「チィチィ♪」
ここはライモンシティの地下鉄の駅、そこのエスカレーターで一匹の子タブンネが遊んでいました。
子タブンネは、ご主人様に切符を買ってくる間、ここでジッとしているんだよ。と言うわれていましたが、
近くにあったエスカレーターに興味をひかれ、こうして遊んでいます。このエスカレーターは、人が近づく
とセンサーで反応して動くもので、子タブンネは小さかったため、センサーは反応せず、エスカレーターが動く
ことはありませんでしたが、まだ子供のタブンネには十分な遊具になりました。
「チィ?」
遊んでいるうちに、子タブンネはエスカレーターのある段に割れ目があることに気が付きました。
子供ならではの好奇心から、子タブンネはその割れ目を覗きこんでみましたが、暗いばかりで何もみえません。
次は頭を割れ目につっこんでみましたが、やはり真っ暗で何もみえませんでした。
「チィ…」
なぁんだ、つまらないの。と子タブンネが割れ目から頭を抜こうとした時、ブィーン、という機械音と共に、
突然エスカレーターが動き出しました。
「チ!チィィ!?」
突如動き出したエスカレーターに子タブンネは驚きましたが、迫り上がってくる階段によって、どんどん割れ目が狭くな
っていくことに気が付き、慌てて頭を割れ目から出そうとしました。が、時すでに遅し、割れ目は子タブンネの頭が
抜けなくなるまで狭くなっていました。そしてそのまま…
「チュピィィ!!ヂィイイアアー!!」
メリメリと音を立てて子タブンネの頭はエスカレーターに巻き込まれていきました。
子タブンネは後悔しました。「ごしゅじんさまのいうことをしっかりきいていればよかった」
「よいこにしてごしゅじんさまにいわれたばしょでジッとしていればよかった」と。
子タブンネは後悔と絶望の中、エスカレーターにギロチンされてしまいました。
このエスカレーターが動くきっかけとなったのは、子タブンネのご主人様でした。切符を買って戻ってきたご主人
様は子タブンネが、待たせていた場所にいないことに気が付き、エスカレーターの近くまで探しにきました。
それにより、エスカレーターのセンサーは反応して動き出してしまったのです。子タブンネは、そんなことを知る由はありません。
数日後、ライモンシティ駅員室では、二人の駅員が話していました。
「いやー、良かったですねー。人身事故が起こるまえにエスカレーターの割れ目に気づくことができて」
「まったくだ、あんな小さな割れ目でも大きな事故につながる可能性があるからなぁ」
「それにしてもラッキーでしたねwww氏んだタブンネの飼い主はキチガイ愛護で大勢の人に迷惑をかけるような
奴だったから今回のエスカレーターの件はあまり非難されなかったし」
「タブンネ様々だなwww」
二人の笑い声が駅員室に響いた。
最終更新:2014年06月29日 14:04