俺はとあるポケモントレーナー。自分で言うのも何だがエリートトレーナーと呼ばれている者だ。
そんな俺だが昨日別地方のトレーナー達とポケモンを交換した。手塩にかけて育てたポケモンを数匹を差し出す事となったが今まで育てていなかった強力なポケモンを手に入れる事が出来た。
名残惜しい気持ちもあるが悔やんでも仕方ない。心機一転して俺は草むらへと向かう。訓練を兼ねて新たなポケモンの実力を調べておく為だ。今はもう夜だが好奇心には勝てない。
さて、草むらに着くとさっそく奴らが現れた。俺たちエリートトレーナーの間でサンドバッグとして有名な「タブンネ」だ。豊富な経験値と努力値によりポケモン育成の必需品とも言える存在である。
さっそく新しい戦力を確かめるべくモンスターボールを手にする。
中から出てきたのは三つの首を持つ真紅の目の黒龍「サザンドラ」。カイリューやバンギラスをも凌ぐ膨大な経験値を必要とし、持っている事自体がある種のステータスにもなる存在だ。
手始めに俺はサザンドラに龍の波導を指示する。口から放たれる衝撃波はタブンネを巻き込み葬り去っていく。タブンネの悲痛な叫び声も実に気分がいい。
次は気合玉を指示した。サザンドラは左右の龍の首を器用に使い、気を高める。そして極限まで高めた気をタブンネへ放つ。
「ミブォォオオオアアアアア!!!」タブンネの凄まじい叫び声が上がる。一体あの体の何処にそんな力があるのか不思議なほどだ。
まあ流石に特殊アタッカーの代表格であるラティオスおも凌ぐ特殊攻撃力を持つサザンドラから弱点のタイプの技を喰らえばひとたまりも無いだろうが。
さて、いよいよメインディッシュだ。俺はサザンドラに悪の波導を指示した。サザンドラは静に頷くと、周りに漆黒の闇を出現させた。空を覆う夜の闇をも凌ぐ暗く深い闇だ。
それは僅かに見える夜の風景をもかき消す漆黒の波導となって広がり、大地を飲み込み広がっていった。
次の瞬間地上に出現した暗黒の波導は漆黒の閃光を発し、爆縮してかき消えた。
波導が消えるとそこは大地を抉っ大きなクレーターとなっていた。さっきまで茂っていた草むらも、大量に居たタブンネも消え、ただサザンドラが居るだけだ。
「・・・ここまで・・・出来るのか・・・」
ほんの試運転のつもりだった。噂に聞こえしサザンドラが実際はどれ程の実力を持ち、限界はどれ程なのか確かめる為に野生のタブンネの集団と一戦交えたのだ。
それが予想を遥かに凌ぐ結果を叩き出した。タブンネの群どころか、彼方まで抉られた地面以外何も無い。サザンドラの放つ闇が全てを喰らって消し去っしまったのだ。
「そうか・・・・・・。ここまで出来るのか・・・」
俺は何度も呟いた。その口元にかすかな薄笑いを浮かべているのが自分でも分かった。
終
最終更新:2014年10月22日 14:18