(-@∀@)「遂に完成したぞッ!」
(゚、゚トソン「またですか?」
(-@∀@)「またとは何だ!またとは!今回こそ完成だ!」
知的(?)な丸眼鏡を掛けたマッド開発者、アサピーと、その助手、トソンがもう何回目か解らない会話を巨大な装置の前でしている
その装置は、特殊なカプセルの中に入れた生命体を異次元に送ってしまう物
つまり増えすぎたタブンネを、愛護団体にバレない様に減らす開発をしている
彼も方法は違えど、ドクオと同じくタブンネに頭を悩ませていた一人なのだ
(-@∀@)「そうと決まればいざ実験さ!」
(゚、゚トソン(帰りたい……)
「ミィィィ!」
機械のレバーに手を掛けるアサピー。カプセルの中にタブンネが一匹
脱出しようとしているが、Lv.100CV極振り破壊光線にも耐えるカプセルは壊れない
(-@∀@)「グッドラックタブンネ!」ガチャリンコ
「ミィィィィィィィィ……」
アサピーがレバーを下ろすと、タブンネは粒子となって異次元へと飛んでいった
太陽が散々と輝く世界
「ミブッ、」
空中から落ちてきたタブンネは顔面を強打。顔を擦りながら起き上がる
|'~'≦「ー?」
「ミィッ!?」
何とも言えぬ疑問の声を背後から聞いたタブンネは慌てて振り返る
異世界に飛ばされた挙句敵に襲われたら大変だからだ
いたのは、皮膚は真っ赤、黒いぼろ布を身に纏い、キョンシーみたいに手を伸ばした変な生物だった
どうやら、というかタブンネの事を知る筈も無い赤い生物は不思議そうにタブンネを見つめている
「ミッ…ミィミッ♪」
|'~'≦「??」
明確な敵意が無いと見たタブンネは、その手を合わせて赤い生物に笑顔を向ける。タブンネが得意とする媚売りだ
しかし赤い生物には理解出来ないのか、タブンネが卑しく首を傾げるのに合わせて赤い生物も首を傾げる
「ミィ……ミィッ!」
|'~'≦「ッ!」
幾ら甘い声で甘えても全くの無駄と見ると、タブンネは赤い生物に突進を掛けた
身勝手極まり無いが、タブンネなので仕方ないと言えば仕方ない
だが赤い生物にはそれも伝わらなかった様だ
|'~'´≦「ッ!!!」
「ミグァッ!?」
怒った赤い生物はタブンネの肩に噛みつく。歯が鋭利なのか、安々とタブンネの肉を貫く
タブンネは即座に赤い生物を突飛ばし、逃げ出す。どうやら危機意識が出来たタブンネの様だ
赤い生物も追っては来ない。途中赤い生物の色が違うタイプに沢山出くわしながらある街に滑り込んだ
「ミ゛ッ…ミ゛ィィィ……」
ここでタブンネは異変に気づく。先程噛まれた所が焼けている様に痛むのだ
誰かに助けてもらおう。そう思ったタブンネは美味しそうな匂い漂う店に入った
「いらっしゃいま……せ?」
「わっ!?」
中には青い服の少女と、それよりも幼く、人形を抱いた少女がいる。ここでは少女と幼女と記載するとする
突然の来訪者に驚く幼女と少女。しかしタブンネにそんな事はどうでも良かったようだ
なんせ目の前には大量の木の実。前の世界で言うマンゴーやキノコが沢山あったからだ
「な、なに?どうしたの?」
人形を抱いた幼女が薄汚れたタブンネを見て近づいてくる
見慣れない、汚れてボロボロ、更に肩を噛まれて怪我をしている生物など近づきたくも無い筈だが、それよりも可哀想だという想いが強い様だ
「フィィッ!」ドンッ
「きゃんっ!」
しかしタブンネはそれよりも生存欲が勝ったようだ。幼女を突き飛ばして大量の木の実に飛び付く
「ミヒャヒャヒャ!」
「ちょっと、お客様(?)!困ります!」
少女が言うがタブンネは聞く耳持たず。緑色の木の実を手に取り、かぶりつく。その時、
「止めろっつってんだろ!!」
「ミグァッ!」
少女の鮮やかな徒手空拳がタブンネの顔面を捉えます
勢い余ったタブンネはそのまま店の外に吹き飛ばされてしまう
「どうしたの!?」
「ひっく……お兄ちゃあん……」
そこに駆けつけた少年は変な格好をしていた
