私、タブンネ!フェアリータイプよ♪

私、タブンネ。可愛い妖精ポケモンなの。
トレーナーさんと一緒にイッシュ地方からこのカロス地方にやってきたんだ。
うふふ、カロス地方って凄くお洒落なところらしいの。
トレーナーさんここに来る前から子どもみたいに落ち着かない。
だからタブンネが大人らしく落ち着かせてあげたのよ。
どう?タブンネ、賢いでしょ♪


あっ!トレーナーさん、早速バトルを申し込まれた!
よーし、タブンネちゃん張り切っちゃおう!


最初はサーナイトさんが出たの。
でも相手の人のポケモン、ギルガルドさんだって。
人間が武器に使う剣と盾みたいなポケモンなの。
変な格好、タブンネちゃんとは月とすっぽんね。


サーナイトさんがんばって!
と言いたいけれどサーナイトさんのサイコキネシス、ギルガルドさんにはあまり効かないみたいなの。
逆にラスターカノンを受けちゃってサーナイトさんのHPが減っちゃった。
カロス地方のトレーナーさん、ギルガルドさんが鋼とゴーストタイプだって教えてくれたんだ。
なぁーんだ。それならタブンネちゃんが出ればいいよね?
ラスターカノンくらい耐えれるんだから!
トレーナーさんがタブンネちゃんを交代で出してくれたよ。
頑張っちゃうんだから!

ギルガルドさんのラスターカノン、なんとか受けきったよ。
痛かったけど、これならもう1発耐えられそう。
そのうちにひかりのかべを……えっ?


きゃああああ!?


い、痛いよぉ…ギルガルドさんの剣でタブンネの身体、ズタズタだよぉ…
ギルガルドさん、せいなるつるぎを使えるんだって。
もっとはやく…言ってよ…


その後、ウインディさんがギルガルドさんを倒して、サーナイトさんも傷付きながらも頑張ってバトルに勝利したんだ。
私、何もできなかったよ…トレーナーさん、ごめんなさい。


それから今日はホテルでおやすみすることになったの。
今日はお役に立てなかったけど、明日からまた頑張ればいいよね!
おやすみなさい、トレーナーさん。他のポケモンさんたちもいい夢見てね。
カロス地方に来てから2日目。
タブンネ、良いこと聞いちゃった!
トゲチックさん、カロス地方だとフェアリータイプっていう新しいタイプに配分されるらしいの。
これでトゲチックさん、格闘タイプにもっと強くなったのね。


ということは、タブンネも妖精だからフェアリータイプになるのかな?
でも、昨日はせいなるつるぎで倒れちゃったし…
あっ!まだ来たばかりだからフェアリータイプになれてなかったのね!?
なぁーんだ、心配して損した。
これから生活していく内にフェアリータイプになっていくのね。
今まで怖かったガブリアスさんやカイリューさんの逆鱗も怖くないね♪


トレーナーさん、さっそく出掛けるんだって!
新しい家を探しに行くの。
ふふ、カロス地方ならフェアリータイプだから嬉しいな。
私、ずっとこのカロス地方に住みたいなぁ。
カロス地方に来て7日目。
新しい家にも住めて、トレーナーさんも落ち着いたみたい。
この家は凄く広いの。バトルシャトーっていうところのおじいさんがくれたんだって。
トレーナーさんったら、そのおじいさんにお孫さんみたいに可愛がられてるの。
もう、トレーナーさんにはタブンネが居るのに!プンプン!


家の中ではトレーナーさんはポケモンを解放しているの。
サーナイトさんやウインディさん。
他にもオノノクスさんやエアームドさん、エレキブルさんも居るわ。
この中ではやっぱり私、タブンネちゃんが一番かわいいよね♪



次の日、またバトルになったの。
カロス地方での初めてのお友達なんだって。
よろしくね、お友達さん。


バトルは凄かったの。
だって、あのサーナイトさんがフェアリータイプになっちゃったの!
新しい技、ムーンフォースであっという間にローブシンさんを倒しちゃったわ!
でも、お友達さんが出した次のクチートさん。
メガシンカしちゃったの!
なにあれ?バトル中に進化するなんて反則よ、反則!


お互いの激しい攻防の末、残り1匹ずつになったの。
トレーナーさんの最後の1匹は私、タブンネちゃん!
お友達さんはヌメルゴンさん!
やったわ!ヌメルゴンさんは確かドラゴンタイプ!
うふふ、フェアリータイプの私には超有利。
れいとうビームでカチンコチンにしてあげる♪

さあ、ヌメルゴンさん!かかってきなさい!
私はオボンの実も持たせてもらってるから安全。


えっ?ヌメルゴンさんの攻撃、それって逆鱗よね?
今まで何度も逆鱗を見てきたんだもの。間違えないわ。
フフ、私はフェアリータイプなのよ?そんな攻撃……えっ?



