腐れ開発チームネタ2

まるで異層次元の入口を守るかの様に配置された敵を倒した俺達は、本命の待つであろう異層次元へと…突入した。

「………これは…!」

STAGE 2 浸蝕者の生態洞窟

「うぇぇ…何これ気色悪…」

異層次元の中は…一面が生物の内臓の様な物が敷き詰められたグロテスクな洞窟だった。
今にも吐きそうな気分になるが、俺は何がなんでもこれに耐えなければならなかった。
………こんなのを見れば、誰だってこんな所で力尽きて取り込まれるのは嫌に決まっているだろう。

死角や地形に紛れ、こちらの不意を突いて強襲してくる奇形の敵生命体を薙ぎ倒しながら、中心へと進んでいく俺達の前に、突如そいつは現れた。

「蛇?! いや…違う! 奇形の糞豚か!」
頭部の形状と色から、こいつも糞豚の進化した姿なのだろう。

「さっきの奴といい、こいつといい、肉がデカくなれば強くなるとでも思ってるの? 所詮肉は肉、玩具は玩具だ!」

「ホッホーウ! こ奴…不規則な動きに体の節々からエネルギーを飛ばしていますぞ! 体当たりを回避しても油断出来ませんぞ!」

卑猥な形へと進化した糞豚…
こちらを見てニヤけているその面、見てるとますます腹が立って来る…!

「当たれッ!」

頭部に向けてレールガンを撃ち込むも、強度が高くダメージになっていない様だ。

「この様子だと、さっきの玩具みたいにダメージが与えられそうにないみたいだね…!」

ミョルニルもかなり悔しそうだが、破壊出来ない以上弱点を探すしかないが、さっきの奴と違い弱点部位が見当たらない。
更にレーダーには、更に大型の反応、万事休すなのか…? だが諦めないと決めた以上、絶望はしない。

そして肉眼で捉えたそれは…あまりにも…。

「また気持ち悪いのがでてきたなぁ…ボクは気持ち悪い穴だらけの玩具なんか要らないよ!」

「さっきのデカい奴がこいつの穴に…? それに、この反応…」
「分かった! こっちの穴だらけの奴が本体だ! 弱点はあの上に少しだけ出てる青いコア…うわっ!?」
突然穴から液体が噴き出し、更に中に入った奴が飛び出して来る。
反応からしてあの液体は極めて危険な物質の様だ。

「大丈夫?! これじゃあ狙いが付けられないよ!」

「俺が囮になって長い奴を引き付ける! ミョルニルは本体をその隙に破壊してくれ! 危険だけど…防戦一方になるのは絶対に避けるんだ!」

「了解! だけどキミも絶対にミスはしないでよ!?」

「ほら! 俺はこっちだ!」
こんな挑発に乗るなんて、どうやら頭の中は豚のままの様だ、徐々に本体から離れていく俺と糞豚。
頭から液体を噴き出しながら迫って来るのだから気持ちが悪い…!

「今だッ!」

遠くで閃光が見えたと同時に、糞豚が断末魔を上げて爆発四散した!

洞窟内の生体反応が全て消滅していく…つまりこれは…

「勝ったのか…俺達は…?」

歪んでいた空間が、コロニーの内部へと戻り、俺達は生きて帰って来た事を…実感した。

「やったよ~! ボク達帰って来れたんだ!」
「うわっ! 止めろって!」

ミョルニルは嬉しさのあまり、機体のまますり寄って来た! 正直危ない。

「聞えるか? こちらG.T級、無事ならば応答せよ!」
「こちらヤスケです、異層次元の敵の撃破に成功しました。 浸蝕反応は全て消失したみたいです!」

「了解、こちらからも反応の消失を確認した。 直ちに帰還せよ。」

「ねぇ…帰ったら、キミに少し話したい事があるんだ…」
「話したい事?」
「うん…凄く大切な事なんだ…キミだから話せる事と言って良いかもしれない。」

………一体…なんなんだろう…?

STAGE2 CLEAR!

