シュバルゴ

ここはホドモエシティ、イッシュの市場と呼ばれるほど色々な商品がここに流通される
一応ここの商人である俺は今ある事柄について悩んでいる
それはこの付近にタブンネが出没するようになったのだ
食欲旺盛で繁殖力が高く高慢ちきなタブンネは一般的に害獣と呼ばれているのだが
困ったことにそのタブンネが市場の食い物を食い荒らして回っているのだ
これにはほかの商人達もほとほと困り果てている
そして俺は今その打開策を考えているのだが‥‥
と広場のベンチに座りながら考えていると目の前にボロボロの子供達が現れた
3人ともけがをしてボロボロだ、虐めかと思ったがどうやらそのようでもない
よくよく見るとそのうちの一人が隣の家の息子さんだった、さすがに無視するのも後味が悪いので俺はモンスターボールからエルレイドを出して話しかけた
エルレイドは子供達を見た瞬間近寄りいやしの波動をかける、なにも言わずに働いてくれる気が効くやつだ
俺はエルレイドに続き子供達に話しかける、隣の家の息子さんは俺に気づくと涙を堪えながら事情を説明してくれた
どうにも遠くの方に遊びに行ったらタブンネに襲われてお菓子を取られたらしい
危ないから遠くへは行くなって言われてるはずなんだけどやっぱり行きたくなるもんなんだよな
エルレイドは怪我の治療終えほほ笑みながら子供たちの頭をポンポンと軽くなでてやっている
先ほど泣いてたのはどこへやら、みんな笑顔でエルレイドと遊んでいる
きっとこの地方では見かけないエルレイドが珍しいんだろう
俺は市場で商人達に事情を説明し、子供たちにお菓子を買ってやる
そしてエルレイドとサーナイトに子供達の送り迎えをさせた
子供たちの笑顔が戻ったようでなによりだ

商人たちは皆我慢の限界と言ったところだ、中には自分の子供を怪我させられた人もいるし、まぁ当然と言えば当然か
全員モンスタボールを手に取り、タブンネの集落の方へ向かった
そして6番道路、タブンネの集落付近に付くと4匹のタブンネ達がクッチャクッチャとさっき奪ったであろうお菓子を貪っていた
それを見た商人の一人がモンスターボールからエンブオーを取り出す
実はこの商人はさっき怪我させられた子供の一人の親なのだ、我慢できないのも無理はない
エンブオーはタブンネの一匹を掴みあげそして木につけた後思いっきり殴りつけた
ばかぢからだ、タブンネは「ミブェッ!?」と驚いて、さっき食べたお菓子を吐きだす
それを見たタブンネ達は一斉に逃げだした、しかし所詮タブンネ、どれだけ必死に逃げてもその短い脚では大した速度も出ない
全員キリキザンの電磁波で麻痺させられたところを捕まえられた
背丈から考えてまだ比較的幼い子タブンネのようだ
さっき馬鹿力をされたタブンネはもう一発撃たれて腹に穴があいてる状態だ
残り3匹に俺は黒い鉄球をつけて近くの川に落とした
タブンネ達はもがもがと必死でもがいてる、鎖の長さは溺れるか溺れないかのギリギリで調整してあるのだ
どうせ助からないのに必死でもがいてる様を見ると幾分かスッキリしたのかみんな冷静さを取り戻してくれたようだ
タブンネの集落を落とすにしても数は膨大だ、やはり入念な作戦は必要だと俺は全員に言う
商人達は皆ゆっくりと、そして大きくうなずいてくれた
俺は一息ついて考えた作戦を話し始めた
まずはこうだ、俺とシュバルゴが先陣を切って集落に入り、相手を威嚇、拡散する
そしてほかの人たちはそれぞれ捕獲、場合によっては殺害と言ったところだ
どうして生かすのか、と聞かれたがタブンネだって売れば金になる、やはり利益はほしいと説明するとそれぞれ納得してくれたようだ
そして全員集落に向き合い、入り込む
後で短く子タブンネ達の叫び声が聞こえた気がした

タブンネの集落は一言で言うなら臭かった
屎尿をそこらに放置し、悪臭が漂っている、こんなところでよく過ごせるな
糞豚と言われるだけはある、ほんとにロクなことをしない害獣共だ
俺はシュバルゴと共に集落の中心にたつ、タブンネ達はどよめき、ざわついている
奥の方から普通より数倍肥えたタブンネが偉そうにオボンを食いながら出てくる
その瞬間タブンネ達から歓声が上がった、こいつは群れで一番強い奴なんだろう
ミッミッミッミッと叫び声が非常にうるさくて癇に障る
こいつらには未来永劫地獄を味わってほしいレベルだ
まずはタブンネがかえんほうしゃで攻撃してきた
どうやらこいつは元手持ちポケだったようだ、野生で覚えてるはずないしな
シュバルゴはそれを受け止める、4倍ダメージを喰らったくせにピンピンしてやがる、頼もしい奴だ
シュバルゴは剣の舞をし、その攻撃力を高めている
何もしてこないとわかったのかタブンネは再びかえんほうしゃをしてきた、さすがに2発目は厳しかっただろうがそれも終わりだ
このシュバルゴ、実はむしのしらせなのだ、体力はあまり残ってはいないがその分破壊力は増している
シュバルゴは槍で黄緑色の宝石を砕く、その手の周りには黄緑色のオーラが漂っていた
その異様さに気付いたタブンネは逃げ出そうとしたが遅い

