ガラスで出来た家族の壁

仲良しカップルのタブンネさん。
お互いに「いやしのはどう」も覚えたし、もう大人の仲間入り。
幸せそうで何よりです。

ふたりのねぐらをみぃつけた。
すやすや眠る二人の間に2個のタマゴ発見。
僕がタマゴに手をのばしたらオスタブンネが起きて僕を威嚇(超かわいい)してき
たけれど僕の後ろにいるライコウの姿をみて怯えてお漏らししちゃってるね。
僕はタマゴと大人しくなったタブンネ2匹をつれて帰宅。

硝子の壁で仕切られた飼育小屋の片方にオスタブンネとタマゴ、
そしてもう片方の部屋にはメスタブンネとメタモンを住まわせたんだ。
硝子越しに夫と孵化したばかりの2匹のベビンネをみつめ泣くメスタブンネにメタモンと一緒にタマゴ作りを命じたよ。
いやがってるけどタマゴはボコボコうまれてきて、なんだか微笑ましいね。
ガラス越しのベビちゃんは本能でママがわかるみたいで、ガラスにへばりついて
「おちちほちぃよぅぅぅ」と泣いてるね。
セックスで忙しいママは自分を呼ぶ声に答えてあげられなくて悔し泣きしながらも、タマゴを産み続けててとってもエライよ^^

一日経つとママとメタモンの部屋には12個ものタマゴがあるよ。
お疲れさまのメタモンはボールに一旦戻してと…。
さてさてガラス越しの愛する夫とその子どもたちはママを求めてガラスをべしべしたたいてる。
けどそんなことで壊れるようなガラスじゃないよ、残念。
ママもガラスにへばりついて「ミィミィ」ないてる。
パパはちょっと複雑な評定してるね。そりゃそうか、メタモン扮するオスタブンネといちゃいちゃした挙げ句にタマゴまでうまれちゃったんだもんね。

お互いガラスにくっついたまま泣いていたけど事態が急変!
ママのお部屋に大量に転がったタマゴが続々孵化しはじめたよ。
愛する夫の子どもではないとはいえ、ママは産まれたばかりのベビちゃんたちにかけよりました。
ガラスの向こうにいる2匹のベビちゃんは必死になって叫びます。
「ママ!どうして?ボクたちにはおちちくれないのに!なんで!」と。
ガラスの向こうのベビちゃんに申し訳ないのでしょう、ママは夫とベビちゃんに背をむけて新たに産まれてきた12匹のベビちゃんたちにかわるがわるお乳を与えています。
皮肉な事に愛する夫との子どもには一度もお乳をあげていないのに、
メタモンとの間に産まれたベビちゃんたちは満足そうに「ミブ!」「ミボ!」とゲップをしています。

さてさてお昼ご飯の時間です。
パパと2匹のベビちゃんたちは人数が少ないからオレンの実を3つ、
ママと12匹のベビちゃんたちにはオボンの実を3つ支給しました。
と、いってもベビちゃんたちはたべられないけどね。
ママはオボンの実を1つ食べ終わると、体の小さい子や元気のない子4匹に先におっぱいをあげていました。
そして一息つくように2個目のオボンを食べ、また4匹のベビちゃんにおっぱいを。
最後の1個を食べて、体格のいい4匹の子たちにおっぱいをあげて御ちそうさまでした。
ママも12匹のベビちゃんたちもおなかいっぱいです。

一方パパたちのほうはというと…
当然ですがパパはおちちがだせません。
かといってベビちゃんたちは木の実を咀嚼できるわけもなく…
ちいちゃな脳みそをフル回転させたパパは手でオレンの実をつぶしてベビちゃんたちにたべさせようと必死です。
しかし体格だけは立派なタブンネですが、見かけ倒しのパワーしかありません。
手と手で木の実を挟んでみたり握ってみたりしますが、皮がぼろぼろになるだけ。
2匹のベビちゃんたちはパパとそしてガラス越しのママや幸せそうな父親ちがいの兄妹を見ては
「おなかすいたよぅ!!ぼくもママのおちちがほしいよう!!なんで…なんであの子たちだけ…ズルいよぅ!!」と泣きわめくばかり。
パパは仕方なく足で踏みつぶしてなんとかベビちゃんが食べられるおおきさにしましたが、グチャグチャになったオレンはまっ黒く汚れていました。
「ほら、ちゃんとたべなさい!」そういってパパは薄汚いオレンの欠片をベビちゃんたちのくちに入れると、ベビちゃんたちは
「ウェェ」と嘔吐きながらなんとか飲み込むのでした。

