大昔の話。平和で豊かな惑星タブンネに侵略者が現れた!
「へっへっへ、この星はこれから俺たちサイヤ人のものだ!」
幾つもの一人用のポッドから戦闘服を着たサイヤ人と名乗る男たちの姿を見てタブンネたちは激怒する。
「ミィッ!ミィミィ!」
ここは僕たちの星だ!猿野郎は出ていけ!
とでも言ってるのだろうか。
サイヤ人たちは笑いながらスカウターで戦闘力を測る。
「戦闘力たったの2、ゴミめ」
あまりの低さにバカ笑いをするサイヤ人。
タブンネは我慢しきれず攻撃を仕掛けた瞬間!
ドゴォ!
サイヤ人の鋭い蹴りがだらしない肉にめり込む。
そのままタブンネたちが苦労して作った巣にぶちこまれた。
「ミブゥゥーッ!?」
あり得ない。タブンネの常識では考えられない力の蹴りだ。
その蹴りに耐えられるはずもなくゲポォっと嘔吐し、タブンネの内臓はぐちゃぐちゃになっていた。
たった一発の蹴りで瀕死になったタブンネ。
恐れをなして他のタブンネたちは逃げ始める。
しかし、動きの鈍い彼らではサイヤ人たちからは逃げられない!
「お前とも遊んでやるぜ!」
一瞬で目の前に現れてはタブンネの顔にパンチが直撃!
このサイヤ人はパワーに自信があるのか顔が吹っ飛ぶほどの威力だ。
いくら自慢の特性再生力でも顔がなくなってしまっては意味がない。
「ミィッ!ミミィッ!!」
こいつらは僕たちを殺すつもりなんだ!逃げるんだ!
さすがのタブンネたちもこの状況が圧倒的不利であることはわかっていた。
サイヤ人は十数人程しかいないが、力の差が歴然としている。
なすすべもなくタブンネたちは次々に瞬殺されていく。
そんな中一匹のタブンネが急に笑顔になって前に出てきた。
「ミィ♪ミッミッ♪ミッミッ♪」
ホイップクリームのような尻尾を見せつけながら踊り始める。
そう、タブンネ特有の媚びたダンス。
自分たちが助かるのならなんでもする。
僕たちを殺さないで?オボンの実もあげるから。
残るタブンネたちの手にはオボンの実が持たれている。
それをサイヤ人たちに差し出そうと近寄るが…。
ボッ!
一人のサイヤ人が手からエネルギー弾を放って醜い躍りを見せて媚びへつらうタブンネたちを容赦なく消し飛ばす。
「誰がてめえらなんかの言うことを聞くかよ!」
1時間後。サイヤ人たちの攻撃により惑星タブンネの半分以上は壊滅状態にあった。
サイヤ人たちも続けている内に飽きてきただろうか。
「つまらねえ。弱すぎるだろこの豚がぁ!」
1匹のタブンネの頭を踏みつける1人のサイヤ人。
もちろん全力でやれば死んでしまうので力は抜いている。
それでもタブンネにとっては苦痛だろうが。
そんな時、巨大宇宙船が到着する。
中からサイヤ人たちと同じ服を着た人物たちが現れる。
一番前の宙を浮くマシンに乗った男がにこりと笑みを浮かべる。
「はじめまして惑星タブンネの皆さん。私はフリーザと言うものです。どうでしょう?私の元で働いてみる気はありませんか?」
フリーザと名乗る男の誘いにタブンネたちは戸惑う。
するとどこから別のタブンネが現れる。
「ミィ!」
断る!出ていけ!
とでも言いたいのだろうか。
「てめぇ!フリーザ様に向かって!」
怒ったサイヤ人が殴りかかろうとするがそのタブンネは口から火を吹いた!