きゃああああ!
痛い!痛いよぉ!
殴らないで!蹴らないで!
もうやめてええええ!!


うっ…うう…な、なんでこんなに痛いの?
タブンネ、フェアリータイプじゃなかったの?
ううん、まだフェアリータイプになるには訓練が必要なのね。
頑張らなくちゃ…


でも…痛いよぉ…
オボンの実、食べられないよぉ…



結局トレーナーさん負けちゃった。
私がフェアリータイプになれてなかったから負けたんだよね。
折角持たせてくれたオボンの実も食べれなかったよ。
ごめんなさい。トレーナーさん、ごめんなさい。

カロス地方に来て15日目。
トレーナーさん、最近はイーブイちゃんと遊んでるの。
サーナイトさんとウインディさんはトレーナーさんと一緒にイーブイのお世話。
オノノクスさんはエレキブルさんと訓練。
エアームドさんは飛行練習でお空を飛んでるの。
私は一人で木の実を食べてる。


最近トレーナーさん私よりもイーブイちゃんと遊んでばっか。
タブンネつまらない。
それにイーブイちゃんはノーマルタイプじゃない。
何よ、ノーマルタイプって!タブンネはフェアリータイプなのよ!?


でもなんでだろう。
最近皆、私とお話ししなくなっちゃったの。
サーナイトさん、前みたいにお話ししてよ?
ウインディさん、素敵な毛並みを触らせて?
エアームドさん、お背中に乗せてよ?
エレキブルさん、電気の手品見せて?
オノノクスさ…ビクッ!?な、なんでもありません。


なんだか心が痛いよぉ…。
カロス地方に来てから30日が過ぎたの。
今、6番道路に居るけど、トレーナーさんの言った言葉が嘘みたいに聞こえた。

「タブンネ、今日からお前は仲間と暮らすんだ」

なに?なにそれ?タブンネ、トレーナーさんと一緒がいいよぉ!
6番道路の木や草むらから他のタブンネちゃんが見に来てる。
ねえ!トレーナーさん!嘘だよね!?
嘘だと言ってよ!トレーナーさん!


「うるさい!弱くて!役立たずで!家に居ても餌ばっか食べてて!毎日ダラダラしてる!俺はお前みたいな奴が嫌いなんだ!」

ひ、ひどい…ひどいよ…トレーナーさん…
私だって、トレーナーさんのために頑張ってきたんだよ!?
皆みたいに強くはないかもしれないけど…頑張ったんだよ!?


トレーナーさん!
サーナイトさん!
ウインディさん!
エアームドさん!
エレキブルさん!
オノノクスさん!

え?あなた、イーブイ…ちゃん?

「紹介するよ。俺たち6匹目のメンバー、フェアリータイプのニンフィアだ。今日、イーブイから進化した。今までフェアリータイプは居なかったからな。これからも仲良くしてやってくれよ」

な、なに?なによそれ!そんなのないわ!
それに、今までフェアリータイプは居なかったって…
私はフェアリータイプなのよ!?
フェアリータイプなら私が居るじゃない!?


「もしかしてお前、自分がフェアリータイプだと思ってたのか?笑えない冗談だぜ」

トレーナーさんだけでなく、他の皆も笑う。


「お前はな、ノーマルタイプのままなんだよ!豚の姿をしたフェアリータイプなんて聞いたことないぜ!」

そ、そんな…私がノーマルタイプ…?
落ち込む私を見てイーブイちゃん…ううん、ニンフィアちゃんが笑う。
なによ!何がフェアリータイプよ!
私はニンフィアちゃん…ううん、ニンフィアに殴りかかったの。


「てめ!オノノクス!逆鱗だ!」

トレーナーさんの指示と共にオノノクスさんが私を物凄い勢いで殴り付ける。
オノノクスさんの爪、足、牙、尻尾が凄く痛い!
やめてえええ!!もうやめてよ!!死んじゃうよおおお!!


ズンッ!


あ…ああ…
オノノクスさんの爪が…私の…心臓を貫いて…引き抜いた…


ワリィな。俺様、前からてめえの事が気に入らなかったんだ。
いっつもマスターに媚びた面して、気を引きやがって。
てめえなんかが同じ地方のポケモンだと思うと…
ムカつくんだよ、クソッタレが!!


“オノノクスはレベル100になった!”

「大人しく言うことを聞けば、野生に戻れたものを…。せめて、オノノクスの最後の経験値として、消えろ」


ああ…私の身体が…ウインディさんの炎で…焼かれていく…
トレーナーさんたち、タブンネを置いて…かないで…



これは自分が妖精だと信じてならない
哀れな豚の惨めな末路である


おわり
最終更新:2014年06月29日 13:40