ここはタブンネ達だけのレストラン、「ミィミィハウス」だ。
中に入ると、仲睦まじいタブンネの親子が、幸せそうに木の実をほうばっている。
タブンネたちにとって、そこはまさに天国だった。
しかし、そんなタブンネ達の天国も一瞬にして消え去るのであった。
「オラオラオラ!バンギラス様のお通りだぜえ!!」
やけにドスの効いた声が、店内に響き渡る。タブンネ達は、一斉にドアの方向を見た。
すると、タブンネ達とは比べものにならないほどの巨体が、ドアの奥から現れた。
砂嵐組のヘッド、バンギラスだ。その横には、側近と思われるドサイドンがついている。
そして先程の声の主であろうキリキザンが前に出て、言った。
「店長を出せ!」
近くにいた店員のタブンネは、震えながら言った。
「ヒッ……は、はいですミィ……」
しばらくすると、店の奥から店長と思われるタブンネが、ブルブルと怯えながら歩いてきた。
「ご、ご用ですかミィ……?」
店の外には、数々の岩、地面、鋼タイプのポケモンがひかえていた。タブンネは完全に脅えている。今にも失禁しそうだ。
「あんたらが借りてる金と、先月のショバ代がまだなんだが、どうしてくれんだぁ?」
キリキザンは店長タブンネにメンチを利かせながら言った。バンギラスは、先ほどから腕を組んでドンと構えているだけだ。それが、逆に恐怖をひきたたせた。
「もっ、もう少し待ってくださいミィ…もう少ししたら、必ず返しますミィ…だ、だから今日は見逃して下さいミィ……」
店長タブンネは何度も何度も頭を下げて言う。だがそんな行為は決して意味を成さなかった。
「ざっけんなコラ!!」
キリキザンが大声をあげると、店内のタブンネ達は一斉にビクッと震え上がった。
母親タブンネは、必死になって子供を腕に隠している。
「どれだけ待たせてると思ってんだ…?こちとら、我慢の限界なんじゃあ!!」
「で、でもうちには全然お金が無いミィ!いつか、いつか返しますから、どうかお願いミィ!」
店長タブンネの悲痛な叫びに、客達はどよめきはじめた。
しかし、その声に同情する者は、誰もいなかった。
最終更新:2014年07月08日 00:11