシャンプーに手を伸ばしてはそれをシャワーと交代で口元に突っ込ませ、必要以上に石鹸を口元に流し込ませる。
ミィ!ェェェッ!
気持ち悪そうに吐き出そうとしている。当たり前の反応だ。人間でさえそうする。だが、私は緩めない。大量のシャンプーを含んだCの口の中に今度は45℃以上の湯をシャワーから放つ。冷たい水で冷えきった口には余計熱さを感じる。挙げ句口に溜まったシャンプーもシャワーの勢いに流し込まされていく。
「こんなもんじゃないわよ」
私はそのシャワーを完全にCの口元の中に入れようとする。しかし、小さい口元には無理があるのか、あまりの強引さにCの顎が外れてしまった。
生命力が強いのならこの程度のことで顎を外すな。もろいのかどうかよくわからない
顎は外れはしたがまあ問題はない。ろくに口も動かせなくなって抵抗する術もない。Cは涙を流しているが私はそれに気が付かないふりをする。シャワーで濡れているのだからわからないと思う人も居るかもしれない。まあ、そんな涙ごときで私の怒りはおさまらない。
大量のシャワーがCを攻めていく。うまく飲み込めないのか顔色も悪くなってきている。顎が外れたことにより水を飲み込むという動作さえできなくなった。残念だろう。
しばらくしない内に身体をバタつかせていたCの身体が動かなくなった。窒息したのだろうか。
「もういいわ」
こいつにもう興味はない。さて、次は…。
あれ、なぜだろう。私の身体が動かなくなった。身体が重い…
「そっか…疲れてるのね…」
私が次に目を覚ましたのは見慣れない天井の下だった。
「気が付きましたか?もう大丈夫ですよ」
「ここ、病院…?」
そう。私は病院に運ばれたのだ。どうやら肉体的にも精神的にも負担がかかっていたようだ。
「旦那様があなたをここまで運んでくださったんですよ。あ、栄養剤入れておきますね」
私の左手には点滴が繋げられている。どうやら栄養不足もあるらしい。明るい日射しが射し込んできて眩しい。こんな日射しを浴びたのはいつぶりだろうか。ここのところずっとあの暗い部屋で……?
そうだ!あのタブンネたちは!?
私が始末しようとしたあの醜いブタ!その考えが支配しようとした矢先だった。病室に夫が入ってきた。
妻が目を覚ます3日前。私は部屋から出ていくとそこには無惨な光景が広がっていた。
頭を失ったA、包丁で目を突き刺されているB、浴室で水腹になって窒息しているC、顔の晴れ上がった前歯のないママンネ。
そして、Cの近く…更衣室で気を失っている妻。私は妻に駆け寄り急いで容態を確認する。身体が少し熱い。熱でもあるのだろうか。
そこに唯一なんともなかったDがどうにか歩きながら私の元にやってくる。
ミッミッ!ミッミッ!
私に助けてくれと頼んでいるのだろう。そして、妻の方を睨み付けている節目もある。
私は考えるのに1秒もかからなかった。Dを放置して妻を抱き抱えて病院へと運ぼうと外へ出ようとするが…。
「ダメだ。これじゃ出られない」
あまりにも妻の姿が酷すぎる。ズタズタになった髪の毛はどうにもならない。だが、返り血を浴びた服はさすがにまずい。
洗面所でタオルをお湯で濡らして肌に付着したタブンネの血液を拭き取る。やむを得ないが血塗れの服を脱がして代わりとなるものの服を着用させる。こんな形で妻の下着姿は見たくはなかった。
ミィッ!
その時Dが私に体当たりをする。そちらに視線をやれば、威嚇してきている。
ミフィーッ!ミフィーッ!