(此所からは少しキサラギサイドになります。)

戦闘に参加した部隊の大半が全滅、無事生還したのは2割にも満たないという開戦当初から最悪の展開となってしまったが、たった2機の活躍によって我々は勝利を掴む事が出来た。

だが、失われた人員は多く、兵員の補充が行われる事となり、新兵向けの新たな訓練プログラムが組まれる事となった。

「キサラギ博士、貴方も訓練に出るのですか?」
「研究ばかりでは体が鈍る、今は許可されていないが私は自分の手で奴等を消すと決めたのだ、戦闘機に何時でも乗れる状態にしなくてはな。」
「それで敢えて体の負荷を強める様な、自分専用のACS(※アクス)を開発していたのですね…健闘を。」

「そうでもしなければ、ブーステッドのパイロットに大きく差を開けられてしまうだけだ…システム、オールグリーン」

ただの機動テストではない…今回は実戦となるのだ…!
ACSを装備した私は、訓練に参加した。

訓練内容は…死を恐れず、敵対生命体(タブンネ)を殺戮出来るかである。

今回の訓練には特殊な処置を施し、疑似的に浸蝕されたタブンネを使用している。
その為、凶暴性が極めて高く死亡者が出る可能性すらある、危険な訓練となっているのだ。

とはいえ、限られた兵員が訓練で死亡しては訓練とは言えないので、死亡しない様に配慮自体はされているのだが、危険な事には変わりは無い。
「圧倒的な数で押して来る以上、我々が常に不利である事を考えなければなるまい…!」
「ヒャッハー! 熱くて死ぬぜ~!」

火焔放射を覚えた豚の様だ…つくづく下品で低俗な奴だが、所詮はその程度だ。
「醜く爆ぜろ、ライオット!」

糞豚の火焔が放たれるよりも、電撃の方が速いのは当然であり、強力な雷撃の前に、豚は爆散した。

状態良好…どうやらライオットの音に反応して豚共が密集したまま近付いて来たが…

「次は…バラウールを食らうがいい!」
アンチマテリアル+ハンドレールガン、連射は効かないが破壊力と衝撃による範囲だけなら凄まじい代物だが…
格闘戦でも殴って使える程の強度を持つので、近付かれても死角など無い。
直撃を受けた者の回りの地形が大きく抉れている所から、この兵器の威力を察して貰いたい。


※(アクスとはアーマード コンバット スーツの頭文字を取った物、要するにパワードスーツぐらいのサイズのアーマードコアである)

敢えて体の負荷が大きくなる状態の重装かつ高加速力を持つACSで戦っている私だが、負荷は全く感じていなかった。
今までのストレスを解消するかの如く、豚共を破壊していく私だったが…

「助けてくれ! これは訓練じゃなかったのかよ?!」

その声を聞いた私は、すぐに声の元へと移動したが、私の目に写ったのは、腰を抜かしたゾロアークと…

「グオォォォォッ!」

琥珀色の目をした、出来損ないの“こくいんポケモン”の姿があった。
体の所々が欠落している…ブーステッドの実験に失敗した存在の様で、見ていて目を背けたくなる様な哀れで痛々しい姿をしている。
………訳の分からない事ばかりだが、考える時間など今は無かった!

「死にたくなければ逃げろ! 私が時間を稼ぐ!」

本来なら我々が死なない様に訓練用のプログラムが働いている筈だが…周りを見ればプログラムは働いておらず、体を抉られてる死体、焼け焦げた死体…その他諸々が転がっている…

私は迷う事無く出来損ないの前に飛び出した!
「貴様の相手はこの私だッ!」

私が前に出た事により、出来損ないの注意は私に向いた様だ。
後は時間を稼げば…そんな私の判断は間違っていた様だ…気が付けば…凄まじい衝撃が私を襲っていたのだ。

「くっ…! 雷撃は目視してからでは回避不能…自分で雷撃兵器を使っておきながら…情けない!」

だが、私にも回避が出来ないからと言って勝算が無い訳ではない、このACSにはシステム破壊防止の為の対電磁パルス加工、更には小型ながらも波動エンジンが組み込まれている…つまり…

「体がまだ動く以上、勝算はあるという事だ!」

相手の雷撃のチャージよりも早く、波動エンジンより抽出した波動の塊を出来損ないに放つ。
見た目は通常の波動砲に比べれば地味ではあるが…

「爆ぜろ!」
直撃した波動は、着弾地点より破裂し、周囲に大きなダメージを与える。
試作段階故にまだ出力、範囲に不満が残ってしまっているが、それでもかなり有用な兵器として使えそうだ。

