「ふきゅぅぅぅぅぅぅぅん!」
この鳴き声が聞こえると餌を探していた子を持つタブンネ達は慌てて巣へと戻ります
とある森の奥深く。人間がめったに立ち寄らないこの場所ではタブンネは安心して暮らせてるかというとそうではなく、
ある意外なポケモンがタブンネの敵として存在しています
「ミィーーーーーーーーー!!!!」
巣に戻った一匹のタブンネが悲鳴を上げました。巣の中の赤ちゃんタブンネが落ち葉のベットがバラバラに壊されていたからです
「ふきゅふきゅうw」「チィ!チィチィ!」
今度は外から笑うような鳴き声が、恐怖に震え、必死にママを呼ぶ赤ちゃんタブンネの声も一緒です
ママタブンネが慌てて外に出てみると、そこにはベビンネちゃんを背中の綿毛部分に突き刺したエルフーンが2匹いました
ベビンネちゃんは手足が綿毛に絡まってしまい逃げる事ができません
タブンネが両膝をつき両手を合わせて「返して」と懇願してもエルフーンはぴょんぴょん跳ねながらあかんべーをするだけです
「ミィィ!」
業を煮やしたママタブンネは声を荒げながらエルフーンに突進します。
しかしエルフーンは綿毛をモコモコと巨大に膨らませ、身体を覆い隠しました
「ミフワッ!」
タブンネはそのまま綿毛にめり込んでしまい、ボヨンと跳ね返されて尻もちをついてしまいます
なけなしの突進の威力は柔らかい綿毛に吸収されてしまいほとんどダメージを与えられる事ができません
「ウミィーーーーー!!!!!!!」
しかしタブンネは諦めません。今度は身を捨てる覚悟を決め、凄い勢いでエルフーンに突進をしていきました
そしてタブンネのタックルはエルフーンに直撃。エルフーンはそのまま吹き飛ばされて木にドカンと激突します
「ふきゅwwwwふきゅきゅきゅwww」
「ミィ??!」
しかしエルフーンはいつの間にかタブンネの後ろに居て、タブンネを指さしてケラケラと笑っています
エルフーンは綿毛の一部を切り離し、それを身代わりにしてタックルをかわしたのです
「ミィ?・・・・・」
困惑したタブンネがふと足元の毛玉に目をやると、なぜか毛玉がじわじわと赤く染まっていくではありませんか
悪い予感が頭をよぎり、顔がみるみる青ざめて行きます
そしてタブンネはその毛玉をもしゃもしゃとほぐしていき、どうか間違いであってくれと願いながら中身を確かめます
しかし毛玉の中から出てきたのは
胴体が不自然な方向に折れ曲がり、腹が破けて内臓が飛び出している赤ちゃんタブンネでした
「ミィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「ふっきゅwwwwwwふきゅううwwwwwwww」
ママタブンネの慟哭とエルフーンの笑い声が静かな森に響きます
自らの手でグチャグチャになってしまったわが子を腕を血に染めながら抱きかかえ号泣するママタブンネ
エルフーンはそれを見て腹を抱えて転げまわりながら大笑いしています。
なぜこんな酷い事をするのでしょうか?
実はこの森でのタブンネの繁殖期は「エルフーンのイタズラ大会」の時期でもあるのです
タブンネ達はほんの100年ほど前にこの森にやってきて住み着きました
木の実がたくさん成っているうえに肉食ポケモンがほとんどいないこの森はタブンネにとっては楽園のようなもの
自由に繁殖してその数をどんどん増やしていきました。
しかし一つだけ困った事があります。元来森に住み着いていたエルフーンによるイタズラです
もともとは巣にとっておいた木の実を隠す、寝てる間につがいの
タブンネの触角を電車結びにするなどという軽いものでしたが
感受性が豊かなタブンネはとても良いリアクションをするのでエルフーン達はタブンネへのイタズラに夢中になっていきます
そしていつしかエルフーン達の間でタブンネに良いリアクションをさせるのを競うようになり
それによってイタズラはどんどんエスカレートしていき、時には命を奪いかねないシャレにならないものへと変わっていきました
イタズラの切磋琢磨の結果エルフーン達は親タブンネの前で子供にイタズラをすると特に良いリアクションをする事に気づき、
その結果子を持つ親タブンネは集中的に狙われるようになりました
生まれてすぐに子供たちを風に乗って旅立たせる、エルフーンの目にはタブンネの「親子愛」というものが滑稽なものに写ったのでしょう
タブンネにとってエルフーンは神出鬼没の防ぎようのない相手。
鳴き声を聞いた時には既に遅く、気付いた時には子タブンネに取り返しのつかないイタズラをされているのでした
さて、今季の大会はどうなったのでしょうか、長老エルフーンたちによる審査結果はこうなったようです
3位 母タブンネの乳首にそれぞれ宿り木の種を植え付け、赤ちゃんタブンネに授乳できなくして餓死させたエルフーンさん
赤ちゃんタブンネの死後母タブンネが怒り狂って胸に生えた宿り木を力任せに引っこ抜き、
血を撒き散らしながら発狂ダンスをさせたのが評価されました
2位 生まれたての赤ちゃんタブンネになやみのタネを飲ませ、眠る事ができなくしたエルフーンさん
赤ちゃんタブンネは死ぬほど眠いのに眠る事が出来ずに一日中泣き続け
あやしてもあやしても泣きやまないので両親タブンネはとうとう気が狂って両耳と触角を自分で引き千切り、
頭を木に叩きつけて自殺してしまったのがウケたようです
ちなみに赤ちゃんタブンネはその後3日と持たず衰弱死しました
1位 なんと、1番最初に紹介したあのエルフーンでした
罪悪感からかベビンネの死を認められず、
内臓が飛び出した死体を抱っこしながら子守唄を歌う姿が最高に笑えると絶賛されました
深い森の中のタブンネとエルフーンの不思議な関係、次はどんなイタズラとリアクションで私たちを楽しませてくれるのでしょうか?
おしまい
最終更新:2014年09月29日 18:03