どうなら母や兄弟を悲惨な目に合わせた妻を介抱する私を許せないのだろう。だが、不思議とタブンネの味方をする気にはなれなかった。
思い切りDの頬を殴り付け、壁に叩き付ける。痛みを感じるDは涙目になりながらこちらを見ている。
「邪魔をしないでくれ!大切な妻なんだ!」
返り血を洗い落とし、服も着替えさせて、髪の毛も簡単に整えてやった妻を抱き抱えてDに言い放つ。
今はタブンネに構ってる場合ではない。早く病院に行かなければ。
私はタブンネたちを放置して妻を病院に運んだ。すぐさま入院となり、医師からの説明を聞く。
極度のストレスと疲労により、発熱も起こしていたものの、命等に別状はないことを知り、ひとまず安堵した。
話を聞き終えた私は病室に入り、妻の看病をしながら悔やんだ。
自分がいけなかったのだ。自分がしっかりと飼育していれば妻に余計な負担をかけずとも済んだだろう。
日々の生活にストレスを感じていた私にペットを飼うことを提案してくれた妻に謝っても謝りきれない…
決意した。私は妻の着替えを取りに行くためにも家へと帰宅する。外から入ってみればわかるが、とても臭い。
「くっさ…」
鼻を刺すような臭いに我慢しながらも中に入っては妻の着替えを紙袋に詰めていく。そんな私に唯一無傷のDがやってくる。
ミィミィ!
助けてくれと言っているのか…
だが私は敢えて無視した。
ミィミィミィミィ!!
ミィミィミィミィ!!
ミギャァ!!
気が付けば私はDの身体を思い切り踏みつけていた。
「うるさいんだよ!」
怒りに任せてDを踏みつける。苦しそうな鳴き声が聞こえてくるがそんなことを気にせず私は蹴り飛ばす。
私に恐れたのかDはママンネの方に逃げていく。そこには少しずつ傷の再生するママンネと、間一髪命拾いしていたBが居た。
特にBは耳や目を完全に切断され、貫かれているのにも関わらずまだ再生しようとしている。
もうそんなことはさせない。私はまだ再生しきれていないBを蹴り飛ばす。接待で使うゴルフクラブを手にしては何度も何度も殴り付けていた。
これだけ殴っても絶命しないタブンネは丈夫だ。しかし、それだけ苦痛が伸びるということだ。
何度打ちのめしただろうか。ゴルフクラブは真っ赤に染まっており、Bも全く動かなくなった。
ようやく死んだか…。いつの間にかタブンネの死に快感を感じていた。いや、タブンネのヒアリング効果とはこういうものではないのかとさえ思ってきていた。
「これは爽快だ」
私はその言葉を漏らしてDを捕まえて台所に連れていった。まな板の上にDを叩き付けて縛り付ける。私はもう一本の包丁を取り出して、それをゆっくりDに近づける。
ミィ。
媚びるような目で私を見ている。そんなことしないで。とでも言いたげな目だ。私はなぜだかその目が気に入らなかった。
ザシュッ!
ミギャァァァ!
包丁がDの身を刻む。その音は幾度と繰り返され、その度にDの断末魔が部屋中に響き渡る。
赤い血が包丁とまな板を濡らすものの私は気に止めることなく、豚肉を切り分けるかのごとくスライスしていく。骨まで切るのにはなかなか苦労したが…。
頭と身体を3分の2ほど残していた。手足と残りの3分の1、さらに耳と触覚は無論切り取った。しかし、まだ僅かにミィミィと鳴いている。
「うるさい」
その言葉と共にまたザシュッっと鈍い音がする。
Dの頭は転がり床に落ちた。汚い、掃除しなければ…。
「ふんふんふーん」
私はいつの間にか上機嫌になっていた。散らかった部屋はなんとか片付け、妻の部屋の割れた鏡も新しいものと取り替えることになった。
今は台所でポークステーキを焼いている。何故なら4つの豚肉が手に入ったのだからこれを有効に使わない手はない。それにほとんどコストは0だ。
「さて、明日からは仕事にも行かないとな…」
いくつかトラブルはあったものの、働く身の私はいつまでも休んでいるわけにはいかない。
それに、新しいストレス解消法も見つけたのだから…。
