此処はジョウト地方にあるサファリパーク。
バオバ氏により開かれたこの場所では今日も小さな子供が純粋にポケモンを捕まえるのを楽しみ、
また大きなお友達がメタモン乱獲しとあちこちでサファリゲームが楽しまれています。
そこらの草むらから元気なポケモン達が姿を覗かせ野生で楽しそうに・・・・
おや?何やら草むらから見慣れないポケモンが出てきましたね。
ピンクと肌色の毛並に真っ白な尻尾と大きな耳・・・
私の記憶が正しければこれはタブンネというポケモンですね。本来はイッシュ地方という所に住んでいるはずですが・・・
モンスターボールを持って不安そうにきょろきょろしている所を見ると向こうの地方のトレーナーがやてきた時にボールごと落っことしてしまったのでしょうか。
タブンネはボールを大事そうに抱えたままあちこち歩き回ってご主人様を探しているようdす。
見たことのない土地に見たことのないポケモン達とびくびくしているますが、だからこそ早くご主人様に会いたいんでしょうね。
ガサゴソ
おや向こうの草むらから何かやってきたようです。
がやがや騒ぐ声からして人間でしょう。
おっとタブンネがそれに気づいて音のする方へ向かっていきました。
ご主人様の声だったのでしょうか、なんだか嬉しそうな顔をしています。
「だからマジなんだって、マジで見たことないポケモンがいたんだって」
「えー、嘘くせー」
ん、出てきたのは数人の子供でした。
話の内容的にもこの子たちはタブンネのご主人様ではないのでしょう、タブンネ。なんちゃって。
そういえばタブンネといえば聴力が並はずれていたと思いますが全然役にたってないですね。
タブンネは草むらから出てきたのがご主人様ではなくまったく見知らぬ子供たちであることに驚き逃げようとしました。
しかし。
「あっ!見たことないポケモン発見!」
「こいつだよこいつ!」
「逃げないようにエサ投げようぜ!」
エサ。
その単語に反応してタブンネが立ち止りました。
「ミィミィ♪」
うわぁ、エサと聞くやいなやびっくりして逃げようとしていたのが一気に媚びた声になりました。
「ほら、エサだぞぉ!」
そう言って子供たちの一人がサファリパーク入園時に貸し出されるエサ玉をタブンネに向かって放ります。
「ミッミッ♪」
なんと言うことでしょう、このタブンネあろうことかさっきまで大事そうに持っていたモンスターボールを放り投げてエサを貪り始めました。なんと浅ましい。
しかしこのタブンネ、サファリパークなど来たことがないせいで此処の仕組みを知りません。
ただ優しい子供たちがエサをくれたと思っているようです。
「おい・・・さっさと捕まえようぜ・・・」
子供の一人がリーダー格らしき少年に耳打ちします。
「あぁ、そうだな・・・」
少年はタブンネに気づかれないようにサファリボールを取り出すと、エサに夢中になっているタブンネの頭めがけて力いっぱい投げつけました。
「ミギッ!」
当然タブンネはすでに別のトレーナーのポケモンですから捕まえることはできず、ボールはただタブンネの頭にぶつかっただけです。
投げた勢いはそのままですからタブンネにとっては大きな石を投げられたも同然です。
普通ならその場で逃げ出しそうなもんですが、このタブンネどうやらエサをもらって調子乗ったらしく「ミィィィ!」と怒り始めてしまいました。
ところが子供たちは事情を知らないので捕まらないのはやり方が悪かったからだと思ったようで
「なら泥投げるぞ!」
というリーダーの少年の声に従い一斉にタブンネに泥を投げ始めました。
「ミギッ!ギャッ!ガブォ!ゲホッゲホッ!イ゙ギィィィィ!!」
泥はタブンネの顔面めがけて飛んできます。この子供たちいやらしいですね。
突然のことですからタブンネは泥がいくつか口や鼻に入って激しく咳き込みます。
おっと泥だけかと思いきや、泥の雨に紛れて石や木くずなんかも紛れてますね。これはさぞかし痛いはず。
泥は狙いを外れて体にあたるものもあり、タブンネはあっという間に泥まみれになりました。
泥の使い方が間違ってるような気がしないでもないですがまぁいいでしょう。
「いぎぃ・・・!ミギャァァ・・・・ッ!」
タブンネは目に入った泥を取ろうと目をごしごしこすりますが、手にも泥がついでいるのでかえって泥が目に入ってしまいます。
その間にも泥や石は飛んできてタブンネに当たります。
「ミッ・・・!ミィィィィ!」
命の危機を感じたようですね、タブンネが逃げ出しました。
「あっ!待てこら!」
子供たちは逃がすまいと後を追いかけ、その最中も泥や石を投げ続けます。
・・・あっ!投げた石がタブンネの頭に当たりました!クリーンヒットです!
「ギャッ!」
あと少しで茂みという所でタブンネは勢いよく倒れこみました。頭を押さえて転げ回ります。
目の前の子供たちをまくのにちょうどよさそうな茂み、ここに逃げ込めば助かりそうだというのに。
「いまだつかまえろ!」
リーダーの少年の声と同時にボールが飛んできてよろよろ起き上ろうとしていたタブンネの側頭部にこれまたクリーンヒットォ!
「ギャアッ!」
タブンネは甲高い悲鳴をあげて再び倒れそうになります、しかし子供たちの思い通りにはさせまいと力を振り絞ってなんとか茂みの中に逃げ込みました!
「ミギャアアアアアアア!」
あら?ズザザザザザザっという音と共にタブンネの悲鳴がしました。
覗き込んでみるとどうやら茂みの向こうは崖だったようです。
崖下では落ちていったタブンネの周りに真っ赤な血が。もう死んでしまったのでしょう。
「あーあ・・・お前がさっさと捕まえないから死んじゃったじゃん!」
「うるせー!お前らがちゃんと捕まえないからだろー!」
ぎゃあぎゃあ言い争いをしながら子供たちは仕方なく帰っていきました。
最終更新:2014年07月16日 00:16