タブンネシェイク

最近、俺が勤めるレストランの裏口のゴミ捨て場が荒らされている。
誰だか知らないがとっちめてやろうと物陰から見張っていると、ピンク色の物体が姿を現した。
タブンネだ。ガキを1匹抱えている。
「ミッミッ♪」「チィチィ♪」
ゴミバケツをひっくり返すと、中のポリ袋を引きずり出し、笑顔で中を漁り始めた。
「今日のご飯はなんだろな」みたいな満面の笑みを浮かべやがって、生ゴミを散らかす豚親子。

許さん!

俺はダッシュで駆け寄り、親タブンネが振り返るより早く、棍棒で脳天を一撃した。
「ミゲェーッ!」
「よくも余計な仕事増やしやがって!この豚が!豚が!豚が!」
頭を抱えてぶっ倒れる親タブに殴る蹴るの暴行をひとしきり加えて、ここ数日の鬱憤を晴らした。
一息ついて周りを見ると、子タブンネの姿が見えなくなっている。
逃げたのか?しかしあのチビ助がそう遠くに行けるとは思えない。

しかし子タブンネはすぐに見つかった。親タブンネが横倒しにしたゴミバケツの中に隠れていたのだ。
頭と胴体までは隠れたものの、尻尾が外でプルプル震えている。頭隠して尻隠さずにも程があるというものだ。
せっかくだ、お前にも罰を受けてもらうとするか。
ゴミバケツを元通りに立てて、子タブンネが逃げられないようにしてから、俺は厨房に戻った。
フォークを1本、それと古くなって廃棄する予定だった粗塩を持って引き返すと、
足腰立たなくなっている親タブンネが、這いながらゴミバケツを押し倒そうとしていた。
ガキだけでも逃がそうというのだろう。そうはいくか。

俺は袋から粗塩を一握り掴み出し、親タブンネの目になすりつけた。
「ミギャアーー!」
のたうち回る親タブを尻目にゴミバケツをのぞき込むと、子タブンネはチィチィと手を伸ばしていたが、
顔を見せたのが親ではなく俺と知って、ぎょっとして立ちすくむ。

俺はすかさず、その額にフォークを突き立てた。
「ヂィィィ!」
悶絶する子タブンネの体を、フォークで突いたりひっかいたりして傷だらけにする。
そして粗塩をゴミバケツの中にぶち込むと、バケツを持ち上げて、思い切りシェイクした。
「チギャアアアアーーー!」
全身塩まみれになり、甲高い悲鳴をあげて子タブンネは狭いバケツの中を転がる。
もがけばもがくほど傷口に塩が擦り込まれ、苦痛は増大するばかりだ。

俺は厨房にとって返し、客が飲み残したビールのジョッキを3つほど持ってきた。
そのビールをゴミバケツの中に勢いよく注ぎ込む。そして再びゴミバケツをシェイクシェイク!
「ヂギャァー!ヂァァーーー!」
炭酸の泡が傷に沁み、さらにそのビールで溶けた粗塩がまとわりつくように全身に絡みつく。
子タブンネは泣き叫びながら助けを求めるが、あいにく親タブはまだのたうち回っている。
目をこすればこする程、逆効果だということに気づかないらしい。馬鹿めが。

さて、いつまでも遊んでいられない。とどめを刺すとしよう。
俺が今度厨房から持ってきたのは、危険物入れのバケツ。割れた食器やグラスの破片が満載されている。
それをザーッとゴミバケツに流し込んで、三度目のシェイク!シェイクシェイクシェイクシェイク!
「フィッ!フィィィ!イイィィ・・・!」
ガチャガチャと食器やグラスが砕ける音と共に子タブンネの悲鳴も数秒続いたが、すぐにその声は途絶えた。
中をのぞいてみると、ビールと粗塩の混じった泥の中に子タブンネはうつ伏せで沈んでいた。
破片が刺さりまくってるし、まあ死んでるだろう。一丁あがりだ。

親タブの方はというと、青かった目が真っ赤に腫れ上がり、ピクピク痙攣している。もう何も見えまい。
その図体を抱え上げて、脳天からゴミバケツに叩き込んだ。
「ミギィィーッ!」
ポッテリした腹が、ちょうどゴミバケツのサイズにジャストフィットしたようだ。
足をバタつかせてもがいても、腹がぴったりバケツにはまって抜けない。
ガキの死体を眺めながら窒息して、仲良くあの世に行くがよい。あ、目が潰れてるから見えないか。
俺は晴れ晴れした気分で、仕事に戻ったのであった。

しかし翌日、「生ゴミと危険物を一緒のバケツで出さないでくれ」とゴミ収集業者に怒られた。

(終わり)
最終更新:2014年08月06日 02:36