ここは18番道路、一番道路の脇の水道を渡ったところにある
俺はここでとある研究をしていた
それは最強のポケットモンスターを作ること
ロケット団が開発したミュウツー、それに対抗するべく生み出されたプラズマ団のゲノセクト
それらを凌駕する神域のポケモンを作りだすために私は日夜研究しているというわけだ
しかし道のりは長い、力を作れてもそれを制御する心が作れない
心を作ってもそれが力に飲み込まれる、厄介なものだ
さて、そうこうしている間に試作機28号が完成した、こいつのテーマはずばり「音響兵器による攻撃」だ
最弱のポケモンタブンネをベースに造られたこいつはコストパフォーマンスにも優れ、威力も優秀なはずだ
そして何よりタブンネは感受性が他のポケモンより豊かなのだ
俺は28号を実験室に連れていき、モニタールームに急ぐ
出てきたのはごく一般的な母子タブンネだ、実はこの28号はこいつらの親なのだ
母子タブンネは強化ガラスのケースの中で異様な気配を放つ28号ビクビクと怯えている、きっと父親だということがわからないのだろう
強化ガラスの上からアームで子タブンネを一匹取り出す
"元"父親と対面した子タブンネだが、ガクガクと震えて全く気付く様子もない
一方で28号は全くと言っていいほど微動だにしない、まぁ命令していないからなんだがな
「28号!ハイパーボイスだ!」
マイク越しにそう叫ぶと28号は大きく口をあけそこから超巨大な音波を発射した
音波は周りのすべてを攻撃しつくす
強化ガラスがガクガクと震える、威力測定では威力300と出た
そして例の子タブンネは音波に吹き飛ばされて壁に張り付いている
苦しそうに息をしているが一際大きい音の波によって平らに潰された
肉片が飛び出ている息子の死骸を見て母タブンネは「ミィヤアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」と絶叫する
両腕で頭を掻き目の焦点はあっていない、きっと精神的に相当なダメージを受けたのだろう
しかしそんな事に構ってる暇はない、俺はもう一匹アームで子タブンネを捕まえようとする
だがそのアームを見た母タブンネが自分の後ろに子タブンネを隠し、アームで捕まえようとするのを邪魔する
無駄なことを、俺は手元にある
スイッチを押すとアームの間から鋭い針が発射される
その針は母タブンネのみすぼらしい腹に突き刺さる、その瞬間母タブンネはうずくまり動かなくなった
いわゆる麻痺針と言われるやつでこれを喰らうと痺れて動けなくなってしまうのだ
母タブンネが動けない隙に俺はアームで再び子タブンネを掴んだ
「ミィッ!ミィヤァッ!」と体をひねり抜け出そうとするが意味はない
このアームはとても強力でモルモットの餓鬼が抜け出せるような代物でもないからな
またしても"元"父親は自分の子タブンネを手にかけることになるのだが、もう少し何らかのアクションがほしいものだな
しかし28号は無表情だ、何を考えてるのか、何か考えてるのか皆目見当もつかない
まぁそのことについては今はおいとこう、今はまず実験だ
子タブンネは28号を見た瞬間腰を抜かしたのか這って逃げだそうとしている
しかし逃がすわけがない、28号は子タブンネをひっとらえてそして両方の耳の穴に手を当て、頭を固定する
「28号!シンクロノイズだ!」
手から巨大なサウンドが流れる、それを聞いている子タブンネは血の涙を流し始めた
この攻撃には音波による破壊は備わってないのだが‥‥あぁそうか
そういえばタブンネという種族は聴力に優れていると聴く、そんな種族に耳元で大音量のサウンドを流せば‥‥
まぁ、そうなるわな
ただひたすらサウンドを流し続ける、タブンネは血の涙を流しながら短く肩で呼吸し必死で耐えている
しかし我慢の限界だったのか断末魔の悲鳴をあげる、そのあと「ミ‥‥ミィ‥‥」と短く鳴き
そのあと一目で致死量だとわかるほど大量の吐血をし、息絶えた
