タマゴ泥棒

ある日、俺のタブンネが卵を産んだ
父親は俺のライバルのポケモンだった。いつ交尾したのだろうか
そもそも何故俺が知っているのか。あまり突っ込まないで欲しい
兎に角その事が気に食わなかった俺は、
タブンネが寝ている間に卵をゆで卵にしてやった。いい気味だ
それから一ヶ月たった今でもタブンネは卵を温めている
馬鹿なやつだ。卵が死んだことに気づけていないのだろう。卵をひったくってこう言った
「お前の大事な卵はもう死んでるんだよっ!」
べちゃっ
卵を床に叩きつけてやる
「よく見ておけ。お前の大切な卵はもう生きては…」
割れた卵の中に見えるものは、腐ったゆで卵などではなかった
今にも生まれそうな小さな小さな胎児タブンネだった
前の卵が死んでいることに、あいつは気づいていたのだろう
床に叩き付けられたのは新しい別の卵。それも孵化寸前のやつ
俺は何も言わず、胎児タブンネを踏み潰した
その感触は、とても口では説明できないほどに気持ち悪かった

あれから約一週間後の出来事だ
俺がジム戦を終え帰宅すると、例のタブンネが何やら騒がしい
遂に気でも狂ったのかと俺が様子を見に行く。するとそこには信じがたい光景が広がっていた
タブンネの周りに割れた卵が大量に散らばっているではないか
しかし、その卵は奴の物ではない。俺の他のポケモン達のものだ
毎日親のポケモンと世話をしてきたのだから一目で分かる
あれはサザンドラの これはサーナイトの それはパチリスの…

もう、俺は何も言わなかった
卵を割られたのがくやしかったのか?それなら俺に復讐すればよかった話だ
完璧にきれた俺はタブンネをベランダに連れ出し、首を切り、そのまま放り投げてやった
首を切った感触は、最高に清清しいものだった

余談だが、最近近所で留守を狙っては卵を食い散らかす、悪質なペルシアンによる被害が報告されているらしい

無理に前の話と繋げる必要はなかった気もする
最終更新:2014年07月30日 23:43