「シュバルゴ、メガホーンだ!!!」

俺がそう叫ぶとシュバルゴはその巨大な槍のような手でタブンネを貫いた
「ビャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」とタブンネが叫ぶ
どてっぱらを貫かれてビクビクッと少し痙攣し、弱々しく息をする
そいつを上に持ち上げて勝ち誇った顔をするシュバルゴ、流石だやっぱり頼りになる
それを見た集落中のタブンネ達は逃げだそうとするがそうは問屋が卸さない
それぞれ隠れていた商人達が一斉にポケモンを取り出しタブンネ達に襲いかかった
俺はシュバルゴに回復の傷薬を塗ってから、さっきタブンネがでてきた穴の中に入る
その中にはボリボリと腹を掻いてグースカと寝てる母タブンネと4匹の子タブンネが居た
きっとさっきのタブンネの妻子だろう、ここまで近づいて気がつかないとか危機管理ができてないというかなんというか‥‥
母タブンネも子タブンネも全く気付いていない、どうにかしようにもシュバルゴの片腕にはさっきのタブンネが刺さったままだ
「ミッ‥‥ヒッ‥‥」とこちらに弱々しく手を出すタブンネ、どうやら「家族には手を出すな」とでも言ってるつもりなのだろう
俺は手頃な子タブンネを一匹掴む、そして皮膚に切れ目を入れて思いっきり皮を剥いだ
「ミビャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」とその穴に子タブンネの絶叫が響き渡る
何が起こったかわかってない子タブンネはビクンビクンと痙攣し過呼吸状態になっている
俺はこれ以上苦しめるのも悪いと思いそのタブンネを地面に捨てて頭をつぶした
数回痙攣した後に死亡、父タブンネは涙を流しその子タブンネの亡骸を見つめていた
母タブンネと残りは何が起こってるのか理解が追い付いていないようだ、ただ子タブンネの死骸と父タブンネの状態を見て危ない状況だということは理解できているらしい
目に涙をためてこちらを見てくる母タブンネ、そして母に縋りつく子タブンネ
「どうしてこんなことするの?」とでも言いたげな目だ、非常に腹が立つ
俺はシュバルゴに父タブンネの体を放り投げるように命令する
シュバルゴは手を大きくふり母タブンネ達の目の前に父タブンネを放り投げた
風穴からは血がとめどなくあふれ出ている、母タブンネはそれを見ていやしのはどうを開始した
その隙にシュバルゴは三匹並んでいる子タブンネを突いた!
三匹とも貫きそれを持ち上げるシュバルゴ、だんご三○弟みたいだな、まぁあそこまで穏やかな状況じゃないけど
さすがに体力のない子タブンネにはオーバーキルすぎたのか死んでしまったようだ、無念無念
「ミィヤァアアアアアアアアア!!」と泣き崩れる母タブンネ、楽にしてやってもいいだろう
シュバルゴと目で合図する、そして泣き崩れている母タブンネの頭にその腕を突き刺した
わけのわからない何をしゃべっているかわからない鳴き声をあげて狂う母タブンネ
シュバルゴが腕を外すと母タブンネはその場に崩れ落ちた
これで一家壊滅、ざまぁみろだ

俺が外に出てみるとそこには多くのタブンネの死骸と捕まえられた数匹のタブンネが居た
商人とそのポケモン達はバツが悪そうに見やっている
まぁ‥‥‥仕方ないよね
俺たちはその集落に火を付けた
何匹か生きているのが居たらしく燃え盛る集落の中で叫び声が聞こえたがまぁ気の所為だろう
そして鎮火する、余談ではあるがシュバルゴはその間俺の後に隠れていた
やっぱり火は苦手なんだな、さっきは無茶させてごめんよ

それから数日がたった、市場は元通りの活気を見せてにぎわっている
あれから糞豚が現れることもなく至って平和そのものだ
まぁ‥‥さすがに盗られ過ぎて今月は厳しいのか結構みんなせわしなく働いているようだが
ちなみに俺のところの商品はひとつも盗られていない
そして俺の店は「よくポケモンに嫌われる」と専ら評判だ
みんなもホドモエに来た時には是非市場に寄ってみてくれ
そしてこのクソ苦い漢方薬を是非買ってくれ
最終更新:2014年09月29日 18:04