冷凍コンテナでの作業中、積み荷の影に何やらピンク色の物体が見えたので何かと思えば
保存してある食料の匂いにでも釣られて紛れ込んだのだろうか、寒さにぶるぶる震えるタブンネ親子だった。
いくらタブンネの厚い毛皮と脂肪を持っていようとさすがにこの温度には耐えられないだろう。
特に子供の方は衰弱が激しく、母親が抱きしめて温めているが危険な状態だ。
凍えるタブンネを速やかに連れ出して家で保護することにした。
暖炉のある温かい部屋に移すと、タブンネは持ち前の回復力でみるみる元気になった。
子供の方はまだ少し弱ってはいるがもう大丈夫だろう。
ホットミルクをペロペロ舐めオボンの実を幸せそうに頬張っている。
しかしまだ心配なので風呂で温めることにした。大きめの鍋に火をかけ沸騰させる。
子タブンネの首根っこを掴み、鍋の方に持って行くと子タブンネも母タブンネも
不思議そうにキョトンとしていたが、一気に鍋にドボンと落とすと、部屋にタブンネ親子の悲痛な叫びがシンクロした。
滾った熱湯の中でガボガボもがく子タブンネ。母タブンネが大慌てで駆け寄って鍋をひっくり返すも
子タブンネはびくびくと痙攣して絶命してしまった。
絶望して号泣する母タブンネを尻目に私はゆで上がった子タブンネを一口かじる。
これは美味い!!良い感じにプリプリした肉の食感と濃厚な味わいが何とも言えない。
母タブンネにも勧めようと思ったけど、だめだこりゃ。すっかり放心状態に陥っている。
しかし今回は中々の美味を発見したので、母タブンネは子タブンネ生産用に飼育しようと思う
最終更新:2014年08月03日 23:41