3日後

相変わらずパパと一緒にいる2匹のベビちゃんたちはパパが踏みつぶしたオレンの
欠片を食べていました。ときに床をペロペロなめたりすることも…。
一方ママと12匹のベビちゃんたちは美味しくて栄養満点な母乳を飲みすくすくと成長しています。
そんな中、12匹のベビちゃんの中のいたずらっこ数匹がなにやら悪巧みをはじめました。
いたずらっこグループはいつもこちらを羨ましそうに見つめるガラスにへばりついた兄弟たちの目の前までやってきました。
すると、いたずらっこの中でも一番背の低い子を他のいたずらっこ3匹で虐め始めたのです。
兄弟たちの目の前まで来たママは泣いてるベビちゃんを抱き上げると頭を撫で始めました。
それをみつめるガラスの向こうの兄弟達。
ぼくらだってママにそうしてほしい!そういわんばかりに「ミィ!!!ミィィ!!」と泣き始めました。
泣かれてもそのわがままに応えられないママ。
そして、ガラスにへばりついて泣く兄弟たちをみてあざ笑ういたずらっこたち。
ママに抱きかかえられたベビちゃんはわざと、
「ママ!少しでいいからおちちほしいよう!」と訴えると、
なんということでしょう!
兄弟達の目の前でママはおっぱいをあげはじめたのです。
パパや2匹の子ども達に対するうしろめたい気持ちがあり、ここ数日はガラスのそばにさえこなかったママが今、目の前でおっぱいを与えている。
欲しいと泣き叫んでも自分たちは1滴さえのめないのに、ガラスの向こうの子ども達はちょっと甘えたらすぐにもらえるなんて………。
ガラスの向こうの兄弟達は泣き続けました。
独り占めできる父親より、大勢の中の1匹でもいいから母親がほしかったと。
そしてそれからというもの、この2匹はガラスに近寄る事はありませんでした。

5日目

部屋の隅っこでパパの背中に隠れて暮らすようになった兄弟達に異変が起きました。
母乳で育った12匹のベビちゃんたちはすっかり「子タブンネ」の大きさになり、歯もはえはじめたというのに、2匹の兄弟はまだベビンネの大きさのまま。
歯もはえません。
それどころか、オレンの実のかけらしかたべていないせいか、泣いたり動き回ることさえなくなりました。
うつろな目で、唯一頼れるパパに背中を撫でてもらったり、抱っこしてもらっていましたが、弟の方が朝から痙攣したままなのです。
パパは「しっかりしろぉぉぉぉぉ!!」とさけびながら踏みつぶしたオレンを口の中にいれますが飲み込もうとしません。
元気のないお兄ちゃんも、弟がぐったりしているのが心配でよろよろしながらも立ち上がり懸命に弟の頭を撫でていました。

ガラスの向こうの夫と子どもたちから目を背けていたママも、異変に気付き、ガラスの前まで近寄り「ミィィ!!ミィィ!!」と泣き始めたではないですか。
子どもが死にそうになったらとたんに母親ヅラするなんて、いけないママだね^^
しかし時既に遅し。
弟タブンネはパパの腕のなかで息を引き取りました。
一度もママのおっぱいを飲むことも、抱っこさえしてもらえなかった弟タブンネ。
パパタブンネはせめて最期の姿をママにみせてあげようと、ガラスのそばまで死んだタブンネをつれていきました。
「ママ、最期にこのこの顔をみてやってくれ」と。
ガラスに手を張り付けミィミィ泣き崩れるママタブンネ。
そして…その様子がおもしろくない12匹の子タブンネたちは、「ぼくたちのママをとるな!」と言うように一斉に喧嘩したりお腹がすいたと泣いたり、わざと寝床におしっこしたりと暴れだしました。
死んだ坊やの顔をほんの少しみただけでママはまた、ガラスから離れたほうへいってしまいました。

