「生まれて来ないでぇぇぇぇ!」
目の前のタマゴにヒビが入るたび、わたしは出ない声でそう叫ぶ
人間に捕まって手足を切り落とされ、声帯を潰され、それからは無理やりタマゴを生まされる毎日
タマゴから生まれたあかちゃんはおかあさんを、わたしを求めてミィミィ泣きます
でも、私はあかちゃんたちに何もしてあげる事ができません
生まれたあかちゃんは人間がやってきて、どこかへ連れていってしまいます
そしてどこからか聞こえてくる剃刀の音、熱い油が弾ける音、そしてあかちゃんの悲鳴
あかちゃんは命が尽きるまでおかあさん、おかあさん、と泣き続けます
そのたびに無力さと、切なさと、悲しみで胸が張り裂けそうになります
たのしいことも、うれしいことも知らずに、私のあかちゃんは殺されていくのです
苦しみだけの世界に出てくるよりも、一生平和なタマゴの中で、眠っていて欲しいと願うのです
~揚げタブンネ屋さんの食材生産用タブンネ6号の心の声~
最終更新:2014年08月15日 13:22