ここはイッシュ地方のとある農家。そして見張り役にはブースターが。近年木の実を奪う害獣への対策を兼ねてである。
今日も見張りを続けるブースター。そこに一匹のタブンネがやって来た。
ブースターはそれに気付くが、あえて気付かないフリをする。今のままの距離では逃げられる。確実に仕留めるためにある程度タブンネを引き付ける必要があった。
タブンネはそんなブースターの思惑など知る由も無く、沢山の木の実が実った木へと近づく。
「ミィヒヒ…あの番ポケモン気付いてないミィ。案外間抜けミィねw」そう呟き、抜き足差し足で木へと歩み寄る。一歩歩く度にパコパコ肉球の音が鳴るが、これは仕方ない。
ついに木の実の元へ辿り着き、実を手に入れるべく手を伸ばが、その手は木の実を掴む事無く、ブースターによって阻まれる。
「ミィ!!?」タブンネは驚いた。さっきまで自分に気付いていないと思っていたポケモンが今自分の手を掴んで妨害しに来たのだ。
「お前気付いていたのかミィ!一体何時からだミィ!?」タブンネは尋ねる。
それに対してブースターは答える「最初からだよ…まさか気付かれないと思っていたのかい?」「ミィ…!」タブンネは自分がまんまと一杯食わされると言う事に気付いた。
「しかもタブンネって耳の良い種族だろう?僕が近付いてくるのに気付かないとは、案外間抜けだね」自分が呟いた事を返されてしまう。それはタブンネの神経を逆撫でした。
「五月蝿いミィ!こうなったらお前を倒して木の実を持って帰るミィ!」そう言ってタブンネは捨て身タックルを放った。
至近距離からのタックルが直撃し、ブースターは転がる。「どうだミィ!これがタブンネの力ミィ!」タブンネは勝ち誇った顔で言う。
俗に言うドヤ顔で勝利を確信するタブンネ。だが、ブースターは平然と立ち上がる。全くダメージを受けた気配が無い。
「これがタブンネの力か…だろうね」タブンネと言う種族の限界を知っているかのような発言。
そのままブースターはタブンネを掴み、馬鹿力を繰り出す。「ミギャア゛ア゛ア゛!!」タブンネは痛みに耐えかねて叫ぶ。
体中の間接を折られる勢いの力を前にタブンネは成す術がない。「タ…た…すけて…ください…」苦痛に満ちた表情の中タブンネは突如命乞いを始める。
「お腹を…空かせ…た…家族…が…居る…ん…です…ミィ」空腹の家族が居る。家族の為にやったのだとタブンネは主張する。
「家族の…為…に…死ぬ…訳…には行か…ないの…です…ミィ」自分の帰りを待ってくれる人が居る。自分が死ねないのだと言うタブンネ。
「そうか…家族が居るのかい…それなら…」そう言うとブースターの表情が和らぐ、タブンネは助けてもらえると思い、安堵する。
「本当に家族を想うなら…生き恥を晒すな!!」ブースターはそう言って、渾身の力を込める。「ミギャア…ア…ァ」タブンネは体を圧し折られ、息絶えた。
ブースターはタブンネの死体をどうするか考えた。「ゴミ捨て場に捨てるか…いや、空間の無駄だ」そう考えたブースターは大文字によって火葬する事と決めた。
タブンネの死体は跡形も無く焼き尽くされてこの世から姿を消した。
最終更新:2014年10月22日 14:23