7日目
ママタブンネと12匹子タブンネとても健康的で毛並みも良く、とても元気。
一方のパパタブンネたちはボサボサの毛並みとゲッソリ(といっても太った見た目にはかわりないが)したパパと相変わらず体の小さいおにいちゃん、そして、大事な弟の亡骸からはほんのり腐敗臭が漂っていました。
時折ガラスの向こうのいたずらっこな子タブンネたちは、「くせぇぇよ!くさくてねむれないだろ!」とミィミィ騒いでガラスを叩いたりしています。
そんなときはママタブンネがすかさず止めに…入るのかと思い気や、もう、ガラス越しの家族を見たくないのでしょう肝心な母親は部屋の隅っこで弱々しく泣いてみせるだけでした。
そんなとき12匹の子タブンネの中で最初に産まれたお姉ちゃんタブンネ2匹はママを気遣い、いたずらっこたちを静止させています。
いい子いい子^^

ママ側にいる12匹の子タブンネはこのままいけばどんどん大きくなるでしょう。
それでは小屋がせまいままです。
一方パパたちのいる側は存分に空きスペースがあるではないですか!
僕は部屋のバランスをとるのにいいことをおもいつきました。
そうです、ママ側にいる子タブンネを何匹かパパ側のお部屋に移してあげようと考えました。
それも…
いたずらっ子ではなく、極めて心優しいいつもママを助け、弟や妹の面倒をみているお姉ちゃんタブンネ2匹と、
まだママのおっぱいを欲しがるちいちゃな弟と妹タブンネの4匹を。
さっそくご飯の時間のときにオボンをもっていくついでに、ポイポイッとおねえちゃん×2と末弟・末妹をケージにいれました。
ママタブンネは「子どもをかえして!!!!」といわんばかりに激しく泣き、僕に突進しようとしたのですかさず触角を掴んで意地悪くママにこう伝えてやりました。
「子どもを大事にするのは母親として立派だけど、キミはガラス越しの愛する家族を見殺しにして、
挙げ句パパじゃないひとの子どもの面倒だけを必死でみてるね。
もうじきあっちの坊やも死んじゃいそうだよ、でも君は声をかけてあげることさえしてない!それどころかここ数日は向こうの家族を無視してる。
そんな育児放棄したキミが子どもを守る資格あるのかな?」と。
するとママタブンネは撃ちひしがれるようにミィミィ泣きそれでも
「オボンいらないから子どもだけはかえして!」というようにおずおずオボンを差し出してきたのでニッコリ笑ってオボンを踏みつけ、
「いらないよ」と言って部屋を出ました。

(パパタブンネ、ママタブンネをパパンネ、ママンネ表記に変えました)

姉タブ×2と末弟・末妹をいれたケージを抱え僕はパパンネ部屋へ入ると、かなり濃厚になった弟クンの腐敗臭にケージの子タブンネたちはピーピー騒ぎだした。
僕はパパンネにいつも通りオレン3個を渡し、
ケージの中の子タブンネを解放してやると、ケージからでた4匹はブルブル震え泣きながらガラスをベシベシ叩きママンネを呼んでいた。
姉タブ2匹もさすがに突然の出来事に泣いている。ガラスの向こうのママンネと兄弟たちもガラスにへばりつき『おねぇちゃん!おねぇちゃん!』と言う感じで泣きだしていた。
おーおー、散々ガラスの向こうの家族なんかお構い無しだったくせに。
愛する(愛してた?)夫とその子より、自分でおっぱいあげて育てた子のほうが大事なんだな。
でも、ママンネがつけたその優先順位にパパンネはちゃんと気づいてるよ。
そしてそれがママンネちゃんの愛する子タブンネちゃんたちの命に関わってること、ママンネちゃん判ってなくてわくわくするね。

パパンネは慣れたようにオレンを潰し元気のないお兄ちゃんタブンネに与えた。
残ったオレンは余すことなく、パパンネの胃袋へ。
散々ママンネのおっぱいを吸いつくしたオマエらにオレンなんかあげるもんかというようにペロリと平らげた。