28号は生命活動が停止したのを確認すると両手で子タブンネの頭をつぶし、そして通常の態勢に戻った
翻訳機を使ってみると最後は お父さん と言ったようだ
死に際に自分を殺した相手を思い死んでいくとは皮肉なものだな、実に楽しい
やはり実験とは愉しくないとな、愉しくないと長続きもしない
俺は再びアームで子タブンネを持ってくる
今回の実験は破壊光線による威力計算だ、やはり強力なポケモンに求められるのは圧倒的な火力だからな
ガチガチと歯を鳴らして失禁する子タブンネ、相当怯えているようだ
しかし安心しろ、今回は前の二匹のように遊んだりはしない
28号の中心部分から太く短い発射口が現れる
発射口は巨大な光の球体を作っている
「28号!破壊光線だ!」
そう言うと28号はその発射口から破壊光線を発射した
破壊光線は子タブンネに直撃する
そして数秒後、子タブンネは足だけを残し消滅した
威力係数は‥‥450か‥‥
28号はどうやら反動に耐えきれなかったらしく少しガタがきたようだ
まぁ試作機だから問題ないがな
再び俺はアームで子タブンネを摘みあげる
それを見て上空のアームに手を伸ばす泣いている母タブンネは実に滑稽だ
今度は洗脳実験、こういう実験に関してはタブンネはやりやすい部類に入る
28号はすぐに活動再開し、すでに準備万端だ
目の前の我が子を壊すことに何のためらいも持っていない
28号は子タブンネの触覚を両手でしっかりと掴む
「28号!超音波だ!」
俺がそう叫ぶと28号は再び手から音波を発生させた
タブンネの触覚を利用して直接音波を送っているらしい
送っている内容は‥‥「子タブンネちゃんきゃわいいいいいいいいいいいいペロペロ^ω^」
なにこれ
子タブンネはと言うとほめちぎられてだんだんアヘ顔になってきている
ベロを出して白目を向いている
「ミィヘャアアアアアアアアアアアアアアア!!」と子タブンネは叫び、ビクビクと軽く痙攣した
どうやらオーガズムを迎えた‥‥のか?
何が悲しくて媚豚の絶頂を見なけりゃならんのだ‥‥
「あー、28号、そいつを潰せ」
馬鹿馬鹿しくなってきたので俺は28号にそいつを始末するように命令する
しかし28号は動かない、いや違う、28号は目から涙を流し始めたのだ
こいつ‥‥自我が戻ったな‥‥
このままじゃ実験は続行できないな‥‥まぁしかし有益な結果は残せたということで良しとしよう
俺は強化ガラスの折をしまう、子タブンネと母タブンネは何が起きているのかいまいちわかっていないようだが
しかし28号の涙を見て、どうやら父親なのだと心で理解したようだ
子タブンネ達は走って近づき、母タブンネもびっこを引きながらゆっくりと近づいている
そしてやっと夫婦の再開‥‥‥なんて感動的なことはさせないぞ
俺は自爆スイッチを押す
すると28号は大爆発をした、残っていた子タブンネも母タブンネも皆四肢を吹き飛ばされ焼き焦げていく
28号はと言うと強化手術のおかげでまだ意識はあるようだ、もっともそれは家族の断末魔を聞き続けると言うことになるのだが
芋虫のように這いつくばりながらゴロゴロと転げ回る子タブンネや、叫び声も上げずただただ燃えている子タブンネ等様々だ
その後父タブンネは涙を流しながら燃えていった
全員の生命活動が停止したことを確認するとスプリンクラーで炎を消していく
辺りは煤けているがまぁいつものことだ、気にしない
結果としてはやはりタブンネで最強のポケモンは無理だということはわかった
所詮媚豚だしな
しかし成果もあった、音響兵器の汎用性は高く、威力も高いということだ
この結果のおかげでこれからの方針が決まった気がする
音をテーマにしたポケモンはバクオング、プクリン
あとは幻のポケモンメロエッタ等だ
俺はメロエッタを探すために研究所を後にした
最強のポケモンを作るために、俺は戦い続ける
そう決意したところで波乗りを覚えているポケモンが居なかったことに気付いた
まずは水ポケモンを捕まえないとな!
最終更新:2014年09月29日 18:12