あ!やせいのタブンネがとびだしてきた!
あいてがよわっている!チャンスだウルガm――――
ん?
「ミィ…」
俺が草村の中で見つけたタブンネ、そいつはひどく弱っていた
「ミミィ!」
敵の出現に驚いて逃げ出すが、素の問題もあるんだろうけど、体力のせいで思うように動けていない
「ビャッ」 ドテッ
そのまま前のめりに倒れるタブンネ。そしてまた立ち上がり、またこける――――
じれったくなった俺は、そいつに傷薬を分けてやった。ストックはあるし、一つぐらいならいいだろう
「?…!…ミャィ!ミャイ!」
なんということでしょう。あんなに弱っていたタブンネが一瞬にして元気を取り戻したではありませんか
科学の力ってすげー
「ミィ、ミッミッミイッ!」
ん?どうしたんだ、手をそんなに振って……
あぁ、手招きしているのか?
「ミッ!」トテトテトテ……
俺を先導するように歩き始めるタブンネ。お礼でもする気かな?
そんな図々しいことを考えながら俺はタブンネの後を追っていく――――
しばらく歩くとタブンネがいきなり駆けだした。
目的の場所が近づいてきたのだろう。しかし、この辺りはたしか―――
数分後、俺を出迎えてくれたのはさっきのタブンネと、その子供達。
そして大量のゴミ……
あー、そうだ。思い出した。ここは不法投棄が問題になっている森の中央だっけか。
粗大ゴミ・生ゴミ・空き缶・空き瓶 ひどいものではポケモンの死骸。それと異常なまでの臭い
まったくひどい有様だ
「ミィミィ♪」
タブンネ一家は捨てられたらしいクローゼットの中で手招きしている。
野生のポケモンもあまり近寄らないし、こいつ等にとっては絶好の巣になっているのだろう。
だが俺は人間だ。どうしたものか――――
「ミー?」
無反応の俺を不思議に思ったのだろう。あろうことかタブンネ一家が俺にすり寄ってきた。
やめてくれよ、汚い…
そんな俺の気持ちを余所に、ぐいぐいと俺の腕を引っ張っていくタブンネ達。
うん。まぁ、なんだ。余計なことってのは、するもんじゃないよな――――
腐ったオボンの実、飲みかけの飲料、奇妙な色の団子etc…
その後タブンネ達は、彼らなりの御馳走をふるまってくれたのだが、
当然そんな物食えるはずもない。しかし野生のタブンネに理解しろと言うほうが無茶な話で、
楽しそうに料理(?)を手渡してくる。まいったな。
その後も俺は適当に流していたんだが、遂にタブンネがキレたらしい
「ミッ!ミッ!ミィッ!!」
はぁ。いや、気持ちはわかる。だがな、俺はそんなm――――
「ミュァッ!」
ベチャッ
あ?
嫌な音が響く。どうやらさっきのオボンを投げつけられたらしい。
俺の洋服に跡が付いている。洗っても取れないだろうなぁ。
一昨日買ったばかりのブランド物だというに――――
「ミャイミャイ!」
さっきのタブンネが笑っていやがる。
成程。自分の気に食わない行動をとられれば、相手が命の恩人であろうと笑いものにするのか…
いいじゃないか、面白い。これは宣戦布告として受け取ってやろう。
都合のいいことに、新しく育成したポケモンの試運転をしたいところだったんだ―――
沸々を湧き上がる怒りを抑えながら、タブンネに微笑みかける
「ミ…ミィ?」
俺の態度に一瞬怯む親タブンネ。この一瞬が命取り
「ミュッ!?」
子タブンネの小さな悲鳴。
なまじ安全なところに住んでいるものだから、狙われることを知らないいのだろう。
狭いクローゼットの中なので、捕まえるのも容易だった――――
ゲシッ 「ミビャァッ」
ダブルショックを受けている親を蹴り飛ばして一度引く。
さぁ、お前の出番だ、ハハコモリ―――
「ミャァッ!?」
さっきの子タブンネを軽く空中に放る
「ミビィィィイ!」
親タブンネがすごい形相で突っ込んできたが、残念!
