「ミッミッ!(みんなのためにやたいをひらきました!)」
「ミッミッ!(とってもおいしいおにくをただであげます!)」
「ミッミッ!(だからかわいいわたしをいじめないでください!)」
裸エプロン(豚に真珠だ、汚い豚ケツさらすなアフォキメェ)のタブンネが屋台を開いたようだ。香ばしい匂いが鼻をくすぐる。
「一つよこせ」
「ミッミッ!」
短い豚足でうまく肉を焼いていくタブンネ。ふとこの肉の出所が気になった。
「おい、こいつをどこで仕入れた」
聞くと、タブンネは耳をしなだらせて屋台の奥でじゃれあう子タブンネを一瞥した。
「ガキか」
「ミィ……」
タブンネがボロボロと涙をこぼしている。
「早く焼けよデヴ」
俺は励ますつもりでグーパンをタブンネの顔に全力で叩き込んだ。
「ブフヒィ!」
気持ち悪い鳴き声だぜ。血を撒き散らしながら後ろへ倒れるタブンネ。まだおちんこもんでるみたいだな。
元気出せよチンカス。
鼻が縮んだそいつの腹を数回蹴りつけたところで、誰かが俺を制止した。
「やは」
テレビで見たことがある。こいつは料理評論家のネン・ブターだ。タブンネの肉には特にうるさいと巷では有名である。
「わたし、お肉食べました。とってもおいしい、ブービックでした。あなたも、どうですか?」
タブンネがビクリとした。そういえば最近ポケモンが行方不明になる事件が多発している。
このウンコ野郎、騙してやがった上に罪のないポケモンを……
「おいぃ、この落とし前どうつけてくれんだよ」
「ミッミッ!」
タブンネは駆け寄ってきた子タブンネを抱いて俺によこした。この豚畜生め、自分の子供を犠牲にしてまでたすかりたいか。もう許さん。
子タブンネを鉄板の上に置いた。
「ピィ! ピィ! ピィ!」
跳ねて逃げようとしたので、タブンネを上に乗せてやった。さらに上から鉄板に押しつける。
「ビャアアアアアア!」
「ブヒョオオオオオ!」
ジュワジュワと美味そうな音とタブンネ母子の絶叫のコーラスが心地よい。臭いが酷いのはご愛嬌。
「ピギィィィィィ!」
子タブンネの声が消えた。なんだもう死んだのか。
「ミピィッ!」
タブンネを鉄板から下ろしてやった。ぜえぜえと息を整えているタブンネの焼けた腹に、塩と七味をすりこむ。
「ビヒョガッビイ゙!」
打ち上げられたコイキングみたいにのたうち回るタブンネをネンと一緒に笑う。
「食べても、いいですか」
もちろんさ。屋台にあった割りばしを渡すと、ネンは獣のようにタブンネに食らいついた。割りばしいらねえ。
「ピョアガッッピィブォオミィプィ!」
可愛らしかった鳴き声が跡形もない。これはタブンネと呼べるだろうか。
ガツガツと口を血で汚しながらタブンネをかじるネンもなんか恐い。
もういいだろ。俺は残った子タブンネをつれて帰宅した。これからたっぷり可愛がってやると言ったらガタガタ震えていた。
明日から楽しくなりそうだぜ。
翌日、タブンネの屋台はネンに乗っ取られた。
最終更新:2014年08月01日 23:30