陽が照ってるのに長袖に真っ赤なマフラー。なのに短パン。しかも変な髪の毛に変なバンダナをしている
先程の少女達と何か話をしているが、今はそんな事はどうでも良かった
「ギギ…!ギィィ!」
噛まれた肩が日の光でボロボロと焦げていくからだ
しかもそこからどんどん焦げが広がっていく。身体中が焼けるように痛むのだ
「イモータル化が進んでるかも知れない…」
先程の少年が顔を覗き込んできている。訳の解らない事を口走る少年をタブンネは霞む目で見返す
「どうするんですか?」
「弱ってる今の内に浄化しよう。ヴァンパイアの棺しか無いけど」
浄化。タブンネに意味は解らないが、楽にしてくれるという解釈をしたようで、タブンネはありったけの笑顔を向ける
しかしそれは暗い箱の中に閉じ込められた事で届くことは無かった
日の光が遮られた事で体が焦げる事は無くなった。が、体が既に自分の物で無いことに気づかされる
タブンネは自分が嫌になって何回も暴れまわる。しかしこの箱が壊れる事も無ければ、自分が死ぬ事もない
やがてタブンネが暴れるのを止めた頃、
ギィィィ…
「ミ゛ッ……」
不意に箱の蓋が開かれる。辺りは真っ暗、日の無い場所。と安心したのもつかの間、
「太陽ォ!!」
辺りに響く少年の声。同時に流れ込む四本の光線。浄化の日の光、パイルドライバーの光だ
目標はタブンネだ
「ミガァァァアアアア!!!」
普通のタブンネならこうは成らなかっただろう
依りにもよってアンデット、しかも赤い生物、クリムゾンモンスターに噛みつかれたタブンネは相当イモータル化が進行していたのだ
タブンネが、銀よりもニンニクよりも好きだった日の光が苦手なイモータルにだ
「ム゛ガァァァァァァ!!」
成す術も無く焼けていくタブンネ。本来のイモータルは特殊な紫の靄で抵抗するのだが、タブンネにそんな芸当出来るわけもない
「ギギァァァギミアアアア!」
更に都合の悪い事に、今タブンネが入っている箱、もとい棺桶は、この浄化の光線を弱めてしまう効果を持っている
それはタブンネを長く苦しめる事に他ならない
抵抗も出来ず、泣き叫ぶ事も出来ない地獄の闘いは二十分にも及んだ
短く感じるかも知れないが、殴る蹴るなど断片的な痛みでなく、断続的な痛みを二十分と言えば相当な時間だ
遂にタブンネの体が焼けなくなる。日の光が当たっても平気だ
光線も放たれなくなり、真っ暗な辺りも明るさを取り戻した
だが、タブンネの意識はそこで消える
最後に視界に映ったのは、とても大好きだった大嫌いな太陽だった
一方その頃アサピー研究室
(-@∀@)「やった!成功だよトソン君!大成功さ!」
(゚、゚トソン「ハイハイおめでとう」
アサピーは歓喜に撃ち震えていた
あの憎きタブンネを一層出来る。もうタブンネの影に怯えながら研究しなくていいのだ
(゚、゚トソン「でも良く出来たよね本当に」
(-@∀@)「HAHAHA!これぞ科学の勝利!トソン君!次だ!」
(゚、゚トソン「はーい」
トソンが無造作にタブンネを連れてきて、無造作にカプセルに詰め込む。今度は三匹だ
「ミィィィ!(出せぇ!)」
「フィ!ミィン!(子供に合わせてよぉ!)」
「フミッミフフw(Go To 二次元w)」
(゚、゚トソン「準備完了です」
(-@∀@)「OKグッドラックタブンネ!HAHAHA!」ガチャリンコ
準備完了に合わせてアサピーがレバーを下ろす
機械がウネリを上げ、カプセル内のタブンネが粒子となり、
ブツンッ
(:::::)「何だ!何が起きたトソン君!」
(:::::::「停電みたいです。連続使用はまだ無理っぽいですね」
(:::::)「クソゥ!まだ改良が必要だな!やるぞトソン君!」
(::::::: (帰りたい…)
因みに二人はカプセル内の粒子がどうなったかまだ知らない
だが挫けてはならない!人類の未来の為!突き進めアサピー!突き進めトソン!
二人の勇気が世界を救うと信じて!
最終更新:2014年08月13日 13:00