私は不動産屋をやっているが最近、なかなかいい物件が安く手に入った。
売り手の話を聞くとどうやら霊的な怪奇現象が起こるらしい
夜中にミィミィというすすり泣く声や悲鳴が聞こえたり
なにもいないはずの所でカリカリと何かをひっかく音がするらしい
霊媒師を呼んでお払いもしてみたが効果は無かったという
よくある幽霊物件の話だ
とりあえず下見がてらホントかどうか調べてみることにした。
いろいろ調べていて、台所の床にある食品貯蔵庫の扉を開けたときに奇妙な物を見つけた
直径50センチほどの球体だ
下は陶器、上はガラスでモンスターボールのように半分に分かれている
中には、白い砂が敷き詰められた上に針の山や赤い蝋のようなものでできた血の池、
ノコギリ付きの寝台や三角木馬などの拷問器具のミニチュアが置いてある
さながらこれは地獄のジオラマのようだ、よくできてはいるがいかんせん気味が悪い
これが原因ではないかと思い早速知り合いのオカルトマニアに見せてみる事に
「へぇ、このガラスはシルフスコープに使われている物と同じですね
やっぱり霊的な… あっ、電池入れるとこがありますよ」
確かに底の方に電池を入れる所がある、錆びるほど古くなった電池を出し、新しい電池を入れると電球のように明かりがついた
中にある拷問器具の模型もウィンウィンと動き出した、どうやら機械仕掛けだったらしい、
すると今まで見えなかったが小さな半透明のピンクの物が中で動いてるのが見えてきた
はっきり見えるようになって正体がわかった、タブンネの幽霊だ、しかもまだ子供の
子タブンネ達は拷問を受けていた。
くるくる回るむち打ち機でバシバシと打たれるもの、先端にトゲのついた餅突き機のような機械で腹を突かれ続けるもの
拘束され、ノコギリで引かれ続けるもの、ミキサーで粉々に砕かれ、また元に戻りまた砕かれを繰り返すもの様々だ、
蝋でできているはずの血の池で溺れているのも多数いる
霊の声が聞こえるスピーカーも着いていたらしく
子タブンネたちの慟哭が聞こえてきた
いったいこれはだれが何のために作ったのだろう
「これは、魂を閉じ込めて半永久的に中に出さないという装置のようですね
いうならば人工の地獄です。それもタブンネ専門の」「人工の地獄?何のためにそんな物を」
「おそらく、タブンネ虐待の愛好家の仕業でしょう
生きてるタブンネだけでは飽き足らず死んだタブンネの魂までも虐待していたのかと
どうやらこれは金魚ばちのように見てたのしむインテリアにしたのだと思います」
随分と悪趣味な話だ。だが、あの家に住む悪霊の正体が分かった、愛好家に虐待されたタブンネ達だ
さっそく私はオカルトマニアを連れて例の物件に向かった
するとオカルトマニアはさっそく何かに感づいた、親タブンネの霊だという
シルフスコープを付けて見てみると「キィィィィィ!」と奇声を上げながら這い回るタブンネの姿が見えた
眼は片方しかなく、耳は鋏で切られたのかズタズタ
手足は骨が見えるほど痛め付けられていて背中にはやけどの痕が
おまけき尻から飛び出した腸を引きずっている
「これがあの玉の中のタブンネの親みたいです」
試しに目の前にあの玉を置いてみると「キィッ!キィッ!」と鳴きながら中を覗き込んでいる
会わせてやりたい気もするが玉の空け方がさっぱりわからない
「それじゃあ徐霊しますね」
オカルトマニアは呪文を唱えながら母タブンネの体にパラパラと塩をかけた、
すると母タブンネは「ミ…ミ…」と小さく鳴きながら消えていく
子供の苦しむ姿を見ながら少々無念そうに
ちなみに子タブンネの霊は出し方がわからない限り成仏させるのは無理とのことだ
これで終わりかと思ったがオカルトマニアは庭にまだ何かあるという
それは深夜にならないと出てこないそうだ
深夜になってシルフスコープで庭を見てみると、それはそれは恐ろしい光景だった
庭を埋め尽くすほどの無惨な姿の子タブンネたちの霊…
手足が無いもの、黒こげなもの、首が180°曲がってるもの、骨と皮だけになるほどに痩せている者、内蔵が丸見えな者…
みんなキィキィと奇声を上げながら今も苦しみ続けているようだった
「数が多すぎますね、焼き払います」
オカルトマニアはシャンデラを出すと、庭を炎で焼き払った
一瞬焦ったが、魂だけを焼く炎だから大丈夫なそうな
炎の中でもがき苦しむタブンネたちの霊
その光景はまさに地獄そのものであった
それからというもの怪奇現象は起きなくなる
あとで庭を掘り返してみると、千体近い子タブンネの骨が出てきた
そしてあの人工地獄は中身ごとネットオークションで売るとかなりの高値がついてびっくり
物好きな奴はいるもんだな
最終更新:2014年07月19日 09:30