ママと離ればなれになった挙げ句、今日はまだ何も口にしていない4匹の子タブンネたち。
あたりを見回しても食べ物はない。
あるのは、パパンネが潰した際に床に付着したオレンの果汁のみだった。
姉タブ2匹は妹と弟に見本をみせるように床を舐めてみせた。
が、しかし、普段ママンネのおいしーいお乳を飲んでいた妹と弟はひとなめしてぺっぺっと吐き出してしまっていた。
そんな贅沢ぶりをみたパパンネはより一層、『オマエらに木の実は絶対にやるもんか』と決意したのだった。

妹タブンネと弟タブンネは空腹と寂しさで1日中、ガラス戸を叩きながらミィミィ泣きつづけている。
『ママァ、おなかすいたよぅ!』
『くさいよぅ、おなかすいて眠れないよう』
『ママァだっこして!お乳ちょうだいよぅ』
姉タブ2匹は涙ぐみながらも弟たちをよしよししながらなだめていたが、ついにパパンネの怒りが頂点に達したのだった。

パパンネは泣きわめく弟タブンネの尻尾を乱暴にひっつかむとママンネが張り付いているガラス戸目掛けて思いっきり叩きつけるように投げ放った。
同様にして妹タブンネのほうも片方の触角を掴みママンネにぶつけるように投げつけた。
あまりの衝撃に倒れたままの弟タブンネの上に勢いよく妹タブンネがドサッと折り重なるように落下。
下敷きになった弟タブンネは今まで甲高い声で泣いていたのが嘘のようなうめき声を上げ痙攣し静かになった。
パパンネの怒りはこんなんでは済まない。
『今まで、今まで散々いい思いをしてきたくせに…』パパンネは横たわる2匹にこれでもか!というような渾身の蹴りをいれる。
『うちの子はお乳を飲むことも甘えることも出来ずに死んでいったんだぞ!オマエらがいなければ…』
『うちの子から母親を奪ったんだ、幸せな時間があっただけ有り難く思え!』
そういって弟タブンネたちを踏みつけようとした瞬間、姉タブ2匹が
『やめて!』と叫びながら弟タブンネたちをかばうようにたちはだかった。
姉タブ2匹の勇敢な姿に、顔を覆ってオロオロしていたガラス越しのママンネは、ハッとして
『この子達はなにも悪くないの!あなたやめて!後生です!!』
と泣きながらペコペコしていた。
そんな行為、怒り狂ったパパンネには火に油を注ぐようなもんなのになぁ。

ママンネの訴えにパパンネは怒りを露にした。
『どこの輩か知らんやつとオレの前でこれみよがしに作ったガキがそんな大事か?オレの大事な息子を見殺しにしたくせにコイツらはかばうのか?』
そう吐き捨てると、弟タブンネたちを庇いながらも恐怖で足をプルプル震わせている姉タブ2匹をギロっと睨み付けた。
ママンネは、
『そんな、私だってつらいの!苦しいの!坊やを抱っこしてあげたかったし、お乳もあげたかったのよ?
だけど、だけど、この壁が邪魔してできなかったの…』
そう叫びながら訴えたが、パパンネの心にはなにひとつ響かない。

『坊やたちがおまえを必死に呼んでもこっちを向かなかったな?』
そのパパンネの問いかけにママンネの全身がぴくんっとなった。
『そのくせ、名も知らないヤツとの間にできたガキ共に嬉しそうにおっぱいをあげてたなぁ。』
ママンネは首を横に振るものの反論する言葉がでないようだ。

『そうだ、オレの坊やはコイツらのことどう思ってるのか、きいてみようか』
そう言って弟の亡骸の横に座り、やりとりを見つめていた兄タブンネをパパンネはママンネの目の前まで連れていった。
ママンネとこんなに近寄るなんてだいぶ久しぶりだろう。
なんせ、あんなに呼んだって振り向いてくれなかったのだから。
ママンネはにっこり微笑み兄タブンネを見つめガラス越しに頭を撫でるような仕草をした。
パパンネは兄タブンネに向かって
『この子たちのこと、どう思う?仲良くしたいか?』と聞いた。
兄タブンネはママンネのほうを見てゆっくり答えた。
『ママも、この子達もだいっきらい。パパ、早くやっつけて。僕の大事な弟を殺したやつ地獄に堕ちちゃえばいいんだよ。』
そう言い放つと、弟の亡骸のある方へヨロヨロと歩いていった。
ママンネは
『坊や!私の坊や!!考えなおしてちょうだい!ママ、いっぱいあやまるから、おねがいよ!!』
と泣き叫ぶが、パパンネは、
『そういうことだ、わかったな』と言って笑いながら子タブンネたちを部屋の隅っこに追い詰めた。

