ベルトコンベアにに載せられたタブンネが運ばれてくる。ここはポケモンフーズ製造工場、
とはいっても全国向けのちゃんとしたものではなく、自家用と地元のためにやっているこじんまりとした工場だ。
フーズの原料はタブンネ、非常に美味で栄養価も高い、さらに量に対して仕入れ値も安いため我々にとって願ったり叶ったりのポケモンである。
しかしそれだけでは経営は成り立たない、だから私の工場はひとつだけ他とは違うところがある。それは原材料費がタダ同然のところである。
何故そういう事が出来るかというと、ここが大型ポケモンセンターに隣接して建っているおかげに違いない。休日である今日もまた誕生日仕様の特別なタブンネと聞いて、
期待に胸をふくらませてポケモンセンターへ行ったものの、いざ貰ってみるとただリボンが付いて、プレシャスボールに入っているだけと知って落胆した子供たちが、
帰る途中に「タブンネ引き取ります」という看板につられ立ち寄ってくる。どの子供たちも大切な休日を潰された怒りと、
合法的にこのピンク豚を処分出来る喜びの入り交じった顔をしている。一方肝心のタブンネは、甘やかされ育ったのだろうか、引き取りの手続きをしている間も我関せずとばかり耳のリボンをいじったり、
新しい主人になるはずだった子供に「ミッミッ♪」と鳴いてはエサをねだっている。手続きが終わると私はポケモンフーズを子供たちに渡し、タブンネを引き取る。
ポケモンフーズをもらった子供たちは先程の複雑な顔から一転笑顔になり「また来るよ」といって帰っていく、良かった良かった。
子供たちが帰ろうとすると、大抵のタブンネは自分を忘れていると思い
「ミィィーーーーー!!!」とけたたましい声をあげながら追いかけようとする。
そんな時は急所の耳か触覚引っ張る、しっぽを踏んづける等をすれば、戦うことを知らないタブンネはすぐに黙る。
この時の青い瞳から涙を流して、遠ざかっていく子供の背中をじっと見ているタブンネの顔は何度見ても飽きない。
「ミギャッ!ミィミィミィ!!」
暴れるタブンネを紐でくくって運んでいくと大きな部屋の前につく、扉を開けるとそこにはベルトコンベアに固定され、
次々と巨大なミキサーへと運ばれるタブンネたちで埋め尽くされている。どれもこの新入りと同じ経緯をたどったバースデータブンネたちだ。
「ミヤアァァァァァ!!」キュイイイィィィィン!!
「ミピャアアァァァ!!」キュイイイィィィィン!!
「ミィ!?ミギャアアアァァァ!!」
どんどんフーズになっていく先輩たちを見て、タブンネが慌てて逃げ出そうとするので、すぐさま紐を引っ張り、
さらにかわいいお耳を鷲掴みにして機械への方へと引きずる。
「ミャアアア!!ミビャアアア!!」バタバタ
いくら暴れても所詮バースデー用に育てられたタブンネ、弱いとされる野生産よりもまた一段と弱い。
ガチャン!
「ミィィィィィィイイイ!!」
そんなこんなでベルトコンベアに載せられたタブンネは、まず汚い内臓を切り取られ、さらに無用な尻尾を抜き取られる。
そして晴れて原料となったタブンネは骨ごと砕くミキサーへとゆっくり運ばれる。この時タブンネたちは最後の生きている実感を味わうのである。
ミキサーへと入る瞬間の反応は二通りあって、ひとつはすべてを諦め無言でフーズになる者、もうひとつは最後の最後まで無駄な抵抗をするものである。
この新入りは後者のようだ。
「ミィミィミィミィ!!!」
必死に「ママーー!!」とでも叫んでいるのだろう。しかしママンネは今頃隣で新しいフーズの材料を作っていると思うぞ。
「ミィィィィィィ!!」キュイイイィィィィイイン!!
「ミビャアアアアアアアアアアァァァァ・・・・・・・・」
叫び声が途絶えると、機械の出口からピンクのペーストが出てくる。このあともやるべき行程は沢山あるが今回は省く。
もう死んでしまったからつまらないだろうから
ここまでダラダラ書いて結局何が言いたいかというと、要するに君のバースデータブンネを私にくれということさ。
おわり
最終更新:2014年08月25日 01:32