「出来損ないの神剣にこれ程の力を発揮するとはさすがだな、キサラギ」

倒れて動かなくなった出来損ないを余所に、私の通信回線に聞いた事の無い男の声が聞える。

「ディバインウェポン…こんな物が神剣だと…?」

「奴等に対抗するには、兵器はもちろんパイロットも必要だろう? ならば訓練は重要な物の筈だ」

訓練? このふざけた事態は、この男が取り仕切っているのか?! 私は思った事を口に出していた。
「貴様…何を考えている! これでは…兵員が犠牲になる一方ではないか!」

「口の聞き方には気をつけて貰おう、変わりはいくらでもいるのだぞ? 今回は不問とするが次は無いと思え」

………通信はそこで解除された。
私は力尽きた者達に、その場で黙祷を捧げたのだった。

そのままふざけた訓練は終わったが、その後の艦は酷い有様となった。
まず、声の男が実質この艦の提督となった事。
ビンセント…軍の中でも評判が最悪なこの男が、まさか私が本部に送った研究データに興味を示し、こんな所にやって来るとは…
本部ではブーステッド研究等を担当していたらしく、そのプロジェクトが伝説級の者達を実際の力を持たせたまま、
量産、兵器として使用するというコンセプトだった為、神剣(ディバインウェポン)計画と名付けられた様だ。
ブーステッドであるミョルニルが此所に来たのも、今なら頷ける話である。

私は激怒した。
「こんな事をしろだと?! 奴は…人間じゃない!」

私達兵器開発チームに送られて来た命令…それは、生きたままの厳選漏れの兵士の頭を麻酔も無しに切り開き、脳の一部を摘出しろとの事だった。
恐怖、苦痛、憎しみ…ミィアドレナリンの様な物を採取するつもりの様だが、そんな物を使って作るブーステッドなど、考えただけでも恐ろしい…

「ちくしょう…訓練だって話だったじゃないか…! みんな殺されて…生き残れたと思ったら…俺は此所で殺されるのかよ…!」

今喋っていたのは、私があの時助けたゾロアークか…
私が助けたばっかりに、この様な展開を招く事になるとは…
連れて来られた他の者達も、自分に課せられた状況に納得が出来ている者は一人もいなかった。

「キサラギ博士…準備が整いましたが…私は今回の手術には反対です。」
「豚が相手なら躊躇いも無く出来たでしょうが…彼等は兵士、私達と同じ人権を持った存在なのですよ!?」
「こんな事をして彼等の怨嗟を買って生きるぐらいなら、私は粛清される事も構いません!」

「なら…私に良い案がある、デスマーチとなる可能性があるが…皆、付いて来てくれるな?」

皆の目には、異論は無かった。

ポケモン達には皆、爆弾付きのパワーキャンセラー(能力を封印する物)が付けられている。
まずこれを外す事から始めなければならないが、全てを外していては奴に感付かれてしまう危険性がある為、一つだけ外し、幻影(ゾロアーク)の力を借りる必要があるのだ。

幻影の力を借りれば、外道と言えど謀るのは簡単である。
では爆弾をどう外すのか? これも簡単な話だ、誤作動と偽り、ほんの少しだけ製作中のジャミングを発生させ、その間に解体すれば良いのである。

………作戦は素早く行われた。
「安上がりな物を使うと痛い目を見る、だ。」
ジャミングが発生したのを確認してから、素早くキャンセラーを解体しダミーのキャンセラーを取り付け準備は完了、簡単に組み立てられる物は簡単に外せてしまうのだ。

「私が気に食わないのだろうが手筈通りに頼むぞ、君が皆のメシア(救世主)となるのだ。」

「わ…分かった! やればいいんだろ?!」

彼の幻影が発生した所で作戦フェーズ2へと移行、幻影の影響で監視カメラが誤魔化せるので、手術のターゲットをすり替える作戦に出る。

案の定、奴は監視カメラの映像が乱れた事に対し、あれこれ言って来たが…
「死を恐れた被験体がジャミングを起動させ、逃走を計ろうとしましたが、すぐさま取り押さえました。 例の物質の採取はこれより始めます。」

この程度、造作もない。
そして手術をする幻影に紛れて私達開発チームは、彼等に付けられたキャンセラーを全て解体、自由を確保した。

「で、これからどうするんだ? 確かに力は戻って来た、だがこのまま奴に挑んでも…」

「真正面から挑むつもりは元より無い、だが…状況を混乱させてしまえば…」

「そんなに都合良くいく訳無いでしょう! 相手はあの…!」

「神剣に警戒しているのか? ………この世に完璧な物など存在はしない、不完全な物は対策で覆す事が可能だ。」

「何処からそんな自信が出て来るんだ…俺の幻影だけじゃ…いずれ…」

「そろそろ…だな。」

私がそう言った辺りで、艦の警報が鳴り響く!