パパンネが4匹の子タブンネを部屋の隅に追いやると、ガラス越しのママンネも『パパ、やめて!』と泣きながらついていった。
ママンネのお願いなんてハナからパパンネの耳には届いていない。
パパンネは4匹を順番にじっくり見つめる。
投げ飛ばされ、ガラスに強打した挙げ句、妹の下敷きになった弟タブンネ。
こいつはすでに『…フィィ…ヒュフィィ…』と喘息のような音を喉から鳴らしていた。
その隣にいる妹はガラスに強打したもののすぐ上の兄が下敷きになってくれたおかげで、ベソをかきながらもまだまだ瀕死ではない様子だった。
ただ、パパンネが投げる際にひっぱった触覚が傷ついたのがショックなようで、
『…ママァァー!お耳がよく聞こえないの!ママァァーあぁーん…おねぇちゃぁぁん…ああぁん』と馬鹿みたく騒いでいる。
姉タブ2匹は弟と妹を守るため、頑張ってパパンネを威嚇していた。

パパンネは死にそうな弟タブンネと、独りになったらなにもできずすぐに死ぬのが明確な妹タブンネはひとまず放置し、勇敢な姉タブ2匹の始末に取りかかった。
このパパンネ、俺も気付かなかったが実はトレーナーに捨てられたタブンネなようで、なんて火炎放射が撃てるようだ。
わざとガラス越しのママンネやにっくきガキ共にみせつけるように、天井に向けてデモンストレーションをしてみせた。

弟の亡骸の横でパパンネを見つめる兄タブンネに向かって、
『おまえもできるんだぞ!アイツらできないけど、おまえはちゃんと覚えてる。すごいだろう!』
と、得意げにパパンネが話すと、元気のなかった兄タブンネの目に光が宿った。
ガラス越しのママンネは
『そんなの卑怯よ!!!』と絶叫しながら泣き崩れた。

パパンネはママンネを一瞥すると、弟たちを守ろうと必死な、一番上の姉ダブを両手でガッチリつかんだ。
手の中で恐怖に震えて失禁する姉タブをみてニヤニヤするパパンネ。
姉タブをゴミを扱うようにゴロっと部屋の真ん中に放り投げると姉タブは先ほどのパパンネの火炎放射を恐れて逃げようとした。
するとパパンネは、
『逃げたらこいつらは丸焦げになるぞ!』と怒鳴ると姉タブはハッとしたように弟たちを思いぴたっと足を止めた。
勇敢で、兄弟思いのやさしい姉タブ。
あの馬鹿親から生まれたとは思えないが、頼りない親のおかげでしっかりしたのか?
パパンネは、目を瞑り頭を抱えた姉タブに狙いを定め火炎放射をする構えをとった…そのとき!
パパンネの背後にいたもう片方の姉タブが、パパンネの背中をぺちぺち叩いていた。
俺は一瞬ふざけてるのかと思ったが、どうやら姉タブ唯一の攻撃技「はたく」をしたようだ。
パパンネの注意をこちらに向けて姉タブを守ろうとしたらしい。
呆れるほどの兄弟愛だが、肩たたきのような技でパパンネを倒そうとしてるとは。タブンネというポケモンはなんて浅はかでバカなんだろう。
ガラス越しのいたずらっ子兄弟やママンネたちなんか、『おねえちゃんがんばれ!』というアホみたいな応援をしていて笑いが込み上げてきた。
俺は爆笑するのを必死で抑え観察を続けた。
パパンネはいったん背後に向き直し、おねえちゃんを守ろうとした姉タブを見つめる。
なまいきな姉タブををひっつかみ先ほどの姉タブ同様、部屋の真ん中に放り投げた。
部屋のすみに取り残された弟タブンネと妹タブンネ。パパンネは邪魔が入らないうちに弟タブンネと妹タブンネ2匹まとめて火炎放射を放った。
最終更新:2014年08月13日 13:01