「ミッ♪ミッ♪」
楽しそうに手作りのチョコレートを作る♀タブンネ
バレンタイデーのチョコを用意している。
大好きなご主人のために、愛情たっぷりのチョコレート。
ご主人誉めてくれるかなぁー?
あ、ご主人帰ってきた!おかえりー!
「ミィー♪ミッ?」
「エリ、上がって」
「ありがとうタイチ。お邪魔しまーす」
ご主人が人間の女を連れてきた。
ご主人にはタブンネちゃんさえいればいいんだ!
お前なんかいらない!
タブンネはその気持ちでいっぱいだが、ご主人であるタイチは相手してくれない。
しかし、しばらくしてタイチはタブンネを呼び出す。
「おいタブンネ。なんだこれは?台所を散らかしやがって」
チョコレートを作っていたタブンネは不器用なので台所が汚れていたのだ。
材料などもほったらかし。ミィと落ち込むタブンネ。
それでもめげずにタイチに頑張って作った手作りのチョコを渡す。
「ミッミッ♪」
ご主人のために作ったんだよ。誉めて誉めて♪
しかし、その手作りのチョコレートはとても出来のいいものではない。
「いらねえよこんなもん」
タイチは乱暴に手作りのチョコを弾く。
「うわっ、タイチ凄く汚れてるじゃない。片付けるの手伝うよ」
タイチの彼女、エリがタブンネの汚した台所を掃除し始める。
タブンネが作ったチョコを見て、一口食べてみる。
「まっず!なにこれ~?こんなのタイチに食べさせちゃダメだよ」
戸惑うことなく出来損ないのチョコレートを散らかったごみと一緒にごみ袋に捨てる。
「ミィ…」
ひどい。ひどいよ。
タブンネはそう言うのだった。
台所を片付け終えたタイチとエリ。
一段落してからエリがタイチにバレンタイデーのチョコを手渡す。
「タイチ、これ食べてみて!」
「うん!」
パク モグモグ
「うまい!うまいよ!」
「一生懸命作ったんだよ?」
「ありがとう!」
「どういたしまして。大好きだよ、タイチ」
美味しいチョコをもらえたタイチはエリといちゃつく。
しかし、エリはこちらを見ているタブンネが気が散るらしい。
「なんか気持ち悪い…なにあれ?」
「ミフィーッ!」
タブンネはエリを威嚇して睨み付けている。
私のご主人を取るなと言ったところか。
タイチはそんなタブンネが気に入らない。
糞豚の分際で間に入ってくるなと思いながらタブンネの耳と触覚を乱暴に掴んで引っ張っていく。
「邪魔だから出ていけ!」
タブンネを家の外に放り出す。
邪魔がいなくなったところで二人きりのバレンタイデーを過ごすタイチとエリ。
「ミィ!ミィ!」
ご主人!開けて!開けてよぉ!
タブンネは必死でドアを叩くがタイチは無視。
どんどん力がなくなってきた。今日はとても冷える。
次第にタブンネはぐったりとして倒れてしまう。
きっとご主人は明日になったら入れてくれる。
そう希望を抱いて眠るタブンネ。
翌朝。
一晩泊まったエリとタイチは出掛けるために玄関を開ける。
ゴミ出しの日なので昨日散らかしたゴミなどが入ったゴミ袋を持っていた。
しかし、そこにはタブンネが転がっていた。
「うわっ、冷凍豚かよ。こんなのいらねー。エリ、ゴミ袋もう1枚用意してくれ」
「はーい」
散々台所を散らかし、二人の邪魔をする。
最後には面倒なゴミまで出して、どこまでも迷惑をかける出来損ないタブンネの末路だ。
おわり
最終更新:2014年06月29日 13:40