出来上がったポークステーキは一度冷蔵庫に入れて保存。今日はシャワーを浴びて寝るとしよう。
時間を少し戻し、妻が目を覚ましたその日。私は妻に今までの謝罪とこれからのことを説明した。
「悪かった。俺がもっとしっかりしておくべきだった」
「もういいのよ。そういうことなら、また元の生活に戻れそうだから」
妻はあっさりと私を許してくれた。お互いの闇の部分を垣間見ることはあったかもしれないが、夫婦の仲が引き裂かれることはなかった。
もっとも、タブンネのせいで一家離散になったとなれば世間の笑い者だ。親にも顔見せできない。
妻には家で作ってきたポークステーキを食べさせる。レンジで温めたそれは味は落ちているもののそれなりの美味しさはあった。
「うーん、おいしい。今度は作ってすぐに食べさせなさいよね?」
「君が退院したらね」
病室内は私たち夫婦の笑い声に包まれる。夫婦とはやはりこうあるべきものだ。
妻の退院から半年が過ぎた。
あれから私と妻は以前よりも夫婦らしく生活することができるようになった。
そして、ストレスの原因であった会社でも、何故かしら功績が出せるようになり、以前の職場のようにオープンなものへとなった。
時折上司や同僚などを招いて私の家で食事会を開くこともある。どうやら、私の得意料理であるポークステーキを食べたいという理由らしい。
「いやぁ!このポークステーキはやっぱり最高だよ!もちろん、あれを使ってるんだろ!?」
「はい。食費も掛からなくて助かってます」
「主人のポークステーキ料理、私も学んだので今度は是非、私に振る舞わせてくださいね」
「ええ、是非!ああ、そうだ。食後の運動がてら、あれをしよう!もう増えた頃だろう?」
「いいですねぇ~!今朝、新しいのが5匹ありましたよ」
私たちは一度家を留守にして、貸倉庫へと向かった。半年前から借りたものだ。
倉庫の中は様々なものが置いてある。金属バット、鉄パイプ、チェーン、ナイフセット、パイプ椅子、手術台…これらは全て会社の社員たちが提供してくれたものだ。
そして、奥には傷だらけの…私たち夫婦を引き裂こうとした害悪タブンネが両手を縛られて、上から吊るされている。その近くには8匹のベビンネ、チビンネとさらに3つの卵がある。どのタブンネも傷だらけであるのは言うまでもない。
「それじゃあ、始めましょうか。あ、ポークステーキの材料も追加で」
ミギャァァァァァ!
現在。
私はあの時タブンネを売っていたペットショップの店員と商談の話をしている。それもカロス地方で。
「あなたは商売の天才だ。来月にはミアレシティでもペットショップを開くとは…しかも我が社に協力を依頼してくれるとは」
「いえ、あなたの才能と努力のおかげですよ」
「そんなことは。でもあの時、あなたからタブンネを買っていなかったら私はここに居なかった」
「タブンネという存在は扱い方によっては吉とも凶ともなりますからね。あなたは正しい使い方をなされた。それも非常により上手に。あなたのやり方が広まり、ヒウンシティは変わり、そして今度はカロス地方でも変わろうとしている…実に素晴らしい」
得意気な顔で相手は私をおだてている。彼の期待に応えるような形になってしまったのは些か良い感じのものではないが私は満足している。
ただ、タブンネを如何に苦しめるかを考え、実行しているだけで、会社では取り締まり役として商談を任され、海外勤務までできるようになったのだから。
彼は最後にこう言った。
どんな可愛いポケモンでも、時には厳しく躾をしてこそ輝くものであり、その愛らしさを発揮できるもの。ピカチュウやイーブイなどがその良い例だ。
しかし、それを理解せずに甘え、媚びてばかりいる。己の外見に酔いしれて人様の神経を逆撫でしてるとも自覚せず、我々人間の世界に土足で踏み入るのは、世界中どこを探してもタブンネのみだ。
以上、私の体験談をここで終える。
最終更新:2014年06月29日 13:37