「武器倉庫にて、脱走していた研究用タブンネ達が武器を強奪! 艦の中で暴動を起こしています! 兵士達は直ちにこれを鎮圧して下さい!」

「全ては…私の計算通りだ… この期で奴に立場を分からせてやる。」

騒ぎに乗じた反抗作戦、この作戦で奴に立場を分からせてやらねばならない。

奴の部屋のカメラでは、私が手術を行っている様に見えているが、実際は自律機動可能な作業用ACSが、糞豚共のオペを行っているのだ。

そして…私の切り札は3つ。
一つは対ブーステッド用アポトーシス(自殺因子)
不完全なクローニングで出来た存在の体を維持する細胞を、強制的に死滅させる事が出来る物で、奴が今回の騒動で出来損ないを出払わせているであろうという事を逆手に取り、的確に各個撃破を狙う。

二つ目は彼の親友、ヤスケ一等空士だ。
奴に束縛された彼を救うには、間違いなくヤスケの力が必要である。

………心の絆は種族を超えた奇跡をも起こす、私とエリザが実証済みなのだから…

三つ目は…説明は後に取っておくとしよう、奴に精一杯の屈辱を与えるのは、やはりこれを使うのが一番だろう。
“黒歴史”の遺産をな。

「こちら偵察部隊のエルフーン部隊だよ! 反抗作戦は順調に進んでる!」

「了解、そのまま偵察を続けてくれ。」

「アイアイサー♪」

悪戯心というのはこういう所では頼もしい。

途中で打ち合わせ通りにヤスケと合流、準備は整い、私達は司令室へと向かっていた。
「博士…アンタは俺が切り札になるって…」

「君は彼の初めての友達なんだろう? 彼の友を語るなら、自信を持て、彼を信じて自分の言いたい事を叫ぶだけでいい! それで…必ず彼を救える!」

「分かったよ…俺…アンタを…信じるよ!」

「よろしい…では、ショータイムだ!」

私達は司令室へと飛び込んだ。

「貴様?! キサラギ! 何のつもりだ!」
「貴方に立場を分からせに来たのです、貴方が来てから兵士の士気は下がり、兵員は減り、これでは奴等との戦いの前に消耗するばかり。」
「そんな者が提督であって良い筈が無い、人類とポケモンが手を取り合わなければならない時に、独裁者や反乱分子は必要では無い!」

「反逆者は貴様達であろう、ミョルニル、反逆者を殺せ。」

部屋の奥から現れたのは、彼にとって見慣れた存在の筈だった…
だが、今は奴にコントロールされてしまっている様だが…心は、そこまで簡単に縛り付けられる物ではない!

「ミョルニル! 俺だよ! ヤスケだよ! 俺が…分らないのか?!」

後は…彼の心の強さ次第だ。

「俺…今まで友達も…仲間もいない落ち零れで…折角認めてくれた人も死んで…どうすれば良いのか分からなかった…!」
「だけど、そんな中で俺の事を助けてくれたのは…ミョルニルだったよな?」
「まだ…言いたい事も言えて無いし、ミョルニルが俺に言いたいって事も聞いてない…」

「俺はもっと色々話しをしたい! 昔の事も…これからの事も! だから…目を醒ましてくれ!」
「…その命はこんな奴の道具でも武器でもない! お前の物なんだよ! ミョルニルッ!!」

「………そうだ…ボクは…キミにまだ…沢山話したい事が…あったんだ…! ボクは…ボクだ! もう、お前の言いなりにはならないッ!」

邪悪な呪縛を、絆の力が超えたのだ!

「くっ! この程度で私のコントロールを振り切れると思うな! 貴様ら全員処刑してやる!」

奴が取り出したのはコントローラー…ブーステッドを洗脳し、操作する物…
だが、これで私達の勝ちは確定したも同然だった。

奴がミョルニルの洗脳を行おうとした所で、奴は突然眩い光に包まれた!

「なんだこれは…?! 私の体が?!」

奴の体は、まさに豚人間という有様になっていたのだ。
最終更新:2014年08月13日 12:57