「ほー。これは凄い。このタブンネは戦闘力が1200ありますね」
フリーザはスカウターで数値を測る。
さっきの戦闘力2よりかは圧倒的に強い。
このタブンネは戦闘タイプ。火炎放射や冷凍ビームが使えるのだ。
「ミィ!」
強気な様子でフリーザに挑もうとする。
その覚悟にフリーザは感動し、マシンから降りる。
「いいでしょう。あなたの勇気ある行動に敬意を表して、私自ら相手になりましょう」
「それと参考までに。私の戦闘力は53万です」
「ですが、もちろんフルパワーを出すつもりはありませんのでご安心を」
「そうだ!左手の人差し指だけで戦ってあげましょう!少しは楽しめるかもしれませんよぉ?」
後に数々の名言となる台詞を連発するフリーザ。
少し違うところもあるが細かいことは気にしない。
あまりの戦闘力の違いに驚くが指一本のハンデをもらってバカにされたことから殴りかかる。
タブンネの右拳は確実にフリーザの顔面を捉える。
だが、鈍い音が響くと同時にタブンネの奇声が発せられる。
「ミギャァァァァ!!」
自分の拳を抑えながら痛みを堪える。
それも束の間、右腕が肩からちぎれてしまう。
フリーザの左人差し指から放たれたビームに貫かれたのだ。
「やはり1200ではこの程度でしょうね」
顔面を殴られても全く痛みを感じないフリーザは余裕の様子。
サイヤ人たちも笑っている。
「サイバイマンと同じ戦闘力じゃそんなもんだろうな」
周囲の異星人たちに笑われることに怒りを覚えるタブンネも居れば、怯えるタブンネも居る。
フリーザの姿が消えた次の瞬間、右手を失ったタブンネの前に現れる。
左人差し指がタブンネの顔を突く。
ボン!
タブンネの顔は爆発した。戦闘タイプのタブンネとはいえ、呆気ない最後だった。
「タブンネの皆さん。私の部下になるのであれば、命だけは保証しましょう」
心優しいフリーザ様の勧誘。圧倒的差を見せつけられたタブンネたちはフリーザ軍の奴隷として扱われることになった。
非力なタブンネではいくら集まってもフリーザやサイヤ人たちには敵わない。
どうしてこうなってしまったのか。自分たちは幸せに暮らしていただけなのに。
フリーザの元で与えられた仕事は新たな城を作ることだった。
惑星タブンネも早速惑星フリーザNo.29という名前になった。
それから3日後。
タブンネたちはフリーザの怒りを買うことになってしまった。
「いい加減にしなさい!あなたたちはこんな簡単な仕事もできないのですか!?」
非力なタブンネは同時に不器用でもある。
不器用なタブンネに肉体労働など厳しい。
しかも子タブンネを抱えているタブンネが圧倒的に多い。
「目障りな豚共ですね。ドドリアさん、見せしめに子どもを殺しなさい!」
「一瞬で片付けていいすか?」
「お好きにどうぞ」
フリーザの命令に従う側近でピンクの身体をした巨漢、ドドリア。
彼の口からエネルギー波が放たれ、子タブンネは瞬く間に灰塵と化した。
子タブンネを殺された母タブンネは泣き、父タブンネは怒りのあまりドドリアにとっしんする。
グチャ!
逆にドドリアのトゲトゲ頭にタックルされ、必死で運んで少しずつであるが完成には程遠い城に直撃。虫の息となる。
ボロボロに崩れた作りかけの城。
フリーザはため息が出た。この調子ではストレスにしかならない。
「もういいです。惑星フリーザNo.29は放棄します」
フリーザの言葉に部下たちは宇宙船に戻っていく。
サイヤ人たちには別の惑星への侵略を命じる。
「ミィ?ミッミッ♪」
酷いことをされ、半分以上の仲間を殺されてしまったタブンネ。
だが、解放されたことへの安心感が勝り、喜び始める。
宇宙船は惑星タブンネから出ていき、宇宙へと再び上がる。
「ミッ!ミッ!」
ここは僕たちの星だ!もう二度と来るな!
邪魔な奴等が出ていったことで一安心。
それぞれはもとの生活に戻ろうとした時、空がさらに明るくなる。
「ミィ?」
太陽?そう思ったのも束の間、その太陽らしきものはどんどん近付いてくる。
太陽ではない。フリーザが作り出した特大のエネルギー弾、デスボールだ!
デスボールが近付く度にゴゴゴと大地が揺れる。
星全体をも震わせるデスボールはついに地面に激突!
愚かな豚共を容赦なく焼き尽くす。
「ほーっほっほっほ!ご覧なさい!ザーボンさん!ドドリアさん!綺麗な花火ですよぉ!!」
デスボールは惑星タブンネの中枢を完全に破壊。
凄まじい閃光と衝撃を起こしながら宇宙の塵となった。
そこに住む多くのタブンネたちと共に。
おわり
最終更新:2014年06月29日 13:37