「ビャァァッッ」 ズパッ ポトトトトッ
一瞬だけ早く、シザークロスが入ったらしい。
子タブンネは綺麗に四分割されて親タブンネの頭に降り注いだ――――
……最初はこのまま全滅させてやろうと思ってたんだが、この光景を見てたら気が変わった。
こいつ等には修行の手伝いをしてもらおう。
ハハコモリ、草笛を―――
俺が初めこいつに持った感情はどこへ行ったのだろうか。しかしそれはどうでもいいこと。
さて、残るタブンネは子供三匹に親一匹か――――
親が眠っている間に俺があれこれ考えていると、一匹の子タブンネが親に寄り添ってきた
そいつを摘みあげる
「ピーピーピー!」
そのピーピー言うのを止めなさい!
ということで、近くに落ちてたゴミを可愛らしいお口に突っ込んであげた
「ウー!ムグ…ウーウーウー」
なぜか元ネタに近くなった―――
さっきはシザークロスの練習台にしたのだから、今度はリーフストームを試そうか。
ということで、ウーウー言ってるのをハハコモリの前に放り投げてやる
「ウーー!!」 ズパパパパパ(ry べちゃ
口を切り刻まれて中身が出てきた。どちらにしろ、もう声を上げることはできないが
ついでに体中傷だらけだ。それと右腕が取れてやがる。
気持ち悪いので再びクローゼットの中に放り込んでやった。
兄弟たちは気味悪がって近寄らない。薄情な奴らだなぁ――――
未だに目を覚まさない親タブンネを尻目に、三匹目に掴みかかる。
「ミィ……」
しかし、こいつの反応は面白くない。絶望しているのか、声に生気が感じられない。
ん…よし、決めた。こいつは――――
早速ハハコモリに指示を出す
「ミィィ・・・?」
座り込んでいるタブンネの周りに光の壁が展開する。
そして…親タブンネに蹴りを入れて覚醒させ――――
寝ぼけているタブンネを先ほどの壁タブンネに向ける
「ミッ!」
すると、先ほどまで死んだような顔をしていた壁タブンネに、希望の光が宿る―――
「ミィィィイイイ!!」 ベチョ 「ミィ!?」
親子感動の再会。それを邪魔するのは先ほどの光の壁か。
あはれ親タブンネ、その顔は焦りと困惑で歪んでいる
「ミッ!ミッ!ミッ!」
再び絶望に支配された子タブンネは、光の壁を叩く親を死んだ魚の目で眺めている――――
しかしこのタブンネ。子供に夢中ですっかり俺のことを忘れているらしい。やっぱり馬鹿だった。
俺はその光景からクローゼットに目を移す。さて、最後の一匹は、
あん?どこにも居ない。ハハコモリに聞いてみても、知らないという。
しかし、子タブンネの足でそう遠くまで行けるはずもない。ましてや足場が不安定のこの場所でだ。
ついでにウーウー言ってたのも居なくなっている。益々おかしい―――
「ミミミ゛イイイイイイィ!!」
ひときわ大きな悲鳴が響き渡った。居なくなったタブンネのものだろうか。鳥にでも襲われたのか―――
悲鳴と同時にゴミの山が崩れ落ちて、中からダストダスが現れた。
しかも通常のものより遥かに大きい。それだけゴミが多かったということか。
そして、そいつの口の中からはタブンネの絶叫が。
親タブンネはというと、必死で壁タブンネを逃がそうとしている。
死んだ子供は帰ってこない。生きるための知恵(知識?)なんだろうが、
もうちょっと何か見せてくれると面白かったんだがなぁ。
そうこうしているうちにダストダスがこちらに歩み寄ってきて――――
あぁ、まずい!急いでハハコモリをボールに戻し、逃げる、逃げる、逃げる。
タブンネはというと、遂に諦めたらしい。子供を置いて俺の後ろについてきていた――――
最終更新:2014年08月03日 23:50