俺は家でタブンネを飼っている。タマゴの時からかわいがっているので懐き度は最高だ。
ある日、庭に別のタブンネがやってきた。そいつは正直タブンネなのかすらも怪しい風貌をしていた。
体中が汚れ、耳・触覚・両手が無く、まさに亀頭のような頭をしていた。
試しにオボンをやると、「ミィミィ」と嬉しそうに鳴きながら食べた。
見た目は少々グロイが中身はかわいいじゃないかと思い、俺はそいつを飼うことにした。名前はマランネだ。
早速タブンネにマランネを紹介すると、タブンネはあからさまに不機嫌そうに「ミッ…ミィ」と答えた。きっと見た目に驚いただけだろう、とその時の俺は考えていた。
すぐにタブンネはマランネをいじめ始めた。最初は俺の目を盗み、軽く小突く程度であり、俺はコミュニケーションの一貫だろうと考えスルーしていた。
一月もするとエスカレートし、マランネの餌を奪い、更に殴る蹴る噛み付くなどの暴行を加えていた。その間マランネは臆病な性格のためかただひたすら耐えていた。
おそらくタブンネは、「かわいいお耳や手足のある私の方がえらい!マランネと対等なはずがない」とでも思っていたのだろう。
俺は、そんなタブンネが急ににくらしくなり、きついお灸をすえてやろうと考えた。
ある日を境に、俺はタブンネに冷たくあたり、マランネを溺愛し始めた。
タブンネにはくさったきのみを与え、マランネにはとれたてのおいしいきのみをあげる。
食後はマランネだけをかわいがり、毛づくろいもしっかりしてあげる。
タブンネが「ミィミィ」と甘えた声を出して近づいてきても、無視してマランネと遊ぶ。
餌を奪ったり暴力をふるおうとしようものなら、すぐに駆け付けて釘バットでガッツのこもった渾身のフルスイングをお見舞いしてやる。
寝る時にはタブンネ用だったベッドにマランネを寝かせ、タブンネは水槽に放置して蓋をする。
タブンネがいじめを止めないのでこのような扱いは長く続くこととなった。
さらに一月後、用事があったため、マランネを置いていくのは不安だったが一日外出することになった。マランネは不安そうに俺を見送り、対するタブンネは満面の笑みで見送った。
翌日、家に帰るとマランネが出迎えてくれた。いや、こいつはマランネじゃない、耳はないがしっかり両手がある。
不思議に思いながらも部屋に入ると、そこには傷だらけのマランネがいた。しかもちぎれて血のついた耳がガムテープで貼られている。
どうやらタブンネは自分の耳をひきちぎりマランネと入れ替われば、またかわいがってもらえると考えたようだ。
マランネになりきったつもりのタブンネは「ミィミィミィ♪」と媚びた声を出す。
俺はナイフを持ってタブンネに近づいた。
「そんなになりたきゃマランネにしてやるよ」
「ミギャァァァァァァァァァァァアェェゥェェェァァァァァア-----------」
希望通りダルマランネになれたタブンネは砂漠に生き埋めにし、俺はマランネと楽しく過ごした。
完
最終更新:2014年07月19日 09:31